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和孔密州五絶東欄梨花(蘇軾)

和孔密州五絶東欄梨花
こうみつしゅうぜつ東欄とうらん梨花りか
しょく
  • 〔テキスト〕 『集註分類東坡先生詩』巻十(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
  • 七言絶句。青(平声青韻)、城・明(平声庚韻)通用。
  • ウィキソース「和孔密州五絕·東欄梨花」参照。
  • ねい十年(1077)、作者四十二歳。四月、徐州(江蘇省徐州市)の知事に赴任してのちの作。
  • 孔密州 … 蘇軾の後任として密州(山東省諸城県)の知事となった孔宗翰のこと。孔子の子孫。
  • 五絶 … 絶句五首。この詩はその三。
  • 和 … 孔密州の作った「東欄梨花」と題する詩に、韻を合わせて詩を作った。
  • 東欄 … 密州の官舎の東側の欄干。
  • 梨花 … なしの花。
  • 蘇軾 … 1036~1101。北宋の文学者・詩人。ざん(四川省)の人。あざなせん、号はとう居士。じゅんの子、てつの兄。嘉祐二年(1057)、弟とともに進士に及第。王安石の新法に反対したため左遷された。唐宋八大家の一人。著作集に『東坡全集』がある。ウィキペディア【蘇軾】参照。
梨花淡白柳深靑
梨花りか淡白たんぱくにして やなぎ深青しんせいなり
  • 梨花 … なしの花。
  • 淡白 … 淡い白色。ほんのりと白い。
  • 深青 … 深い緑色。
柳絮飛時花滿城
りゅうじょとき はなしろ
  • 柳絮 … 柳の白い綿毛のついた種子。晩春から初夏の頃、綿のように乱れ飛ぶ。
  • 花満城 … 町は花ですっかりうずまってしまう。城は、城壁で囲まれた町全体を指す。城市。
惆悵東欄一株雪
惆悵ちゅうちょうす 東欄とうらん一株いっしゅゆき
  • 惆悵 … 嘆き悲しむこと。傷み悲しむこと。後漢の秦嘉「婦に贈る詩三首 其二」(『玉台新詠』巻一)に「路に臨みて惆悵を懐き、あたりて正にてきちょくす」(臨路懷惆悵、中駕正躑躅)とある。躑躅は、行っては止まり、行っては止まって進まないこと。ウィキソース「贈婦詩」参照。
  • 東欄 … 密州の官舎の東側の欄干。
  • 一株雪 … 一本のなしの木の花を雪に喩えている。「しゅ」は草木を数える助数詞。
  • 一 … 「二」に作るテキストもある。
人生看得幾清明
人生じんせい いくたびの清明せいめいをか看得みえ
  • 清明 … 二十四節気の一つ。春分から十五日目。陰暦の三月、陽暦で四月五日頃。人々は墓参に出かけたり、山野に出て酒宴を開くなどの習慣があった。ウィキペディア【清明】参照。
  • 看得 … 見ることができる。「得」は動詞のあとについて、差し障りなく可能であることを示す。口語的用法。
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