破山寺後禅院(常建)
破山寺後禪院
破山寺の後ろの禅院
破山寺の後ろの禅院
- 五言律詩。林・深・心・音(平声侵韻)。
- 詩題 … 『全唐詩』では「題破山寺後禅院」に作る。
- 破山寺 … 現在の江蘇省常熟市にある興福寺の別名。
- 常建 … 生没年不詳。盛唐の詩人。長安(陝西省)の人といわれてきたが、はっきりしない。字は不詳。開元十五年(727)、王昌齢らとともに進士に及第。盱眙(江蘇省)の尉をつとめた。晩年は鄂渚(湖北省)に隠棲して王昌齢・張僨らと交際した。著に『常建詩集』二巻がある。ウィキペディア【常建】参照。
清晨入古寺
清晨 古寺に入れば
- 清晨 … すがすがしい朝。
初日照高林
初日 高林を照らす
- 初日 … のぼったばかりの太陽。
- 高林 … 高い林(のこずえ)。
曲徑通幽處
曲径 幽処に通じ
- 曲 … 『全唐詩』では「竹」に作り、「一作一、一作曲」とある。
- 曲径 … 曲がりくねった小道。
- 通 … 『全唐詩』には「一作遇」とある。
- 幽処 … 奥深く、静かなところ。
禪房花木深
禅房 花木深し
- 禅房 … 禅堂。
山光悦鳥性
山光 鳥性を悦ばしめ
- 山光 … 朝日を受けた山の色。
- 悦鳥性 … 小鳥たちが嬉々としてさえずっているようす。「鳥性」は鳥の本性。
潭影空人心
潭影 人心を空しうす
- 潭影 … 深い淵の色。
- 空人心 … 人の心から雑念を払いのけ、空寂の境地へ引き入れる。
萬籟此倶寂
万籟 此に倶に寂たり
- 万籟 … この世のすべてのものが発する音。
- 倶 … 『全唐詩』では「都」に作る。
惟聞鐘磬音
惟だ鐘磬の音を聞くのみ
- 聞 … 『全唐詩』では「餘」に作る。
- 鐘磬 … 鐘と磬。「磬」は石板を吊り下げてたたく、「へ」の字形の打楽器。
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