寄孫山人(儲光羲)
寄孫山人
孫山人に寄す
孫山人に寄す
新林二月孤舟還
新林 二月 孤舟還る
- 新林 … 春になって新しく芽吹いた林。一説に、長江の入り江の名。新林浦。『景定建康志』に「新林港は又新林浦と曰う。城の西南二十里に在り、濶さ三丈、深さ一丈、長さ一十二里」(新林港又曰新林浦。在城西南二十里、濶三丈、深一丈、長一十二里)とある。ウィキソース「景定建康志 (四庫全書本)/卷19」参照。
- 孤舟還 … 一艘の小舟で帰る。帰るのは孫山人とする説と、作者とする説とに分かれる。
水滿清江花滿山
水は清江に満ち 花は山に満つ
- 水満清江 … 春の水が清らかな川に満ちあふれている。東晋の陶潜「四時」詩に「春水四沢に満ち、夏雲奇峰多し」(春水滿四澤、夏雲多奇峰)とある。ウィキソース「陶淵明集 (四庫全書本)/卷3」参照。
借問故園隱君子
借問す 故園の隠君子
- 借問 … ちょっとお尋ねしますが。
- 故園 … 古い庭。古くから住み慣れた庭園。孫山人の住居を指す。故郷の意ではない。
- 隠君子 … 世を避けて山中に隠れ棲む徳の高い人。孫山人を指す。『史記』老子伝に「老子は隠君子なり」(老子隱君子也)とある。ウィキソース「史記/卷063」参照。
時時來往住人閒
時時来往して人間に住するかと
- 時時 … ときどき。ときおり。
- 来往 … 行き来する。行ったり来たりする。
- 往 … 『全唐詩』には「一作去」と注する。『万首唐人絶句』『河岳英霊集』では「去」に作る。
- 人間 … 「じんかん」と読む。人が住む世。世間。俗世間。盛唐の李白「山中問答」に「桃花流水窅然として去る、別に天地の人間に非ざる有り」(桃花流水窅然去、別有天地非人間)とある。ウィキソース「山中問荅」参照。
- 住 … 『全唐詩』には「一作在、一作向」と注する。『河岳英霊集』では「在」に作る。
- 時時來往住人間 … 『晋書』孫登伝に「時々人間に遊び、経る所の家、或いは衣食を設くる者は、一たりとも受くる所無し」(時時遊人間、所經家、或設衣食者、一無所受)とある。孫山人と同姓であるため、この故事を引いている。ウィキソース「晉書/卷094」参照。
テキスト
- 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
- 『全唐詩』巻一百三十九(排印本、中華書局、1960年)
- 『儲光羲集』巻五(明銅活字本、『唐五十家詩集』所収、上海古籍出版社、1989年)
- 『唐詩品彙』巻四十八([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
- 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
- 『河岳英霊集』巻下(傅璇琮編撰『唐人選唐詩新編』、陝西人民教育出版社、1996年)
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