送平淡然判官(王維)
送平淡然判官
平淡然判官を送る
平淡然判官を送る
- 〔テキスト〕 『王右丞文集』巻五(静嘉堂文庫蔵、略称:静嘉堂本)、『王摩詰文集』巻九(略称:蜀刊本)、『須溪先生校本唐王右丞集』巻五(『四部叢刊 初篇集部』所収)、顧起経注『類箋唐王右丞詩集』巻四(略称:顧起経注本)、顧可久注『唐王右丞詩集』巻五(『和刻本漢詩集成 唐詩1』所収、略称:顧可久注本)、趙殿成注『王右丞集箋注』巻八(略称:趙注本)、『唐詩選』巻三、『全唐詩』巻一百二十六、『文苑英華』巻二百六十八、『唐詩品彙』巻六十一、他
- 五言律詩。侯・愁・流・頭(平声尤韻)。
- ウィキソース「送平澹然判官」参照。
- 平淡然 … 人名。人物については不明。
- 淡 … 『全唐詩』『文苑英華』では「澹」に作る。同義。
- 判官 … 官名。節度使・観察使などの属官。長官を補佐する職。
- 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。字は摩詰。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられて尚書右丞(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
不識陽關路
識らず 陽関の路
- 陽関 … 今の甘粛省敦煌県の南西にあった関所。
新從定遠侯
新たに定遠侯に従う
- 定遠侯 … もとは後漢の班超を指すが、ここでは平淡然の上官である将軍を指す。
黃雲斷春色
黄雲 春色を断ち
- 黄雲 … 黄砂のために黄色くなった雲。
- 春色 … 春の光。謝朓の「徐都曹に和す」(『文選』巻三十)に「宛洛は遨游に佳く、春色は皇州に満つ」(宛洛佳遨游、春色滿皇州)とある。宛洛は、宛邑(南陽)と洛陽との二都。遨游は、気ままに遊び楽しむこと。皇州は、帝都の地。ウィキソース「昭明文選/卷30」参照。
畫角起邊愁
画角 辺愁を起す
- 画角 … 絵の描いてあるつの笛。軍中で用いる。
- 起 … 『顧起経注本』『全唐詩』には「一作越」とある。『静嘉堂本』『顧可久注本』では「赴」に作る。
瀚海經年別
瀚海 年を経て別れ
- 瀚海 … ゴビ砂漠のこと。あるいは北海(バイカル湖)のことともいう。
- 別 … 『顧起経注本』『全唐詩』では「到」に作り、「一作別」とある。『蜀刊本』『文苑英華』では「到」に作る。『四部叢刊本』には「一作到」とある。
交河出塞流
交河 塞を出でて流る
- 交河 … 新疆ウイグル自治区吐魯番の辺りを流れる川の名。
須令外國使
須らく外国の使いをして
- 須 … 『文苑英華』では「預」に作る。
知飮月支頭
月支の頭に飲むを知らしむべし
- 知 … 『顧起経注本』『全唐詩』には「一作只」とある。
- 月氏 … 中国の西域にいた民族の名。
- 支 … 『全唐詩』では「氏」に作る。
- 飲月支頭 … 匈奴が月支を破り、月支王のしゃれこうべを酒杯にして月支族を恐れさせたという、『史記』大宛伝にみえる故事を踏まえていったもの。
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