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飲湖上初晴後雨二首 其二(蘇軾)

飲湖上初晴後雨二首 其二
じょういんす、はじめはのちあめふる しゅ
しょく
  • 〔テキスト〕 『集註分類東坡先生詩』巻十(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
  • 七言絶句。奇・宜(平声支韻)。
  • ウィキソース「飲湖上初晴後雨二首」参照。
  • ねい六年(1073)正月、三十八歳の作。
  • 湖上 … 湖の上。湖は杭州の西せい。西湖に船を浮かべて宴を催したときの即興詩。
  • 飲 … 酒を飲むこと。
  • 二首 其二 … 『集註分類東坡先生詩』では「二首 其一」に作る。
  • 蘇軾 … 1036~1101。北宋の文学者・詩人。ざん(四川省)の人。あざなせん、号はとう居士。じゅんの子、てつの兄。嘉祐二年(1057)、弟とともに進士に及第。王安石の新法に反対したため左遷された。唐宋八大家の一人。著作集に『東坡全集』がある。ウィキペディア【蘇軾】参照。
水光瀲灩晴方好
水光すいこう 瀲灩れんえんとして れてまさ
  • 水光 … 水面の光。
  • 瀲灩 … 小波さざなみがキラキラと輝くさま。畳韻(同じ母音で終わる二字の熟語)の語。
  • 灩 … 「灔」に作るテキストもある。異体字。
  • 方 … 「まさに」と読み、「ちょうど」「まさしく今」「それこそ」と訳す。「偏」に作るテキストもある。
  • 好 … 素晴らしい。
山色空濛雨亦奇
さんしょく 空濛くうもうとして あめなり
  • 山色 … 山の色あい。山の景色。
  • 空濛 … 霧雨が降って、ぼんやりと薄暗いさま。畳韻の語。
  • 亦 … 「(も)また~」と読み、「~もまた」「~も同様に」と訳す。ここでは「晴れた景色と同様に」の意。
  • 奇 … 際立って素晴らしい。「奇妙」の意ではない。
欲把西湖比西子
西せいって西せいせんとほっすれば
  • 西湖 … 杭州郊外の美しい湖。ウィキペディア【西湖 (杭州市)】参照。
  • 把 … 「以」と同じ。~をもって。
  • 西子 … 西施。春秋時代のえつの美女。越王勾践こうせんが呉に敗れたのち呉王夫差ふさのもとに送られ、夫差は彼女におぼれて国を亡ぼした。ウィキペディア【西施】参照。
  • 比 … たとえる。
淡粧濃抹總相宜
たんしょう 濃抹のうまつ べてあいよろ
  • 淡粧 … 薄化粧。西湖の雨や曇りの景色に喩える。
  • 濃抹 … 濃い化粧。厚化粧。「抹」は、なすりつける。西湖の晴れの景色に喩える。
  • 総 … すべて。みな。「揔」に作るテキストもある。同義。
  • 相宜 … ちょうど良い。ちょうど適当である。ぴったり似合う。
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