>   漢詩   >   唐詩選   >   巻五 七律   >   奉和春日幸望春宮応制(蘇頲)

奉和春日幸望春宮応制(蘇頲)

奉和春日幸望春宮應制
「春(しゅん)日(じつ)、望(ぼう)春宮(しゅんきゅう)に幸(みゆき)す」に和(わ)し奉(たてまつ)る 応制(おうせい)
蘇(そ)頲(てい)
  • 七言律詩。憐・煙・懸・前・絃(下平声先韻)。
  • ウィキソース「奉和春日幸望春宮應制 (蘇頲)」参照。
  • 望春宮 … 長安の東郊にあった宮殿。当時、立春の日に天子がここで迎春の儀式を行なった。
  • 幸 … 天子が出かけることをいう敬語。
  • 応制 … 天子の命令によって作られた詩文。南北朝の頃までは「応(おう)詔(しょう)」の用例が多い。唐代は則天武后の諱(いみな)「照(しょう)」の音を避けて「応制」を用いるようになった。皇太子・皇子の場合は「応令(おうれい)」「応(おう)教(きょう)」を用いる。
  • 蘇頲 … 670~727。初唐の詩人。京兆府武(ぶ)功(こう)県(陝西省武功県)の人。字(あざな)は廷碩(ていせき)。調露二年(680)、十一歳にして進士に及第し、烏(う)程(てい)県(浙江省呉興区)の尉となったと伝えられる。監察御史、中書舎人などの官職を歴任後、開元四年(716)に同中書門下平章事(宰相職)となり、玄宗を補佐した。ウィキペディア【蘇頲】参照。
東望望春春可憐
東(ひがし)のかた望(ぼう)春(しゅん)を望(のぞ)めば春(はる)憐(あわ)れむべし
  • 望春 … 望春宮。
  • 可憐 … 風情のあることをいう。
更逢晴日柳含煙
更(さら)に晴日(せいじつ)に逢(お)うて柳(やなぎ)は煙(けむり)を含(ふく)む
  • 煙 … ここでは春霞。
宮中下見南山盡
宮中(きゅうちゅう)下(しも)に見(み)る 南山(なんざん)の尽(つ)くるを
  • 南山 … 終南山。
城上平臨北斗懸
城上(じょうじょう)平(たい)らかに臨(のぞ)む 北(ほく)斗(と)の懸(かか)るを
  • 城上 … 城壁の上。
  • 北斗 … 北斗七星。ウィキペディア【北斗七星】参照。『史記』天官書に「北斗の七星は、所謂(いわゆる)旋(せん)・璣(き)・玉(ぎょっ)衡(こう)、以て七政を斉(ととの)うるものなり」(北斗七星、所謂旋璣玉衡、以齊七政)とある。旋・璣は、北斗七星の第二・第三星。一説に、第一星から第四星とも。玉衡は、北斗七星の第五星。一説に、第五星から第七星とも。七政は、太陽・月と、水星・火星・金星・木星・土星の五星のこと。ウィキソース「史記/卷027」参照。
細草偏承回輦處
細草(さいそう)偏(ひと)えに承(う)く 輦(れん)を回(めぐ)らす処(ところ)
  • 細草 … 細かく生えた若草。南朝梁の王筠の楽府「有所思」(『楽府詩集』巻十七、『玉台新詠』巻八・宋刻不収)に「丹(たん)墀(ち) 細草を生じ、紫殿 軽陰(けいいん)を納(い)る」(丹墀生細草、紫殿納輕陰)とある。丹墀は、宮殿の赤く塗った庭。軽陰は、うっすらとした木陰。ウィキソース「有所思 (王筠)」参照。
  • 承 … うけとめる。
  • 輦 … 天子の乗る車。
輕花微落奉觴前
軽(けい)花(か)微(わず)かに落(お)つ 觴(さかづき)を奉(ささ)ぐる前(まえ)
  • 軽花 … 軽やかに舞う花びら。
  • 輕花微落奉觴前 … 『全唐詩』には「一作飛花故落舞筵前」と注する。
宸遊對此歡無極
宸遊(しんゆう)此(これ)に対(たい)して歓(よろこ)び極(きわ)まり無(な)し
  • 宸遊 … 天子が出かけること。行幸。
鳥哢聲聲入管絃
鳥(ちょう)哢(ろう)は声声(せいせい) 管絃(かんげん)に入(い)る
  • 鳥哢 … 鳥のさえずり。
  • 声声 … 一声ずつ。
  • 入管絃 … 演奏されている管絃の音に和して聞こえる。
  • 鳥哢聲聲入管絃 … 『全唐詩』には「一作鳥哢歌聲雜管絃」と注する。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻七十三(排印本、中華書局、1960年)
歴代詩選
古代 前漢
後漢 魏
晋 南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
金 元
明 清
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行