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秋風引(劉禹錫)

秋風引
しゅうふういん
りゅうしゃく
  • ウィキソース「秋風引 (劉禹錫)」参照。
  • この詩は、作者が旅先で、どこからか吹いてくる秋風の音を聞き、わびしい気持ちを詠んだもの。
  • 詩題 … 楽府題の一つ。「秋風の歌」の意。「引」は「曲」「歌」に同じ。『楽府詩集』巻六十・近代曲辞に属す。
  • 劉禹錫 … 772~842。中唐の詩人。河南郡洛陽県(河南省洛陽市)の人。あざな夢得ぼうとく。貞元九年(793)、柳宗元とともに進士に及第。王叔文に連座して僻地に左遷された。太和二年(828)に長安に復帰。その後も都と地方の諸官を歴任。開成元年(836)、太子賓客となった。柳宗元とは無二の親友。晩年は白居易とも親交があり、白居易は彼を「詩豪」と称賛した。『劉賓客文集』三十巻、外集十巻がある。ウィキペディア【劉禹錫】参照。
何處秋風至
いずれのところよりか しゅうふういた
  • 何処 … 「いずれのところよりか」と読み、「どこから」と訳す。
  • 秋風至 … 秋風あきかぜが吹いてくる。『晏子春秋』内篇諫下第二に「酒たけなわにして、晏子歌を作りて曰く、すいや獲ることを得ず、秋風至りてことごとく零落す。風雨の払殺するなり、太上のへいするなり、と」(酒酣、晏子作歌曰、穗兮不得獲、秋風至兮殫零落。風雨之拂殺也、太上之靡弊也)とある。靡弊は、衰えること。ウィキソース「晏子春秋/卷二」参照。また、南朝梁の江淹「休上人の別れを怨む」詩(『文選』巻三十一、『玉台新詠』巻五)に「西北より秋風至り、かくこころ悠なるかな」(西北秋風至、楚客心悠哉)とある。休上人は、僧恵休。楚客は、楚の国から来ている旅人。ウィキソース「休上人怨別」参照。
蕭蕭送雁羣
蕭蕭しょうしょうとして 雁群がんぐんおく
  • 蕭蕭 … 風が物寂しく吹く形容。『楚辞』九懐・蓄英に「秋風蕭蕭しょうしょうたり、ほうべてえだを振るう」(秋風兮蕭蕭、舒芳兮振條)とある。ウィキソース「九懷」参照。また、古楽府「古歌」(『古詩紀』巻十七)に「秋風蕭蕭として人をしゅうさいし、づるも亦た愁い、るも亦た愁う」(秋風蕭蕭愁殺人、出亦愁、入亦愁)とある。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷017」参照。
  • 送雁群 … (秋風が)雁の群れを送り出している。前漢の劉向『新序』巻二、雑事第二に「梁君でて猟し、白雁の群れを見る」(梁君出獵、見白雁群)とある。ウィキソース「新序/雜事/卷二」参照。
朝來入庭樹
ちょうらい 庭樹ていじゅ
  • 朝来 … 朝方あさがた今朝けさがた。朝からずっと。朝早くから。来は、助辞。「~このかた」「~から今まで」の意を表す。北周の庾信の楽府「舞媚ぶびじょう」(『楽府詩集』巻七十三)に「朝来 戸前にて鏡に照らし、笑みを含み盈盈えいえいとして自ら看る」(朝來戸前照鏡、含笑盈盈自看)とある。戸前は、部屋の戸のそば。盈盈は、女性の容姿のゆったりとして美しいさま。ウィキソース「樂府詩集/073卷」参照。『唐文粋』では「今朝」に作る。
  • 庭樹 … 庭先の木々。三国魏の曹植「ていに贈る」詩(『文選』巻二十四)に「初秋に涼気発し、庭樹はすこしくしょうらくす」(初秋涼氣發、庭樹微銷落)とある。銷落は、枯れ落ちること。ウィキソース「贈丁儀」参照。また、西晋の潘岳「秋興しゅうきょうの賦」(『文選』巻十三)に「庭樹さくとして以て灑落しゃらくし、勁風けいふうれいとしてとばりを吹く」(庭樹槭以灑落兮、勁風戾而吹帷)とある。秋興は、秋に感じる情趣。槭は、葉がしぼんで落ちるさま。灑落は、葉がさらりと落ちること。勁風は、強い風。戻は、強く速いさま。ウィキソース「秋興賦」参照。
  • 入 … (秋風が)入ってくる。吹き込んでくる。「るを」と読んでもよい。
孤客最先聞
かく もっとさき
  • 孤客 … 孤独な旅人。作者自身を指す。劉宋の謝霊運「しちらい」詩(『文選』巻二十六)に「孤客逝湍せいたんを傷み、りょほんしょうに苦しむ」(孤客傷逝湍、徒旅苦奔峭)とある。七里頼は、浙江省桐廬県にある早瀬。逝湍は、川の流れの急な所。早瀬。徒旅は、旅の仲間。奔峭は、崩れた岸。ウィキソース「七里瀨」参照。
  • 最先聞 … 誰よりも真っ先に聞きつけた。
詩型・韻字
  • 五言絶句。
  • 群・聞(上平声文韻)。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻六(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻三百六十四(排印本、中華書局、1960年)
  • 『劉夢得文集』巻八(『四部叢刊 初編集部』所収)
  • 『劉賓客集』巻二十六(『四部備要 集部』所収、中華書局)
  • 『楽府詩集』巻六十・近代曲辞(北京図書館蔵宋刊本影印、中津濱渉『樂府詩集の研究』所収)
  • 『万首唐人絶句』五言・巻二(明嘉靖本影印、文学古籍刊行社、1955年)
  • 『唐詩解』巻二十三(順治十六年刊、内閣文庫蔵)
  • 『唐詩品彙』巻四十三([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『唐詩別裁集』巻十九([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
  • 『唐文粋』巻十七下(姚鉉撰、明嘉靖本影印、『四部叢刊 初篇集部』所収)
  • 『古今詩刪』巻二十(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
  • 『劉禹錫集』巻二十六(中国古典文学基本叢書、中華書局、1990年)
  • 松浦友久編『校注 唐詩解釈辞典』(大修館書店、1987年)
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