望薊門(祖詠)
望薊門
薊門を望む
薊門を望む
燕臺一去客心驚
燕台一たび去って客心驚く
- 燕台 … 燕の昭王が築いた台。黄金台ともいう。昭王については、ウィキペディア【昭王(燕)】参照。
- 去 … 『全唐詩』では「望」に作り、「一作去」とある。
- 客心 … 旅先での物寂しい思い。旅情。
簫鼓喧喧漢將營
簫鼓喧喧たり 漢将の営
- 簫鼓 … 竹笛と太鼓。つまり軍楽のこと。
- 喧喧 … 騒がしい。
萬里寒光生積雪
万里の寒光 積雪に生じ
- 寒光 … 寒々とした光景。
三邊曙色動危旌
三辺の曙色 危旌に動く
- 三辺 … 三方の国境。匈奴・南越・朝鮮をいう。
- 曙色 … あけぼのの光。
- 危旌 … 高くかかげた軍旗。
- 危 … 『全唐詩』には「一作行」とある。
沙場烽火侵胡月
沙場の烽火 胡月を侵し
- 沙場 … (戦場としての)砂漠。後漢の蔡琰の「胡笳十八拍」(『楽府詩集』巻五十九、『楚辞後語』巻三)の第十七拍に「塞上の黄蒿は枝枯れ葉乾きたり、沙場の白骨に刀痕箭瘢あり」(塞上黃蒿兮枝枯葉乾、沙場白骨兮刀痕箭瘢)とある。箭瘢は、矢きずのあと。ウィキソース「胡笳十八拍」「樂府詩集/059卷」「楚辭集注 (四庫全書本)/後語卷3」参照。
- 烽火 … のろし。
- 侵 … 『全唐詩』では「連」に作る。
- 胡月 … えびすの地の月。
海畔雲山擁薊城
海畔の雲山 薊城を擁す
- 海畔 … 海辺。
- 雲山 … 雲と見まがうような、遠くに見える山なみ。
- 薊城 … 薊門の城壁。
少小雖非投筆吏
少小より投筆の吏に非ずと雖も
- 少小 … 若い時。
- 投筆吏 … 後漢の名将班超が、若いとき小役人をしていたが、あるとき筆を投げ捨てて、「大丈夫たるもの、異郷に功を立てて諸侯の位を獲得すべきであり、こんなことはしておれぬ」と言ったという故事。班超については、ウィキペディア【班超】参照。
論功還欲請長纓
功を論じて還た長纓を請わんと欲す
- 論功 … 功績を評価する。
- 請長纓 … 「長纓」は冠の長いひも。漢の終軍が南越王に帰順をすすめる使者となったとき、天子の冠の長いひもをいただいて、南越王をしばりあげ、都へ連れ戻りましょうと誓った故事に基づく。終軍については、ウィキペディア【終軍】参照。
こちらもオススメ!
歴代詩選 | |
古代 | 前漢 |
後漢 | 魏 |
晋 | 南北朝 |
初唐 | 盛唐 |
中唐 | 晩唐 |
北宋 | 南宋 |
金 | 元 |
明 | 清 |
唐詩選 | |
巻一 五言古詩 | 巻二 七言古詩 |
巻三 五言律詩 | 巻四 五言排律 |
巻五 七言律詩 | 巻六 五言絶句 |
巻七 七言絶句 |
詩人別 | ||
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | は行 | ま行 |
や行 | ら行 |