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渡揚子江(丁仙芝)

渡揚子江
揚(よう)子(す)江(こう)を渡(わた)る
丁(てい)仙(せん)芝(し)
  • 五言律詩。明・城・生・聲(下平声庚韻)。
  • ウィキソース「渡揚子江 (丁仙芝)」参照。
  • 丁仙芝 … 生没年不詳。盛唐の詩人。字(あざな)は元禎。潤州曲阿県(現在の江蘇省鎮江市丹陽市)の人。開元十三年(725)、進士に及第。杭州余杭(現在の浙江省杭州市余杭区)の尉(治安担当の官)をつとめた。『全唐詩』に詩が十四首残っている。ウィキペディア【丁仙芝】(中文)参照。
桂楫中流望
桂(けい)楫(しゅう) 中流(ちゅうりゅう)に望(のぞ)めば
  • 桂楫 … 桂の木で作った美しいかい。
空波兩畔明
空(くう)波(は) 両(りょう)畔(はん)明(あき)らかなり
  • 空波 … 江上が広々と広がっているさま。
  • 両畔 … 両岸。
林開揚子驛
林(はやし)は開(ひら)く 揚(よう)子(し)駅(えき)
  • 揚子駅 … 揚子江の北岸にあった宿場。
山出潤州城
山(やま)は出(いだ)す 潤州(じゅんしゅう)城(じょう)
  • 潤州 … 州名。現在の江蘇省鎮江市。『読史方輿紀要』江南、鎭江府に「禹(う)貢(こう)揚(よう)州(しゅう)の域(いき)、春秋(しゅんじゅう)の時(とき)呉地(ごち)、後(のち)越(えつ)に属(ぞく)す。戦国(せんごく)は楚(そ)に属(ぞく)す。秦(しん)、会稽郡(かいけいぐん)の地(ち)と為(な)し、漢(かん)、之(これ)に因(よ)る。……隋(ずい)、陳(ちん)を平(たい)らげ、州(しゅう)・郡(ぐん)倶(とも)に廃(はい)し、延(えん)陵(りょう)県(けん)と為(な)す。開皇(かいこう)十(じゅう)五(ご)年(ねん)、潤州(じゅんしゅう)を置(お)き、大(たい)業(ぎょう)の初(はじ)め、州(しゅう)廃(はい)し、江(こう)都(と)郡(ぐん)に属(ぞく)す」(禹貢揚州之域、春秋時吳地、後屬越。戰國屬楚。秦爲會稽郡地、漢因之。……隋平陳、州郡俱廢、爲延陵縣。開皇十五年置潤州、大業初州廢、屬江都郡)とある。ウィキソース「讀史方輿紀要/卷二十五」参照。ウィキペディア【鎮江市】参照。
  • 城 … 町を囲む城郭。
海盡邊音靜
海(うみ)尽(つ)きて辺音(へんおん)静(しず)かに
  • 海尽 … 海のはてまで。諸説ある。
  • 辺音 … 岸辺の波の音。また、「辺境地帯の音」とする説もある。『全唐詩』では「辺陰」に作る。こちらの意味も「海上の陰気」など諸説ある。
江寒朔吹生
江(こう)寒(さむ)くして朔吹(さくすい)生(しょう)ず
  • 朔吹 … 北風。
更聞楓葉下
更(さら)に聞(き)く 楓葉(ふうよう)下(くだ)り
  • 楓葉 … かえでの葉。『全唐詩』では「風葉」に作る。こちらの意味は、風に吹かれた木の葉。
淅瀝度秋聲
淅瀝(せきれき)として秋(しゅう)声(せい)度(わた)るを
  • 淅瀝 … 枯葉が散る音の擬声語。畳韻(じょういん)(同じ母音で終わる二字の熟語)の語となっている。
  • 秋声 … 秋の音。こちらは畳韻の語となっている「淅瀝」に対し、双声(そうせい)語(二字熟語の各字の頭子音が同じである熟語)となっている。北斉の顔之推「陽(よう)納言(のうげん)の鳴蟬(めいせん)を聴く篇に和す」詩(『古詩紀』巻一百二十)に「歴乱として秋声起こり、参(しん)差(し)として人慮を撹(みだ)す」(歴亂起秋聲、參差攪人慮)とある。陽納言は、納言中大夫の陽休之(509~582)。歴乱は、物の乱れるさま。参差は、ばらばらに散らばるさま。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷120」参照。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻三(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百十四(排印本、中華書局、1960年)
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