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奉和初春幸太平公主南荘応制(蘇頲)

奉和初春幸太平公主南莊應制
初春しょしゅん太平たいへい公主こうしゅ南荘なんそうみゆきす」にたてまつる 応制おうせい
てい
  • 七言律詩。川・年・筵・泉・邊(平声先韻)。
  • 太平公主 … 高宗と則天武后との間に生まれた皇女。公主は皇女。ウィキペディア【太平公主】参照。
  • 南荘 … 長安南郊の楽遊原らくゆうげんにかまえていた別荘のこと。
  • 幸 … 天子が出かけることをいう敬語。
  • 応制 … 天子の命令によって作った詩文。
  • この詩は『文苑英華』巻176では沈佺期の作として収録している。
  • これと同じ題の詩が李邕の詩に見える。
  • 蘇頲 … 670~727。初唐の詩人。ようしゅうこう(陝西省武功県)の人。あざな廷碩ていせき。監察御史などの官職を歴任後、開元四年(716)に宰相となった。ウィキペディア【蘇テイ】参照。
主第山門起灞川
主第しゅだい山門さんもん灞川はせんおこ
  • 主第 … 公主の邸宅。
  • 灞川 … 川の名。長安の東郊を北へ流れる。
宸遊風景入初年
宸遊しんゆう風景ふうけい初年しょねん
  • 宸遊 … 天子が出かけること。行幸。
  • 初年 … 新春のこと。
鳳皇樓下交天仗
鳳皇楼ほうおうろう 天仗てんじょうまじわり
  • 鳳皇楼 … 秦の穆王(在位前659~前621)の娘弄玉ろうぎょくが、しょうの名人しょうと住んだ楼の名。李邕の詩では「仙人楼」とある。弄玉は蕭史に惚れたため、穆公は弄玉を蕭史に嫁がせた。蕭史は彼女に簫の吹き方を教え、彼女は鳳凰の鳴き声が吹けるようになった。数年後、鳳凰が簫の音に誘われて訪れるようになった。穆公は彼らのために鳳台ほうだいを築いてやった。のちに二人は昇天して仙人になったという。『列仙伝』巻上に「蕭史は、秦の穆公の時の人なり。善く簫を吹き、能く孔雀・白鶴を庭に致す。穆公にむすめ有り、あざなは弄玉、之を好む。公ついに女を以てめあわす。日〻ひび弄玉に鳳鳴を作すを教う。居ること数年、吹くこと鳳声に似たり。鳳凰きたりて其のおくとどまる。公ために鳳台を作るに、夫婦其の上に止まり、下らざること数年、一日、皆鳳凰に随って飛び去る。故に秦人しんぴと為に鳳女ほうじょを雍宮中に作るに、時に簫声有るのみ」(蕭史者、秦穆公時人也。善吹簫、能致孔雀白鶴於庭。穆公有女、字弄玉、好之。公遂以女妻焉。日教弄玉作鳳鳴。居數年、吹似鳳聲。鳳凰來止其屋。公爲作鳳臺、夫婦止其上、不下數年、一日、皆隨鳳凰飛去。故秦人爲作鳳女祠於雍宮中、時有簫聲而已)とある。ウィキソース「列仙傳」参照。
  • 天仗 … 天子の行列を護衛する儀仗兵。
烏鵲橋頭敞御筵
烏鵲橋うじゃくきょうとう 御筵ぎょえんはるかなり
  • 烏鵲橋 … 烏鵲は「カササギ」。カササギが羽をつらねて作る橋。七月七日に、牽牛と織女が逢うために天の川にかけわたすという。李邕の詩では「織女橋」とある。
  • 頭 … 『全唐詩』には「一作邊」とある。
  • 御筵 … 天子の開く宴席。
  • 敞 … ひろびろとひらけている。
往往花間逢綵石
往往おうおうかん 綵石さいせき
  • 綵石 … 色とりどりの石。穆王が綵石山に登って、色とりどりの美しい石を拾ったという『穆天子伝』に見える故事を踏まえる。
時時竹裏見紅泉
時時じじ竹裏ちくり 紅泉こうせん
  • 紅泉 … 仙界にあるといわれる紅色の泉。『文苑英華』では「虹泉」に作る。
今朝扈蹕平陽館
こんちょうひつしたがう 平陽館へいようかん
  • 今朝 … 今日。
  • 扈蹕 … 天子の行幸に随行すること。
  • 平陽館 … 漢の武帝の姉、平陽公主の屋敷。
不羨乘槎雲漢邊
いかだ雲漢うんかんほとりじょうずるをうらやまず
  • 乗槎 … いかだに乗って黄河をさかのぼり、天の川に至ったという故事。
  • 雲漢 … 天の川。
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