勧酒(于武陵)
勸酒
酒を勧む
酒を勧む
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻六、『全唐詩』巻五百九十五、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻八(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『才調集』巻八、『唐詩品彙』巻四十四、『唐詩別裁集』巻十九、他
- 五言絶句。巵・辭・離(平声支韻)。
- ウィキソース「勸酒 (于武陵)」参照。
- 勧酒 … この詩は『全唐詩』巻五百九十五に于武陵の詩として収録されているほか、巻六百に武瓘の詩としても収録されている。字句に異同はない。
- 于武陵 … 810~?。晩唐の詩人。杜曲(陝西省)の人。名は鄴。武陵は字。宣宗の大中年間(847~860)に進士となったが、書物と琴を携えて各地を放浪。のち、嵩山の南に隠棲した。『于武陵集』一巻がある。ウィキペディア【于武陵】参照。
勸君金屈巵
君に勧む 金屈巵
- 金屈卮 … 曲がった把手のついた黄金の大杯で、四升入るという。
- 巵 … 『全唐詩』等では「卮」に作る。「卮」が正字。「巵」は異体字。
滿酌不須辭
満酌 辞するを須いず
- 満酌 … 杯になみなみと酒をつぐこと。
- 不須 … 「~(する)をもちいず」と読み、「~する必要はない」と訳す。
- 辞 … 辞退。
花發多風雨
花発いて 風雨多し
- 花発 … 花が開く。花が咲く。
- 風雨 … 風や雨。
人生足別離
人生 別離足る
- 人生 … 人の生涯。
- 別離 … 別れ。
- 足 … 多い。
余説
この詩には井伏鱒二の名訳がある。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
(井伏鱒二『厄除け詩集』)
なお、「ハナニアラシノタトヘ」とは「月に叢雲、花に風(=嵐)」のこと。とかく物事には邪魔が起こりやすいことのたとえ。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
(井伏鱒二『厄除け詩集』)
なお、「ハナニアラシノタトヘ」とは「月に叢雲、花に風(=嵐)」のこと。とかく物事には邪魔が起こりやすいことのたとえ。
こちらもオススメ!
歴代詩選 | |
古代 | 前漢 |
後漢 | 魏 |
晋 | 南北朝 |
初唐 | 盛唐 |
中唐 | 晩唐 |
北宋 | 南宋 |
金 | 元 |
明 | 清 |
唐詩選 | |
巻一 五言古詩 | 巻二 七言古詩 |
巻三 五言律詩 | 巻四 五言排律 |
巻五 七言律詩 | 巻六 五言絶句 |
巻七 七言絶句 |
詩人別 | ||
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | は行 | ま行 |
や行 | ら行 |