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少年行(崔国輔)

少年行
しょうねんこう
さいこく
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻六、『全唐詩』巻一百十九、『楽府詩集』巻六十六・雑曲歌辞、『文苑英華』巻二百五、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『古今詩刪』巻二十(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、50頁)、『唐詩品彙』巻三十九、他
  • 五言絶句。行・情(平声庚韻)。
  • ウィキソース「長樂少年行」参照。
  • 少年行 … 楽府題。若者の歌。行は、歌・曲の意。『楽府古題要解』巻下、結客少年の条に「生を軽んじ義を重んじ、慷慨以て功名を立つるを言うなり」(言輕生重義、慷慨以立功名也)とある。ウィキソース「樂府古題要解」参照。『全唐詩』では「長樂少年行」に作り、「一作古意」とある。『楽府詩集』では「長樂少年行」に作る。『文苑英華』では「古意六首 其一」に作る。
  • この詩は、白馬にまたがった貴公子が花街で遊興する様子を詠んだもの。
  • 崔国輔 … 生没年不詳。盛唐の詩人。山陰(浙江省紹興)の人。一説に呉郡(江蘇省)の人ともいう。あざなは不詳。開元十四年(726)、進士に及第。集賢院直学士・礼部郎中を歴任した。天宝十一載(752年)、御史大夫の王鉷おうこうが死罪となり、その近親者であったので連座して竟陵きょうりょう(今の湖北省天門市)の司馬(郡の属官)に左遷された。楽府の短い詩を得意とした。ウィキペディア【崔国輔】参照。
遺卻珊瑚鞭
きゃくす さんむち
  • 遺却 … 置き忘れる。却は、動詞の下につける助辞で、「~してしまう」という語感を添える。
  • 珊瑚鞭 … 柄を珊瑚珠で飾った贅沢な鞭。『涼州記』に「張駿陵を盗発とうはつして鞭を得、飾るに珊瑚を以てす」(盜發張駿陵得鞭、飾以珊瑚)とある。盗発は、墓をあばいて中の品物を盗み取ること。ウィキソース「涼州記 (段龜龍)」参照。また南朝梁の元帝の「紫騮馬」(『古詩紀』巻八十)に「長安の美少年、金絡きんらく鉄連銭てつれんせん、宛転たり青糸のこう、照り耀く珊瑚の鞭」(長安美少年、金絡鐵連錢、宛轉青絲鞚、照耀珊瑚鞭)とある。金絡は、黄金で作った面繋おもがい(馬の頭の上からくつわにかけて飾りにする紐)。鉄連銭は、黒い銭形の斑点がある馬。鞚は、面繋と轡。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷080」参照。
白馬驕不行
はくおごりてかず
  • 白馬 … 白い馬。曹植の「白馬篇」(『文選』巻二十七)に「白馬きんを飾り、連翩れんぺんとして西北にす。借問しゃもんが家の子ぞ、幽幷ゆうへいの遊俠児」(白馬飾金羈、連翩西北馳。借問誰家子、幽幷遊俠兒)とある。幽幷は、幽州と幷州。ウィキソース「昭明文選/卷27」参照。
  • 驕 … 馬が首を高く上げて、勇み立つさま。『詩経』衛風・碩人の詩に「四牡しぼきょうたるり、朱幩しゅふん鑣鑣ひょうひょうたり」(四牡有驕、朱幩鑣鑣)とある。朱幩は、馬のくつわの赤い房飾り。鑣鑣は、軽やかに進むさま。ウィキソース「詩經/碩人」参照。
  • 不行 … 進もうとしない。
章臺折楊柳
しょうだい ようりゅう
  • 章台 … 漢代の長安の町名。唐詩では遊里の代名詞に使われる。もとは戦国時代の秦の都咸陽の西南隅にあった宮殿。宮殿内に章台という高殿があり、宮殿は章台宮と呼ばれた。藺相如が璧を奉じて秦王に謁見した場所でもある。『史記』藺相如伝に「秦王、章台に坐して相如を見る。相如、たまを奉じて秦王にすすむ」(秦王坐章臺見相如。相如奉璧奏秦王)とある。ウィキソース「史記/卷081」参照。また、漢の張敞ちょうしょうは長安の長官であったが、朝廷から退出すると章台の町を馬で通ったという。『漢書』張敞伝に「然れども敞は威儀無く、ときに朝会をめ、よぎりて馬を章台の街に走らしめ、御吏をして駆らしめ、自ら便面を以て馬をつ」(然敞無威儀、時罷朝會、過走馬章臺街、使御吏驅、自以便面拊馬)とある。ウィキソース「漢書/卷076」参照。
  • 折楊柳 … 柳の枝を折って鞭の代わりにする。中唐の詩人、韓翃かんこう(『柳氏伝』では韓翊かんよくに作る)と愛妾の柳氏は、安史の乱によって離れ離れとなり、柳氏は尼僧となっていた。数年後、韓翃が柳氏に詩を贈った。柳氏はむせび泣いて返しの詩を詠んだという故事を踏まえる。『柳氏伝』に「よくは乃ち使いをつかわし、間行して柳氏を求めしむ。練囊れんのうを以てきんを盛り、之に題して曰く、章台の柳、章台の柳。昔日青青たりしも今在りや否や。縦使たとい長きえだもとごとく垂るるとも、亦た応に他人の手に攀折はんせつせられぬべし、と。柳氏は金を捧げてえつし、左右も凄憫せいびんす。之に答えて曰く、楊柳の枝、ほうの節、恨む所は年年離別に贈る。一葉風に随って忽ち秋を報ず。縦使たといきたるもに折るに堪えんや、と」(翊乃遣使、間行求柳氏。以練囊盛麩金、題之曰、章臺柳、章臺柳。昔日靑靑今在否。縱使長條似舊垂、亦應攀折他人手。柳氏捧金嗚咽、左右淒憫。答之曰、楊柳枝、芳菲節、所恨年年贈離別。一葉隨風忽報秋。縱使君來豈堪折)とある。ウィキソース「太平廣記/卷第485」「本事詩/1」参照。
春日路傍情
しゅんじつ ぼうじょう
  • 春日 … 春の日。
  • 日 … 『全唐詩』には「一作草」とある。『楽府詩集』では「草」に作る。
  • 路傍 … 道ばた。ここでは両側の娼家から眺めている遊女たちを指す。
  • 傍 … 『唐詩品彙』では「」に作る。異体字。
  • 情 … 少年の心情。あだごころ(浮気な心)。
歴代詩選
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南北朝
初唐 盛唐
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北宋 南宋
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
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