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寄孫山人(儲光羲)

寄孫山人
孫山人そんさんじん
ちょこう
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻一百三十九、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『儲光羲集』巻五(『唐五十家詩集』所収)、『唐詩品彙』巻四十八、『河岳英霊集』巻下、他
  • 七言絶句。還・山・閒(平声刪韻)。
  • ウィキソース「寄孫山人」参照。
  • 孫 … 姓。人物については不明。
  • 山人 … 世を捨てて山中に隠れ住む人。
  • 寄 … 詩を人に託して送り届けること。「贈」は、詩を直接手渡すこと。
  • 儲光羲 … 707~763。盛唐の詩人。えんしゅう(山東省)の人。開元十四年(726)、進士に及第。監察御史となったが、安禄山の乱で反乱軍にとらえられ、その軍に仕えた。乱の平定後、嶺南に流されて死んだ。ウィキペディア【儲光羲】参照。
新林二月孤舟還
新林しんりん がつ しゅうかえ
  • 新林 … 春になって新しく芽吹いた林。一説に、長江の入り江の名。新林浦。『景定建康志』に「新林港はまた新林浦と曰う。城の西南二十里に在り、ひろさ三丈、深さ一丈、長さ一十二里」(新林港又曰新林浦。在城西南二十里、濶三丈、深一丈、長一十二里)とある。ウィキソース「景定建康志 (四庫全書本)/卷19」参照。
  • 孤舟還 … 一艘の小舟で帰る。帰るのは孫山人とする説と、作者とする説とに分かれる。
水滿清江花滿山
みず清江せいこうち はなやま
  • 水満清江 … 春の水が清らかな川に満ちあふれている。陶淵明の「四時」(『古文真宝 前集』巻一、他)に「しゅんすいたくち、うんほうおおし」(春水滿四澤、夏雲多奇峰)とある。ウィキソース「陶淵明集 (四庫全書本)/卷3」参照。
借問故園隱君子
借問しゃもんす えんいんくん
  • 借問 … ちょっとお尋ねしますが。
  • 故園 … 古い庭。古くから住み慣れた庭園。孫山人の住居を指す。故郷の意ではない。
  • 隠君子 … 世を避けて山中に隠れ棲む徳の高い人。孫山人を指す。『史記』老子伝に「ろういんくんなり」(老子隱君子也)とある。ウィキソース「史記/卷063」参照。
時時來往住人閒
時時じじ来往らいおうして人間じんかんじゅうするかと
  • 時時 … ときどき。ときおり。
  • 来往 … 行き来する。行ったり来たりする。
  • 往 … 『全唐詩』には「一作去」とある。『万首唐人絶句』『河岳英霊集』では「去」に作る。『唐五十家詩集本』『唐詩品彙』では「徃」に作る。異体字。
  • 人間 … 「じんかん」と読む。人が住む世。世間。俗世間。李白の「山中問答」に「とうりゅうすい窅然ようぜんとしてる、べつてん人間じんかんあらざるり」(桃花流水窅然去、別有天地非人間)とある。ウィキソース「山中問荅」参照。
  • 住 … 『全唐詩』には「一作在、一作向」とある。『河岳英霊集』では「在」に作る。
  • 時時來往住人間 … 『晋書』孫登伝に「時々じじ人間じんかんあそび、ところいえあるいはしょくもうくるものは、いつたりともくるところし」(時時遊人間、所經家、或設衣食者、一無所受)とある。孫山人と同姓であるため、この故事を引いている。ウィキソース「晉書/卷094」参照。
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