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蘇氏別業(祖詠)

蘇氏別業
蘇氏(そし)の別(べつ)業(ぎょう)
祖(そ)詠(えい)
  • 五言律詩。心・林・陰・禽(下平声侵韻)。
  • ウィキソース「蘇氏別業」参照。
  • 蘇氏 … 誰のことかはまったく不明。
  • 別業 … 別荘。詩中の言葉から終南山付近にあったものと思われる。西晋の石崇(せきすう)「思帰引の序」(『文選』巻四十五)に「晩節には更(あらた)めて放逸を楽しみ、篤く林藪(りんそう)を好み、遂に河陽の別業に肥(ひ)遁(とん)す」(晩節更樂放逸、篤好林藪、遂肥遁於河陽別業)とある。肥遁は、心に余裕をもって、俗世間を離れて住むこと。ウィキソース「思歸引序」参照。
  • 祖詠 … 699~746?。盛唐の詩人。洛陽(河南省洛陽市)の人。字(あざな)は不詳。王維とは幼友達。開元十二年(724)、進士に及第したが、生涯にわたり仕官せず、汝水(じょすい)(河南省の川)のほとりに隠棲し、樵(しょう)漁(ぎょ)の生活で終わったという。ウィキペディア【祖詠】参照。
別業居幽處
別(べつ)業(ぎょう) 幽処(ゆうしょ)に居(お)る
  • 幽処 … 奥深い静かな場所。
到來生隱心
到来(とうらい)すれば隠心(いんしん)を生(しょう)ず
  • 到来 … やってくる。
  • 隠心 … 隠遁したいという気持ち。
南山當戸牖
南山(なんざん) 戸(こ)牖(ゆう)に当(あた)り
  • 南山 … 終南山。秦嶺山脈中部一帯を指す。別名中南山、太乙山ともいう。現在の陝西省西安市の南にある。ウィキペディア【終南山】参照。『詩経』小雅・斯(し)干(かん)に「秩秩(ちつちつ)たる斯干、幽幽たる南山」(秩秩斯干、幽幽南山)とある。斯干は、谷の水。秩秩は、川の水が調子よく流れるさま。ウィキソース「詩經/斯干」参照。
  • 戸牖 … 戸口と窓。牖は、連(れん)子(じ)窓。
灃水映園林
灃水(ほうすい) 園林(えんりん)に映(えい)ず
  • 灃水 … 終南山のあたりに源を発し、西北に流れて渭水に合流する川。
  • 園林 … 木の茂る庭。
竹覆經冬雪
竹(たけ)は覆(おお)わる 冬(ふゆ)を経(へ)し雪(ゆき)に
  • 竹 … 『全唐詩』では「屋」に作り、「一作竹」と注する。
  • 冬を経し雪 … 冬越しの残雪。
庭昏未夕陰
庭(にわ)は昏(くら)し 未(いま)だ夕(ゆう)べならざる陰(かげ)りに
寥寥人境外
寥寥(りょうりょう)たり 人(じん)境(きょう)の外(そと)
  • 寥寥 … 空虚なさま。
  • 人境 … 人の住んでいる所。人里。陶淵明「飲酒」の詩に「廬(いおり)を結んで人境に在り」とあるのと同じ意味。
閒坐聽春禽
間(かん)坐(ざ)して春(しゅん)禽(きん)を聴(き)く
  • 閒坐 … のんびりと坐っていること。閑坐。
  • 春禽 … 春の鳥。禽は、鳥。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻三(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百三十一(排印本、中華書局、1960年)
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