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題長安主人壁(張謂)

題長安主人壁
長(ちょう)安(あん)の主人(しゅじん)の壁(かべ)に題(だい)す
張(ちょう)謂(い)
  • 七言絶句。金・深・心(下平声侵韻)。
  • ウィキソース「題長安壁主人」参照。
  • 詩題 … 長安の宿の壁に書きつける詩。『全唐詩』では「題長安壁主人」に作る。
  • 題~壁 … 壁に詩を書きつけること。
  • 主人 … 宿の主人。転じて宿そのものを指す。「作者が寄寓している家のあるじ」と解釈するのは誤り。星川清孝『新訂 歴代中国詩精講』(学燈社、昭和50年)には「主人は旅宿のこと」とし、「長安主人というのは、長安に進士の試験を受けに来ていた張謂の宿泊していた家、旅館のことであろう。初めは厚遇されていたが、試験に落第し、金も無くなると忽ち冷淡に取り扱われたのを憤慨して、この詩を宿の壁に書きつけたのであると伝えられる」とある。
  • この詩は、作者の若い頃の作と思われる。人情の軽薄さに憤慨して作った詩である。
  • 張謂 … 721~780?。盛唐の詩人。河南省沁陽(しんよう)の人。字(あざな)は正言(せいげん)。大暦六年(771)に礼部侍郎となったが、のちに潭(たん)州(湖南省長沙)の刺史に左遷された。ウィキペディア【張謂】参照。
世人結交須黄金
世(せ)人(じん) 交(まじ)わりを結(むす)ぶに黄金(おうごん)を須(もち)う
  • 世人 … 世間の人。
  • 結交 … 交際するのに。
  • 黄金 … 金銭。金の力。
  • 須 … 「もちう」「もちいる」と読み、「~を必要とする」と訳す。
黄金不多交不深
黄金(おうごん)多(おお)からざれば 交(まじ)わり深(ふか)からず
  • 黄金不多交不深 … 金が多くなければ、交際も深まらない。
縦令然諾暫相許
縱令(たとい) 然諾(ぜんだく)して暫(しばら)く相(あい)許(ゆる)すとも
  • 縱令 … 「たとい~とも」と読み、「たとえ~とも」「たとえ~であるとしても」「万が一~とも」と訳す。逆接の仮定条件の意を示す。「縦」「縦使」「仮令」も同じ。
  • 然諾 … よろしいと引き受けること。承知すること。承諾。
  • 許 … 『唐詩品彙』では「與」に作る。
  • 相 … ここでは「互いに」という意味ではなく、動作に対象があることを示す接頭語。「(対象に)~する」「(対象を)~する」と訳す。
  • 許 … 心を許す。ここでは親しく交際すること。
終是悠悠行路心
終(つい)に是(こ)れ悠悠(ゆうゆう)たる行(こう)路(ろ)の心(こころ)
  • 終 … 結局は。結局のところ。
  • 悠悠 … はるかに隔たること。ここでは、疎遠で無関心な態度を形容する言葉。
  • 行路心 … 道を行く通りすがりの人の気持ち。冷淡で無関心な気持ちをいう。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百九十七(排印本、中華書局、1960年)
  • 『唐詩品彙』巻四十八([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
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