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送劉侍郎(李端)

送劉侍郎
劉(りゅう)侍(じ)郎(ろう)を送(おく)る
李(り)端(たん)
  • 七言絶句。城・生・聲(下平声庚韻)。
  • ウィキソース「送劉侍郎」参照。
  • 劉 … 劉某。人物については不詳。
  • 侍郎 … 官名。尚書省六部の次官。または門下省・中書省の次官。ウィキペディア【侍郎】参照。
  • 送 … 見送る。
  • この詩は、侍郎の官にあった劉某の旅立つのを見送って詠んだもの。
  • 李端 … 732~792。中唐の詩人。趙州(河北省趙県)の人。字(あざな)は正己。大暦五年(770)、進士に及第。秘書省校書郎に任ぜられたが、病気のため辞任して終南山の草堂寺に住んだ。後に杭州(浙江省杭州市)司馬に任ぜられたが、再び辞任し衡山(湖南省衡陽市)に隠棲し、衡嶽幽人と号した。盧綸・銭起・司空曙・耿湋らとともに大暦十才子の一人。ウィキペディア【李端】参照。
幾人同入謝宣城
幾人(いくにん)か同(おな)じく入(い)る 謝(しゃ)宣(せん)城(じょう)
  • 幾人 … 幾人もの者が。幾人もの人が。
  • 同入 … 時を同じくして幕下に入った。
  • 入 … 『全唐詩』では「去」に作り、「一作入」と注する。『万首唐人絶句』では「去」に作る。
  • 謝宣城 … 南北朝時代、斉(せい)の詩人、謝朓(464~499)のこと。陳郡陽(よう)夏(か)(河南省太康(たいこう)付近)の人。字(あざな)は玄(げん)暉(き)。宣(せん)城(じょう)(安徽省)の太守となったため、謝宣城という。一族の謝霊運・謝恵連とともに「三謝」と呼ばれる。『謝宣城集』五巻がある。ウィキペディア【謝朓】参照。
未及酬恩隔死生
未(いま)だ恩(おん)に酬(むく)ゆるに及(およ)ばずして死(し)生(せい)を隔(へだ)つ
  • 未及酬恩 … まだその恩に報いることができないうちに。まだ恩返しもしていないうちに。南朝梁の沈約の楽府「碣石(けっせき)に臨む」に「驥(き)老(お)いて心(こころ)未(いま)だまらず、恩(おん)に酬(むく)ゆること豈(あ)に終(つい)に畢(おわ)らんや」(驥老心未窮、酬恩豈終畢)とある。ウィキソース「樂府詩集/055卷」参照。
  • 隔死生 … 死生の境を隔てる。幽明相隔てる。あの世とこの世とに別れること。ここでは太守が他界されてしまったことを指す。
唯有夜猿知客恨
唯(た)だ夜(や)猿(えん)の客恨(かくこん)を知(し)る有(あ)り
  • 唯 … ただ。
  • 夜猿 … 夜中に鳴く猿。
  • 客恨 … あなたの旅先でのわびしい思い。恨は、愁い。
  • 有~知 … (猿だけが)知ってくれるだろう。理解していることだろう。
嶧陽溪路第三聲
嶧陽(えきよう)の渓(けい)路(ろ) 第三声(だいさんせい)
  • 嶧陽 … 嶧山の南側。陽は、山の南側、または川の北側。ちなみに陰は、山の北側、または川の南側。『書経』禹貢篇に「嶧陽(えきよう)は孤(こ)桐(どう)なり」(嶧陽孤桐)とある。ウィキソース「尚書/禹貢」参照。嶧山の場所は、山東省鄒(すう)県の東南と、江蘇省邳(ひ)県の西南との二説あり、どちらなのか確定できない。山東省鄒県にある方は、『読史方輿紀要』山東、兗州府、鄒県の条に「嶧山は、県の東南二十五里、一に邾嶧山と名づく、亦た鄒繹山と曰う」(嶧山、縣東南二十五里、一名邾嶧山、亦曰鄒繹山)とある。ウィキソース「讀史方輿紀要/卷三十二」参照。また江蘇省邳県にある方は、『読史方輿紀要』江南、淮安府、邳州の条に「葛嶧山は、州の西北六里、古文以て即ち禹貢の嶧山と為す、誤りに似たり、俗に距山と名づく、沂水と相距(へだ)つるを謂うなり、今亦た山東嶧県に見る」(葛嶧山、州西北六里、古文以為即禹貢之嶧山、似誤、俗名距山、謂與沂水相距也、今亦見山東嶧縣)とある。ウィキソース「讀史方輿紀要/卷二十二」参照。
  • 渓路 … 谷川沿いの道。
  • 第三声 … 猿の鳴き声がとても悲しく、三度目の鳴き声を聞けば涙を落とさずにいられないという。『水経注』江水篇に「漁者(ぎょしゃ)歌(うた)いて曰(いわ)く、巴(は)東(とう)の三(さん)峡(きょう)、巫(ふ)峡(きょう)長(なが)く、猿(さる)鳴(な)くこと三声(さんせい)にして、涙(なみだ)裳(もすそ)を沾(うるお)す」(漁者歌曰、巴東三峽、巫峽長、猿鳴三聲、淚沾裳)とある。ウィキソース「水經注/34」参照。また、南朝梁の元帝(蕭繹)の「武陵王に遺(おく)る詩」に「四(し)鳥(ちょう)長(ちょう)別(べつ)を嗟(なげ)き、三声(さんせい)夜(や)猿(えん)悲(かな)しむ」(四鳥嗟長別、三聲悲夜猿)とある。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷081」参照。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百八十六(排印本、中華書局、1960年)
  • 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二十七(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
  • 『唐詩品彙』巻五十([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
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