>   漢詩   >   唐詩選   >   巻三 五律   >   同王徴君洞庭有懐(張謂)

同王徴君洞庭有懐(張謂)

同王徴君洞庭有懷
王徴君おうちょうくんの「洞庭どうていにておもり」にどう
ちょう
  • 五言律詩。流・愁・樓・遊(平声尤韻)。
  • 『全唐詩』巻197所収。ウィキソース「同王徴君洞庭有懷」参照。
  • 同王徴君洞庭有懐 … 『全唐詩』では「同王徴君湘中有懐」に作り、「一作嚴維詩」とある。また、『全唐詩』巻263に厳維の詩としても収録されている。ウィキソース「同王徴君湘中有懷 (嚴維)」参照。
  • 王徴君 … 人物については不明。王は姓。朝廷から招かれながらも官職に就こうとしない人を「徴士」といい、その尊称を「徴君」という。
  • 洞庭 … 洞庭湖。
  • 洞庭有懐 … 王某が作った詩の題。
  • 同 … もとの詩と同じ韻をふんで、返しの詩を作ること。
  • 張謂 … 721~780?。盛唐の詩人。河南省沁陽しんようの人。あざな正言せいげん。大暦六年(771)に礼部侍郎となったが、のちにたん州(湖南省長沙)の刺史に左遷された。ウィキペディア【張謂】参照。
八月洞庭秋
八月はちがつ 洞庭どうていあき
  • 八月 … 陰暦八月。
瀟湘水北流
瀟湘しょうしょう みず きたなが
  • 瀟湘 … 瀟水と湘江(湘水)。洞庭湖に南から流れこむ二つの川の名。洞庭湖の南の流域一帯を指す。『水経注』湘水の条に「瀟とは、水清深せいしんなり。湘中記に曰く、湘川は清照なること五六丈、した、底の石を見ることちょの矢の如く、五色鮮明なり。白沙は霜雪の如く、赤岸は朝霞の若し。是れ瀟湘の名をるるなり」(瀟者、水清深也。湘中記曰、湘川清照五六丈、下見底石如樗蒲矢、五色鮮明。白沙如霜雪、赤岸若朝霞。是納瀟湘之名矣)とある。樗蒲は、ばくち。ウィキソース「水經注/38」参照。また魏の曹植の「雑詩六首 其の四」(『文選』巻二十九)に「朝に江北の岸に遊び、ゆうべに瀟湘のなぎさに宿す」(朝遊江北岸、夕宿瀟湘沚)とある。ウィキソース「曹子建集 (四部叢刊本)/卷第五」参照。また南朝斉の謝朓の「新亭しんていなぎさにてはんれいりょうわかるる」(『文選』巻二十)に「洞庭どうていがくるの瀟湘しょうしょうにはていあそぶ」(洞庭張樂地、瀟湘帝子遊)とある。帝子は、堯帝の二人の娘、娥皇と女英のこと。ウィキソース「新亭渚別范零陵詩」参照。
還家萬里夢
いえかえる ばんゆめ
  • 還家万里夢 … 夜ごとの夢は、万里の空を飛んでわが家へと帰っていく。
爲客五更愁
かくる 五更ごこううれ
  • 客 … 旅人。
  • 五更 … 夜明けに近い午前4時頃。
不用開書帙
もちいず 書帙しょちつひらくを
  • 書帙 … 数冊に分かれている書物をまとめて包むおおい。ここでは「書物」というほどの意。
  • 帙 … 『全唐詩』には「一作篋」とある。「書篋しょきょう」ならば「書物を入れる箱」の意。
偏宜上酒樓
ひとえによろし 酒楼しゅろうのぼるに
  • 偏 … ~こそ。
  • 上酒楼 … 飲み屋の二階にのぼる。
故人京洛滿
じん 京洛けいらく
  • 故人 … 昔なじみの知人。
  • 京洛 … 洛陽のこと。
  • 満 … 『全唐詩』には「一作客」とある。こちらの場合、「故人」は作者自身を指すことになる。
何日復同遊
いずれのおなじくあそばん
  • 何日 … いつのことであろうか。
歴代詩選
古代 前漢
後漢
南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行