奉和初春幸太平公主南荘応制(蘇頲)
奉和初春幸太平公主南莊應制
「初春、太平公主の南荘に幸す」に和し奉る 応制
「初春、太平公主の南荘に幸す」に和し奉る 応制
主第山門起灞川
主第の山門は灞川に起り
- 主第 … 公主の邸宅。
- 灞川 … 川の名。長安の東郊を北へ流れる。
宸遊風景入初年
宸遊の風景初年に入る
- 宸遊 … 天子が出かけること。行幸。
- 初年 … 新春のこと。
鳳皇樓下交天仗
鳳皇楼下 天仗交わり
- 鳳皇楼 … 秦の穆王(在位前659~前621)の娘弄玉が、簫の名人蕭史と住んだ楼の名。李邕の詩では「仙人楼」とある。弄玉は蕭史に惚れたため、穆公は弄玉を蕭史に嫁がせた。蕭史は彼女に簫の吹き方を教え、彼女は鳳凰の鳴き声が吹けるようになった。数年後、鳳凰が簫の音に誘われて訪れるようになった。穆公は彼らのために鳳台を築いてやった。のちに二人は昇天して仙人になったという。『列仙伝』巻上に「蕭史は、秦の穆公の時の人なり。善く簫を吹き、能く孔雀・白鶴を庭に致す。穆公に女有り、字は弄玉、之を好む。公遂に女を以て妻す。日〻弄玉に鳳鳴を作すを教う。居ること数年、吹くこと鳳声に似たり。鳳凰来りて其の屋に止まる。公為に鳳台を作るに、夫婦其の上に止まり、下らざること数年、一日、皆鳳凰に随って飛び去る。故に秦人為に鳳女祠を雍宮中に作るに、時に簫声有るのみ」(蕭史者、秦穆公時人也。善吹簫、能致孔雀白鶴於庭。穆公有女、字弄玉、好之。公遂以女妻焉。日教弄玉作鳳鳴。居數年、吹似鳳聲。鳳凰來止其屋。公爲作鳳臺、夫婦止其上、不下數年、一日、皆隨鳳凰飛去。故秦人爲作鳳女祠於雍宮中、時有簫聲而已)とある。ウィキソース「列仙傳」参照。
- 天仗 … 天子の行列を護衛する儀仗兵。
烏鵲橋頭敞御筵
烏鵲橋頭 御筵敞かなり
- 烏鵲橋 … 烏鵲は「カササギ」。カササギが羽をつらねて作る橋。七月七日に、牽牛と織女が逢うために天の川にかけわたすという。李邕の詩では「織女橋」とある。
- 頭 … 『全唐詩』には「一作邊」とある。
- 御筵 … 天子の開く宴席。
- 敞 … ひろびろとひらけている。
往往花間逢綵石
往往花間 綵石に逢い
- 綵石 … 色とりどりの石。穆王が綵石山に登って、色とりどりの美しい石を拾ったという『穆天子伝』に見える故事を踏まえる。
時時竹裏見紅泉
時時竹裏 紅泉を見る
- 紅泉 … 仙界にあるといわれる紅色の泉。『文苑英華』では「虹泉」に作る。
今朝扈蹕平陽館
今朝蹕に扈う 平陽館
- 今朝 … 今日。
- 扈蹕 … 天子の行幸に随行すること。
- 平陽館 … 漢の武帝の姉、平陽公主の屋敷。
不羨乘槎雲漢邊
槎に雲漢の辺に乗ずるを羨まず
- 乗槎 … いかだに乗って黄河をさかのぼり、天の川に至ったという故事。
- 雲漢 … 天の川。
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