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穆陵関北逢人帰漁陽(劉長卿)

穆陵關北逢人歸漁陽
ぼくりょうかんきたにてひと漁陽ぎょようかえるに
りゅうちょうけい
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻三、『全唐詩』巻一百四十七、他
  • 五言律詩。乾・寒・残・看(平声寒韻)。
  • ウィキソース「穆陵關北逢人歸漁陽」参照。
  • 穆陵関 … 湖北省安陸の東北にあった関所。
  • 漁陽 … 今の天津市けい県のあたり。安禄山(705~757)が反乱をおこした土地。
  • 劉長卿 … 709?~785?。中唐の詩人。河間(河北省)の人。一説に宣城(安徽省)の人。あざなは文房。開元二十一年(733)、進士に及第。監察御史などの官職を歴任したが、のちに左遷され、最後は随州(湖北省随県)刺史となって終わった。このことから「劉随州」とも呼ばれた。『劉随州文集』がある。ウィキペディア【劉長卿】参照。
逢君穆陵路
きみう 穆陵ぼくりょうみち
  • 路 … 峠みち。
匹馬向桑乾
ひつ 桑乾そうかんむか
  • 匹馬 … 一匹の馬。『春秋公羊伝註疏』僖公三十三年に「ひつ隻輪せきりんかえものし」(匹馬隻輪無反者)とあり、何休の注に「ひつは、いちなり」(匹馬、一馬也)とある。ウィキソース「春秋公羊傳註疏/卷12」参照。
  • 桑乾 … 河の名。北京の西南を流れ、永定えいていとなる。「桑乾に向う」は「漁陽に帰る」を言い換えた表現。
楚國蒼山古
こく 蒼山そうざん
  • 楚国 … 今の湖北省から湖南へかけての地方。
  • 蒼山 … 木の青々と茂った山。
幽州白日寒
幽州ゆうしゅう 白日はくじつさむ
  • 幽州 … 今の河北省から北へかけての地方。ここでは漁陽の地を指している。
  • 白日 … 真昼の太陽。
城池百戰後
じょう ひゃくせんのち
  • 城池 … 城壁と、周囲にめぐらした堀。
  • 百戦 … 数多くの戦い。安史の乱の戦火を指す。
耆舊幾家殘
きゅう いくのこれる
  • 耆旧 … 耆老故旧。ここでは土地の故老という程度の意。
處處蓬蒿徧
処処しょしょ 蓬蒿ほうこうあまね
  • 処処 … あちこち。いたるところ。
  • 蓬蒿 … よもぎの生えたくさむら。ここでは雑草が一面に生い茂っている様子。
  • 徧 … すみずみまで行き渡る。
歸人掩涙看
じん なみだおおうて
  • 帰人 … 故郷へ帰る人。
  • 掩涙 … 涙を袖でおさえること。
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