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長安道(儲光羲)

長安道
ちょうあんどう
ちょこう
  • ウィキソース「長安道 (鳴鞭過酒肆)」参照。
  • この詩は、長安の貴公子たちが酒色にふける様子を詠んだもの。
  • 詩題 … 長安道は、楽府題。横吹おうすい曲(馬上で奏する軍中の楽曲)に属する。『全唐詩』『唐五十家詩集本』では「長安道二首其一」に作る。『唐詩品彙』『万首唐人絶句』では「長安道二首其二」に作る。
  • 儲光羲 … 707~763。盛唐の詩人。えんしゅう(山東省)の人。開元十四年(726)、進士に及第。監察御史となったが、安禄山の乱で反乱軍にとらえられ、その軍に仕えた。乱の平定後、嶺南に流されて死んだ。ウィキペディア【儲光羲】参照。
鳴鞭過酒肆
むちらしてしゅよぎ
  • 鳴鞭 … (長安の貴公子たちが)馬上で鞭を打ち鳴らして。劉宋の鮑照の楽府「白馬篇」(『楽府詩集』巻六十三)に「鞭を鳴らして北風に乗ず」(鳴鞭乘北風)とある。ウィキソース「樂府詩集/063卷」参照。
  • 酒肆 … 酒場。『晋書』司馬道子伝に「どうきゅうじんをして酒肆をさしむ」(道子、使宮人爲酒肆)とある。ウィキソース「晉書/卷064」参照。司馬道子については、ウィキペディア【司馬道子】参照。
  • 過 … 「よぎる」と読む。立ち寄る。『史記』田叔伝に「会〻たまたま賢大夫少府ちょうきたりて衛将軍によぎる」(會賢大夫少府趙禹來過衛將軍)とある。ウィキソース「史記/卷104」参照。
袨服遊倡門
袨服げんぷく しょうもんあそ
  • 袨服 … きらびやかに盛装した服装。西晋の左思「蜀都の賦」(『文選』巻四)に「じんじょ、袨服せいしょうす」(都人士女、袨服靚䊋)とある。靚䊋は、白粉おしろいと黒いまゆずみ。ウィキソース「蜀都賦 (左思)」参照。左思については、ウィキペディア【左思】参照。また『漢書』鄒陽伝に「武力のてい叢台そうだいもとに袨服する者、一旦いったんいちを成すとも、幽王の湛患たんかんとどむること能わず」(武力鼎士、袨服叢臺之下者、一旦成市、而不能止幽王之湛患)とあり、その顔師古注に「袨服は、盛服なり」(袨服、盛服也)とある。湛患は、患いにしずむこと。ウィキソース「漢書/卷051」参照。また、初唐の杜審言「七夕」詩に「袨服環珮かんぱいしょうたり、香筵こうえん綺羅きらを払う」(袨服鏘環珮、香筵拂綺羅)とある。環珮は、腰につける環の形をした玉。おび玉。鏘は、金属的な澄んだ音の形容。香筵は、芳しい香りが漂う宴席。綺羅は、綾絹と薄絹。転じて、美しい着物。ウィキソース「七夕 (杜審言)」参照。
  • 袨 … 『唐五十家詩集本』『唐詩品彙』では「袪」に作る。
  • 倡門 … 娼家。ろう。倡は、娼に同じ。
百萬一時盡
ひゃくまん いちくし
  • 百万 … 百万の大金。百万銭。銅貨一枚を一銭または一文と呼び、漢の武帝から唐初の武徳四年(621)までは銖銭しゅせん、それ以降は開元通宝が流通した。ウィキペディア【中国の貨幣制度史】参照。『宋書』武帝本紀上に「りゅうは家に担石たんせきたくわえ無けれども、ちょ百万を一擲いってきす」(劉毅家無擔石之儲、樗蒲一擲百萬)とある。担石は、わずかの量。樗蒲は、ばくち。ウィキソース「宋書/卷1」参照。
  • 一時尽 … 一度に使い果たす。一度に蕩尽する。
含情無片言
じょうふくんで片言へんげん
  • 含情 … (お気に入りの遊女への)思いを心に秘めたまま。三国魏の王粲「公讌こうえんの詩」(『文選』巻二十)に「今日かんを極めずんば、情を含んでたれをか待たんと欲す」(今日不極歡、含情欲待誰)とある。公讌は、おおやけの宴。ウィキソース「公讌詩 (王粲)」参照。また、南朝梁の沈約「初春」詩(『玉台新詠』巻五)に「且つ復た帰り去らん、情を含みて杯酒はいしゅを寄す」(且復歸去來、含情寄杯酒)とある。來は、助辞。読まない。ウィキソース「初春 (沈約)」参照。
  • 無片言 … ただの一言も言わない。南朝梁の呉均「きょしょうぜんに贈る」詩(『玉台新詠』巻六)に「願わくは君がちゅうせきおもい、片言ときゆるされんことを」(願君憶疇昔、片言時見饒)とある。去妾は、捨てられたわらわ。疇昔は、過日。昔。ウィキソース「去妾贈前夫」参照。
詩型・韻字
  • 五言絶句。
  • 門・言(上平声元韻)。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻六(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百三十九(排印本、中華書局、1960年)
  • 『儲光羲集』巻五(明銅活字本、『唐五十家詩集』所収、上海古籍出版社、1989年)
  • 『唐詩解』巻二十二(順治十六年刊、内閣文庫蔵)
  • 『万首唐人絶句』五言・巻八(明嘉靖本影印、文学古籍刊行社、1955年)
  • 『唐詩品彙』巻四十([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『古今詩刪』巻二十(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
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