白帝城懐古(陳子昂)
白帝城懷古
白帝城懐古
白帝城懐古
日落滄江晩
日は落つ 滄江の晩
- 滄江 … 青々とした大川。ここでは揚子江を指す。
停橈問土風
橈を停めて土風を問う
- 橈 … 舟をこぐかい。
- 土風 … その土地の気風・風俗。
城臨巴子國
城は臨む 巴子の国
- 巴子国 … 周代、蜀の地方を巴と呼び、その君主には子爵の爵位が授けられたのでこう呼ばれた。
臺沒漢王宮
台は没す 漢王の宮
- 台 … 楼台。
- 漢王宮 … 劉備の永安宮。漢王は蜀漢の劉備のこと。劉備は呉に敗れ、白帝城まで退却し、ここを居城とした。宮殿を永安宮と名付け、まもなく病死した。
荒服仍周甸
荒服 仍お周甸
- 荒服 … 都から遠く離れた未開の地。周代の制度で、都を中心として近くから遠くへ同心円状に五百里ごとに分けられた五つの地域。甸服・侯服・綏服・要服・荒服のこと。荒服が一番遠い。
- 仍 … 「なお」と読み、「まだ」「やはり」と訳す。
- 周甸 … 周の版図のうち、最も遠い部分。疆土。国境の内側。「甸」は都の周辺の地。
深山尚禹功
深山 尚お禹功
- 深山 … 奥深い山。
- 禹功 … 禹の功績。「禹」は古代の伝説上の聖天子。舜から譲位を受け皇帝となった。夏王朝の開祖。大洪水を治め、治水に功績があったといわれる。ウィキペディア【禹】参照。
巖懸青壁斷
巌懸りて青壁断え
- 巌懸 … 岩が天からぶらさがるように、険しくそそり立つ様子。
- 青壁 … 青みがかった絶壁。
地險碧流通
地険しくして碧流通ず
- 碧流 … 青緑色をした水の流れ。
古木生雲際
古木 雲際に生じ
- 木 … 『全唐詩』には「一作樹」とある。
- 雲際 … 雲のかかっているあたり。雲のきわ。雲の間。
歸帆出霧中
帰帆 霧中に出づ
- 帰帆 … 帰り行く舟の帆。『全唐詩』では「孤帆」に作る。
川途去無限
川途 去って限り無し
- 川途 … 川を行く舟の道すじ。
客思坐何窮
客思 坐ろに何ぞ窮まらん
- 客思 … 旅先での思い。旅愁。
- 坐 … 何とはなしに。
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