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望薊門(祖詠)

望薊門
薊門けいもんのぞ
えい
  • 七言律詩。驚・營・旌・城・纓(平声庚韻)。
  • 薊門 … 地名。今の北京市徳勝門の西北にある。戦国時代のえんの古跡。陳子昂の「薊丘覧古」にいう「けいきゅう」と同じ。
  • 祖詠 … 699~746?。盛唐の詩人。洛陽の人。王維とは幼友達。開元十二年(724)、進士に及第したが、生涯にわたり仕官せず、汝水じょすい(河南省の川)のほとりに隠棲し、しょうぎょの生活で終わったという。ウィキペディア【祖詠】参照。
燕臺一去客心驚
燕台えんだいひとたびって客心かくしんおどろ
  • 燕台 … 燕の昭王が築いた台。黄金台ともいう。昭王については、ウィキペディア【昭王(燕)】参照。
  • 去 … 『全唐詩』では「望」に作り、「一作去」とある。
  • 客心 … 旅先での物寂しい思い。旅情。
簫鼓喧喧漢將營
簫鼓しょうこ喧喧けんけんたり かんしょうえい
  • 簫鼓 … 竹笛と太鼓。つまり軍楽のこと。
  • 喧喧 … 騒がしい。
萬里寒光生積雪
ばん寒光かんこう 積雪せきせつしょう
  • 寒光 … 寒々とした光景。
三邊曙色動危旌
三辺さんぺん曙色しょしょく 危旌きせいうご
  • 三辺 … 三方の国境。匈奴・南越・朝鮮をいう。
  • 曙色 … あけぼのの光。
  • 危旌 … 高くかかげた軍旗。
  • 危 … 『全唐詩』には「一作行」とある。
沙場烽火侵胡月
じょうほう 胡月こげつおか
  • 沙場 … (戦場としての)砂漠。後漢の蔡琰さいえんの「胡笳十八拍」(『楽府詩集』巻五十九、『楚辞後語』巻三)の第十七拍に「さいじょう黄蒿こうこうえだかわきたり、じょう白骨はっこつ刀痕とうこん箭瘢せんぱんあり」(塞上黃蒿兮枝枯葉乾、沙場白骨兮刀痕箭瘢)とある。箭瘢は、矢きずのあと。ウィキソース「胡笳十八拍」「樂府詩集/059卷」「楚辭集注 (四庫全書本)/後語卷3」参照。
  • 烽火 … のろし。
  • 侵 … 『全唐詩』では「連」に作る。
  • 胡月 … えびすの地の月。
海畔雲山擁薊城
海畔かいはん雲山うんざん 薊城けいじょうよう
  • 海畔 … 海辺。
  • 雲山 … 雲と見まがうような、遠くに見える山なみ。
  • 薊城 … 薊門の城壁。
少小雖非投筆吏
少小しょうしょうより投筆とうひつあらずといえど
  • 少小 … 若い時。
  • 投筆吏 … 後漢の名将班超はんちょうが、若いとき小役人をしていたが、あるとき筆を投げ捨てて、「大丈夫たるもの、異郷に功を立てて諸侯の位を獲得すべきであり、こんなことはしておれぬ」と言ったという故事。班超については、ウィキペディア【班超】参照。
論功還欲請長纓
こうろんじて長纓ちょうえいわんとほっ
  • 論功 … 功績を評価する。
  • 請長纓 … 「長纓」は冠の長いひも。漢の終軍しゅうぐんが南越王に帰順をすすめる使者となったとき、天子の冠の長いひもをいただいて、南越王をしばりあげ、都へ連れ戻りましょうと誓った故事に基づく。終軍については、ウィキペディア【終軍】参照。
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