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奉和初春幸太平公主南莊應制(李邕)

奉和初春幸太平公主南荘応制
初春しょしゅん太平たいへい公主こうしゅ南荘なんそうみゆきす」にたてまつる 応制おうせい
よう
  • 七言律詩。微・飛・衣・歸(平声微韻)。
  • 太平公主 … 高宗と則天武后との間に生まれた皇女。公主は皇女。ウィキペディア【太平公主】参照。
  • 南荘 … 長安南郊の楽遊原らくゆうげんにかまえていた別荘のこと。
  • 幸 … 天子が出かけることをいう敬語。
  • 応制 … 天子の命令によって作った詩文。
  • これと同じ題の詩が蘇頲の詩に見える。
  • 李邕 … 678~747。盛唐の詩人。江蘇省江都県の人。あざなは泰和。ウィキペディア【李ヨウ (唐)】参照。
傳聞銀漢支機石
つたく 銀漢ぎんかん 支機しきいし
  • 銀漢 … 天の川。
  • 支機石 … 天上の織女がはたのささえに使ったという石。ある男がもらって帰ったという。
復見金輿出紫微
る 金輿きんよ紫微しびよりづるを
  • 金輿 … 黄金で飾った天子の輿こし
  • 紫微 … もとは北斗星の北東にある十五の星の名。伝説では、その一つが天の軸にあたり、天帝の住む宮殿とされる。転じて、王宮のこと。ここでは天子の宮殿を指す。紫微宮・紫微星・えん・紫宮とも。『晋書』天文志に「きゅうえんじゅうせい西番せいばんななつ、東番とうばんつ、ほくきたり。いつ紫微しびう。大帝たいていなり。てんじょうきょなり。めいつかさどつかさどるなり」(紫宮垣十五星、其西番七、東番八、在北斗北。一曰紫微。大帝之坐也。天子之常居也。主命主度也)とある。ウィキソース「晉書/卷011」参照。
織女橋邊烏鵲起
織女橋しょくじょきょうへん 烏鵲うじゃく
  • 織女橋 … 七月七日に、牽牛と織女が逢うために、烏鵲すなわちカササギが天の川にかけるという橋。蘇頲の詩では「烏鵲橋」とある。
  • 烏鵲 … カササギ。
仙人樓上鳳皇飛
仙人楼せんにんろうじょう 鳳皇ほうおう
  • 仙人楼 … 秦の穆王(在位前659~前621)の娘弄玉ろうぎょくが、しょうの名人しょうと住んだ楼の名。蘇頲の詩では「鳳皇楼」とある。弄玉は蕭史に惚れたため、穆公は弄玉を蕭史に嫁がせた。蕭史は彼女に簫の吹き方を教え、彼女は鳳凰の鳴き声が吹けるようになった。数年後、鳳凰が簫の音に誘われて訪れるようになった。穆公は彼らのために鳳台ほうだいを築いてやった。のちに二人は昇天して仙人になったという。『列仙伝』巻上に「蕭史は、秦の穆公の時の人なり。善く簫を吹き、能く孔雀・白鶴を庭に致す。穆公にむすめ有り、あざなは弄玉、之を好む。公ついに女を以てめあわす。日〻ひび弄玉に鳳鳴を作すを教う。居ること数年、吹くこと鳳声に似たり。鳳凰きたりて其のおくとどまる。公ために鳳台を作るに、夫婦其の上に止まり、下らざること数年、一日、皆鳳凰に随って飛び去る。故に秦人しんぴと為に鳳女ほうじょを雍宮中に作るに、時に簫声有るのみ」(蕭史者、秦穆公時人也。善吹簫、能致孔雀白鶴於庭。穆公有女、字弄玉、好之。公遂以女妻焉。日教弄玉作鳳鳴。居數年、吹似鳳聲。鳳凰來止其屋。公爲作鳳臺、夫婦止其上、不下數年、一日、皆隨鳳凰飛去。故秦人爲作鳳女祠於雍宮中、時有簫聲而已)とある。ウィキソース「列仙傳」参照。
流風入座飄歌扇
流風りゅうふう って歌扇かせんひるがえ
  • 流風 … そよ吹く風。
  • 座 … 宴席。
  • 歌扇 … 歌いのかざす扇。
瀑水侵階濺舞衣
瀑水ばくすい かいおかして舞衣ぶいそそ
  • 瀑水 … 滝の水。
  • 侵階 … 滝のしぶきが宮殿のきざはしまで飛んでくる。「当階」に作るテキストもある。
  • 濺 … しぶきがかかる。
  • 舞衣 … 舞姫の衣。
今日還同犯牛斗
今日こんにち牛斗ぎゅうとおかせしにおな
  • 犯牛斗 … 牛宿・斗宿の二つの星座に侵入すること。天の川に侵入した男の故事に基づく。
乘槎共泛海潮歸
いかだりてとも海潮かいちょううかんでかえらん
  • 乗槎 … いかだに乗って黄河をさかのぼり、天の川に至ったという故事に基づく。
  • 泛 … 『全唐詩』では「逐」に作り、「一作泛」とある。
  • 海潮 … うしお。
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