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従軍行三首 其一(王昌齢)

從軍行三首 其一
じゅうぐんこう三首さんしゅ いち
おうしょうれい
  • 七言絶句。樓・秋・愁(平声尤韻)。
  • 従軍行 … 楽府題。従軍の歌。行は、歌・曲の意。軍旅の苦辛を述べて作る。『楽府古題要解』巻下、従軍行の条に「皆軍旅の苦辛を述ぶるの詞なり」(皆述軍旅苦辛之詞也)とある。ウィキソース「樂府古題要解」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』では「從軍行七首 其一」に作る。
  • 王昌齢 … 698~755。盛唐の詩人。京兆(陝西省西安市)の人。あざなは少伯。開元十五年(727)、進士に及第。秘書省の校書郎に任ぜられたが、素行が悪かったため、竜標(湖南省黔陽けんよう)の尉に左遷された。のちに安禄山の乱が起こったので故郷に逃げ帰ったが、刺史のりょ丘暁きゅうぎょうに殺されたという。李白とともに七言絶句の名手として有名。また、高適・岑参とともに辺塞詩人のひとりに数えられる。『王昌齢詩集』がある。ウィキペディア【王昌齢】参照。
烽火城西百尺樓
ほうじょう西せい ひゃくせきろう
  • 烽火城 … のろしをあげる要塞。
黄昏獨坐海風秋
黄昏こうこん ひとす 海風かいふうあき
  • 黄昏 … たそがれ。
  • 坐 … 『全唐詩』では「上」に作り、「一作坐」とある。
  • 海風 … 青海(ココノール湖)から吹いてくる風。
更吹羌笛關山月
さらきょうてきく 関山月かんざんげつ
  • 羌笛 … 羌族の吹く笛のこと。羌族は、チベット系異民族。馬融の「長笛の賦」(『文選』巻十八)に「近世の双笛は羌より起る。きょうひと竹をりて未だわるに及ばざるに、竜水中に鳴きて己をあらわさず。竹をりて之を吹くに声相似たり。其の上孔をけずりて之を通洞し、りて以てむちに当て便にして持ち易し。易の京君明音律を識り、故に本四孔にして加うるに一を以てす。君明の加うる所の孔後に出で、是を商声と謂い、五音そなわる」(近世雙笛從羌起。羌人伐竹未及已、龍鳴水中不見己。截竹吹之聲相似。剡其上孔通洞之、裁以當簻便易持。易京君明識音律、故本四孔加以一。君明所加孔後出、是謂商聲、五音畢)とある。ウィキソース「長笛賦」参照。
  • 羌 … 『全唐詩』では「一作横」とある。『楽府詩集』『河岳英霊集』では「横」に作る。
  • 関山月 … 笛の曲名。ここではこの曲名と月明りのもとで笛を吹くことをかけている。
無那金閨萬里愁
いかんともするし 金閨きんけいばんうれ
  • 無那 … 『全唐詩』では「一作誰解」とある。
  • 金閨 … 愛する女性の美しい部屋。
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