穆陵関北逢人帰漁陽(劉長卿)
穆陵關北逢人歸漁陽
穆陵関の北にて人の漁陽に帰るに逢う
穆陵関の北にて人の漁陽に帰るに逢う
逢君穆陵路
君に逢う 穆陵の路
- 路 … 峠みち。
匹馬向桑乾
匹馬 桑乾に向う
- 匹馬 … 一匹の馬。『春秋公羊伝註疏』僖公三十三年に「匹馬隻輪反る者無し」(匹馬隻輪無反者)とあり、何休の注に「匹馬は、一馬なり」(匹馬、一馬也)とある。ウィキソース「春秋公羊傳註疏/卷12」参照。
- 桑乾 … 河の名。北京の西南を流れ、永定河となる。「桑乾に向う」は「漁陽に帰る」を言い換えた表現。
楚國蒼山古
楚国 蒼山古り
- 楚国 … 今の湖北省から湖南へかけての地方。
- 蒼山 … 木の青々と茂った山。
幽州白日寒
幽州 白日寒し
- 幽州 … 今の河北省から北へかけての地方。ここでは漁陽の地を指している。
- 白日 … 真昼の太陽。
城池百戰後
城池 百戦の後
- 城池 … 城壁と、周囲にめぐらした堀。
- 百戦 … 数多くの戦い。安史の乱の戦火を指す。
耆舊幾家殘
耆旧 幾家か残れる
- 耆旧 … 耆老故旧。ここでは土地の故老という程度の意。
處處蓬蒿徧
処処 蓬蒿徧し
- 処処 … あちこち。いたるところ。
- 蓬蒿 … よもぎの生えたくさむら。ここでは雑草が一面に生い茂っている様子。
- 徧 … すみずみまで行き渡る。
歸人掩涙看
帰人 涙を掩うて看ん
- 帰人 … 故郷へ帰る人。
- 掩涙 … 涙を袖でおさえること。
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