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白帝城懐古(陳子昂)

白帝城懷古
白帝はくていじょうかい
ちんごう
  • 五言排律。風・宮・功・通・中・窮(平声東韻)。
  • 『全唐詩』巻84所収。ウィキソース「白帝城懷古」参照。
  • 白帝城 … 今の四川省奉節県の東にある城。ウィキペディア【白帝城】参照。
  • 懐古 … 歴史上のことを思い起こして懐かしむこと。
  • 陳子昂 … 661~702。初唐の詩人。しゅう射洪しゃこう(四川省遂寧すいねい市射洪県)の人。あざなは伯玉。『陳伯玉文集』十巻がある。ウィキペディア【陳子昂】参照。
日落滄江晩
つ 滄江そうこうくれ
  • 滄江 … 青々とした大川。ここでは揚子江を指す。
停橈問土風
かいとどめてふう
  • 橈 … 舟をこぐかい。
  • 土風 … その土地の気風・風俗。
城臨巴子國
しろのぞむ 巴子はしくに
  • 巴子国 … 周代、蜀の地方を巴と呼び、その君主には子爵の爵位が授けられたのでこう呼ばれた。
臺沒漢王宮
だいぼっす 漢王かんおうきゅう
  • 台 … 楼台。
  • 漢王宮 … 劉備の永安宮。漢王は蜀漢の劉備のこと。劉備は呉に敗れ、白帝城まで退却し、ここを居城とした。宮殿を永安宮と名付け、まもなく病死した。
荒服仍周甸
荒服こうふく しゅうでん
  • 荒服 … 都から遠く離れた未開の地。周代の制度で、都を中心として近くから遠くへ同心円状に五百里ごとに分けられた五つの地域。甸服でんぷく・侯服・綏服すいふく・要服・荒服のこと。荒服が一番遠い。
  • 仍 … 「なお」と読み、「まだ」「やはり」と訳す。
  • 周甸 … 周の版図のうち、最も遠い部分。きょう。国境の内側。「甸」は都の周辺の地。
深山尚禹功
深山しんざん こう
  • 深山 … 奥深い山。
  • 禹功 … 禹の功績。「禹」は古代の伝説上の聖天子。舜から譲位を受け皇帝となった。夏王朝の開祖。大洪水を治め、治水に功績があったといわれる。ウィキペディア【】参照。
巖懸青壁斷
いわおかかりて青壁せいへき
  • 巌懸 … 岩が天からぶらさがるように、険しくそそり立つ様子。
  • 青壁 … 青みがかった絶壁。
地險碧流通
けわしくしてへきりゅうつう
  • 碧流 … 青緑色をした水の流れ。
古木生雲際
ぼく 雲際うんさいしょう
  • 木 … 『全唐詩』には「一作樹」とある。
  • 雲際 … 雲のかかっているあたり。雲のきわ。雲の間。
歸帆出霧中
はん ちゅう
  • 帰帆 … 帰り行く舟の帆。『全唐詩』では「孤帆」に作る。
川途去無限
せん ってかぎ
  • 川途 … 川を行く舟の道すじ。
客思坐何窮
かく そぞろになんきわまらん
  • 客思 … 旅先での思い。旅愁。
  • 坐 … 何とはなしに。
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