遣懐(杜牧)
遣懷
遣いを懐る
遣いを懐る
落魄江湖載酒行
江湖に落魄して酒を載せて行く
- 落魄 … おちぶれること。「らくたく」とも。なお、「落魄」を「物事にこだわらず自由奔放なさま」と解釈する説もある。
- 魄 … 『才調集』では「托」に作る。『全唐詩』には「一作托」とある。
- 江湖 … ここでは江南地方という程度の意。本来「江湖」には「(三江五湖の略として)川と湖」、「長江と洞庭湖一帯」、「世の中・世間」、「(中央に対する)地方」など、複数の解釈がある。なお、仏典では「ごうこ」と発音する。
- 湖 … 『唐詩三百首』、『才調集』等では「南」に作る。『全唐詩』でも「南」に作り、「一作湖」とある。
- 載酒 … 酒樽・酒壺を船に積み込むこと。
楚腰纖細掌中輕
楚腰 繊細 掌中に軽し
- 楚腰 … ほっそりした腰の楚の国の美女。
- 繊細 … 『全唐詩』では「腸斷」に作り、「一作纖細」とある。
- 掌中軽 … 手のひらの上で舞うことができるほど軽い。漢の成帝の寵愛を受けた趙飛燕の故事をふまえたもの。「漢の成帝の趙飛燕身軽く、能く掌上の舞を為す(漢成帝趙飛燕身輕、能爲掌上舞)」(『独異志』巻中)。
十年一覺揚州夢
十年 一覚 揚州の夢
- 十年 … 『樊川文集夾注』には「一作三年」とある。
- 一覚 … 「一たび覚む」とも訓読できる。
- 揚州 … 今の江蘇省揚州市一帯。ウィキペディア【揚州市】参照。
贏得青樓薄倖名
贏ち得たり 青楼薄倖の名
- 贏得 … 結局得たのはただそれだけであった。
- 贏 … 『全唐詩』には「一作占」とある。『樊川文集夾注』では「占」に作り、「一作贏」とある。
- 青楼 … 遊女屋。妓楼。
- 薄倖 … ここでは浮気男の意。
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