一朝の忿りにその身を忘る
一朝の忿りにその身を忘る
- 出典:『論語』顔淵第十二21(ウィキソース「論語/顏淵第十二」参照)
- 解釈:一時の怒りに自分の立場を忘れ、とんでもないことをしでかす。「一朝」は、わずかの間。一時。
- 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
樊遲從遊於舞雩之下。曰、敢問崇德、脩慝、辨惑。子曰、善哉問。先事後得、非崇德與。攻其惡、無攻人之惡、非脩慝與。一朝之忿、忘其身、以及其親。非惑與。
樊遅従いて舞雩の下に遊ぶ。曰く、敢えて徳を崇び、慝を脩め、惑いを弁ぜんことを問う。子曰く、善いかな問いや。事を先にして得るを後にするは、徳を崇くすることに非ずや。其の悪を攻め、人の悪を攻むること無きは、慝を修むるに非ずや。一朝の忿りに、其の身を忘れ、以て其の親に及ぶ。惑いに非ずや。
- 樊遅 … 前515?~?。孔子の弟子。姓は樊、名は須、字は子遅。魯の人。孔子より三十六歳(四十六歳)年少。ウィキペディア【樊须】(中文)参照。
- 従 … 孔子のお供をして。
- 舞雩 … 雨乞いをするときの、舞を舞う祭壇。「先進第十一25」に見える。
- 崇徳 … 徳を高める。自分の徳をみがいて充実させる。「崇徳」「弁惑」は「顔淵第十二10」に見える。
- 脩慝 … 邪心を去る。心中の悪を除く。「慝」は、心の中に隠された悪。「脩」は、治めて除くこと。
- 弁惑 … 迷いを解く。迷いをはっきり弁別し、明らかにすること。
- 先事後得 … 為すべきことを優先し、損得を後にする。
- 非崇徳与 … これが人格を高めるということではなかろうか。
- 攻其悪、無攻人之悪、非修慝与 … 自分の悪を責め、他人の悪を責めないことが、心中の悪を除く方法ではなかろうか。自分の欠点を批判し、他人の欠点は責めない、これが邪心を去る方法ではなかろうか。
- 一朝之忿 … 一時の怒り。
- 以及其親 … その災いを肉親にまで及ぼす。
- 非惑与 … これが迷いではなかろうか。
- 詳しい注釈と現代語訳については「顔淵第十二21」参照。
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