送元二使安西(王維)
送元二使安西
元二の安西に使いするを送る
元二の安西に使いするを送る
- 〔テキスト〕 『唐詩三百首』、『三体詩』、『楽府詩集』、『全唐詩』、他
- 七言絶句。塵・新・人(平声真韻)。
- 『全唐詩』巻128所収。ウィキソース「渭城曲」参照。
- 送元二使安西 … 『唐詩三百首』、『全唐詩』等では「渭城曲」に作る。『全唐詩』には「一作送元二使安西」とある。
- 元二 … 「元」は姓。「二」は排行。「排行」とは、一族中の兄弟やいとこなどの年齢による序列。
- 安西 … 唐の時代に置かれた都護府の名。現在の新疆ウイグル自治区庫車。
- 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。字は摩詰。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられて尚書右丞(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
渭城朝雨浥輕塵
渭城の朝雨 軽塵を浥す
- 渭城 … 秦の都であった咸陽を、漢代になって渭城と改めた。
- 朝雨 … 朝の雨。
- 浥 … うるおす。ぬらす。
- 軽塵 … 軽く舞う土ぼこり。
客舍青青柳色新
客舎青青 柳色新たなり
- 客舎 … 旅館。宿屋。
- 青青 … 青々としているさま。「青青として」と読んでもよい。『全唐詩』には「一作依依」とある。
- 柳色 … 青々とした柳の色。人との別れの際、柳の枝を輪にして贈る習慣があった。
- 新 … (柳の葉が朝方の雨に洗われて)みずみずしく、鮮やかである。
- 柳色新 … 『全唐詩』では「楊柳春」に作り、「一作柳色新」とある。
勸君更盡一杯酒
君に勧む 更に尽くせ 一杯の酒
- 君 … 元二を指す。
- 更尽 … もう一杯飲みほしたまえ。
西出陽關無故人
西のかた 陽関を出づれば 故人無からん
- 西 … 「にしのかた」と読み、「西に向かって」「また西のほうで」と訳す。
- 陽関 … 関所の名。今の甘粛省敦煌県の西南にあった。
- 出ずれば … 「出でなば」と読んでもよい。
- 故人 … 古くからの友人。日本語の「死んだ人」という意ではない。
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