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烏衣巷(劉禹錫)

烏衣巷
烏衣ういこう
りゅうしゃく
  • 〔テキスト〕 『唐詩三百首』七言絶句、『全唐詩』巻三百六十五、他
  • 七言絶句。花・斜・家(平声麻韻)。
  • 『全唐詩』では「金陵五題」の第二首として収録。ウィキソース「金陵五題:烏衣巷」参照。
  • 烏衣巷 … 金陵(今の江蘇省南京市の古称。六朝時代には建康けんこうと呼ばれた)の秦淮しんわいの南にあった町の名。東晋の頃、王氏・謝氏などの大貴族たちがここに住居を構えていた。その子弟がみな黒い衣服を着ていたので烏衣ういこうと呼ばれたという。
  • 劉禹錫 … 772~842。中唐の詩人。あざな夢得ぼうとくちゅうざん(河北省)の人。貞元九年(793)、柳宗元とともに進士に及第。王叔文らの政治改革に加わり、僻地に左遷された。太和二年(828)に長安に復帰。その後も都と地方の諸官を歴任。開成元年(836)、太子賓客となった。柳宗元とは無二の親友。晩年は白居易とも親交があり、白居易は彼を「詩豪」と称賛した。『劉賓客文集』30巻、『外集』10巻がある。ウィキペディア【劉禹錫】参照。
朱雀橋邊野草花
しゅじゃくきょうへん そうはな
  • 朱雀橋 … 烏衣巷の入り口にあり、秦淮河にかかる橋の名。朱雀門に向かい合っていた。
  • 辺 … ほとり。
  • 野草花 … 野の草の花が咲いている。
烏衣巷口夕陽斜
烏衣ういこうこう 夕陽せきようななめなり
  • 烏衣巷口 … 烏衣巷の入り口。
  • 夕陽 … 夕日。
  • 斜 … 斜めに差し込んでいる。
舊時王謝堂前燕
きゅう おうしゃ堂前どうぜんつばめ
  • 旧時 … その昔。昔のある時。
  • 時 … 『全唐詩』には「一作來」とある。
  • 王謝 … 東晋の王導おうどう(276~339)や謝安しゃあん(320~385)らの大貴族。ウィキペディア【王導】【謝安】参照。
  • 堂前 … 表座敷の前。建物の中央の広間。ここでは邸宅の前。
飛入尋常百姓家
んでる じんじょうひゃくせいいえ
  • 飛入 … 飛び込んでゆく。飛び交っている。
  • 尋常 … ありふれた。普通の。
  • 百姓 … 「ひゃくせい」と読む。庶民。
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