奉和初春幸太平公主南莊應制(李邕)
奉和初春幸太平公主南荘応制
「初春、太平公主の南荘に幸す」に和し奉る 応制
「初春、太平公主の南荘に幸す」に和し奉る 応制
傳聞銀漢支機石
伝え聞く 銀漢 支機の石
- 銀漢 … 天の川。
- 支機石 … 天上の織女が機のささえに使ったという石。ある男がもらって帰ったという。
復見金輿出紫微
復た見る 金輿の紫微より出づるを
- 金輿 … 黄金で飾った天子の神輿。
- 紫微 … もとは北斗星の北東にある十五の星の名。伝説では、その一つが天の軸にあたり、天帝の住む宮殿とされる。転じて、王宮のこと。ここでは天子の宮殿を指す。紫微宮・紫微星・紫垣・紫宮とも。『晋書』天文志に「紫宮垣の十五星、其の西番七つ、東番八つ、北斗の北に在り。一に紫微と曰う。大帝の坐なり。天子の常居なり。命を主り度を主るなり」(紫宮垣十五星、其西番七、東番八、在北斗北。一曰紫微。大帝之坐也。天子之常居也。主命主度也)とある。ウィキソース「晉書/卷011」参照。
織女橋邊烏鵲起
織女橋辺 烏鵲起ち
- 織女橋 … 七月七日に、牽牛と織女が逢うために、烏鵲すなわちカササギが天の川にかけるという橋。蘇頲の詩では「烏鵲橋」とある。
- 烏鵲 … カササギ。
仙人樓上鳳皇飛
仙人楼上 鳳皇飛ぶ
- 仙人楼 … 秦の穆王(在位前659~前621)の娘弄玉が、簫の名人蕭史と住んだ楼の名。蘇頲の詩では「鳳皇楼」とある。弄玉は蕭史に惚れたため、穆公は弄玉を蕭史に嫁がせた。蕭史は彼女に簫の吹き方を教え、彼女は鳳凰の鳴き声が吹けるようになった。数年後、鳳凰が簫の音に誘われて訪れるようになった。穆公は彼らのために鳳台を築いてやった。のちに二人は昇天して仙人になったという。『列仙伝』巻上に「蕭史は、秦の穆公の時の人なり。善く簫を吹き、能く孔雀・白鶴を庭に致す。穆公に女有り、字は弄玉、之を好む。公遂に女を以て妻す。日〻弄玉に鳳鳴を作すを教う。居ること数年、吹くこと鳳声に似たり。鳳凰来りて其の屋に止まる。公為に鳳台を作るに、夫婦其の上に止まり、下らざること数年、一日、皆鳳凰に随って飛び去る。故に秦人為に鳳女祠を雍宮中に作るに、時に簫声有るのみ」(蕭史者、秦穆公時人也。善吹簫、能致孔雀白鶴於庭。穆公有女、字弄玉、好之。公遂以女妻焉。日教弄玉作鳳鳴。居數年、吹似鳳聲。鳳凰來止其屋。公爲作鳳臺、夫婦止其上、不下數年、一日、皆隨鳳凰飛去。故秦人爲作鳳女祠於雍宮中、時有簫聲而已)とある。ウィキソース「列仙傳」参照。
流風入座飄歌扇
流風 座に入って歌扇を飄し
- 流風 … そよ吹く風。
- 座 … 宴席。
- 歌扇 … 歌い女のかざす扇。
瀑水侵階濺舞衣
瀑水 階を侵して舞衣に濺ぐ
- 瀑水 … 滝の水。
- 侵階 … 滝のしぶきが宮殿のきざはしまで飛んでくる。「当階」に作るテキストもある。
- 濺 … しぶきがかかる。
- 舞衣 … 舞姫の衣。
今日還同犯牛斗
今日還た牛斗を犯せしに同じ
- 犯牛斗 … 牛宿・斗宿の二つの星座に侵入すること。天の川に侵入した男の故事に基づく。
乘槎共泛海潮歸
槎に乗りて共に海潮に泛んで帰らん
- 乗槎 … いかだに乗って黄河をさかのぼり、天の川に至ったという故事に基づく。
- 泛 … 『全唐詩』では「逐」に作り、「一作泛」とある。
- 海潮 … うしお。
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