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夜上受降城聞笛(李益)

夜上受降城聞笛
よる受降じゅこうじょうのぼりてふえ
えき
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『唐詩三百首』七言絶句、『全唐詩』巻二百八十三、『李益集』巻下(『唐五十家詩集』所収)、『楽府詩集』巻八十、『文苑英華』巻二百十二、『唐詩品彙』巻五十一、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻十五(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『唐詩別裁集』巻二十、『唐詩紀事』巻三十、他
  • 七言絶句。霜・郷(平声陽韻)。
  • ウィキソース「夜上受降城聞笛」「唐詩紀事 (四部叢刊本)/卷第三十」参照。
  • 詩題 … 『唐五十家詩集本』では「夜上受降城聞筦」に作る。『文苑英華』では「聞笛」に作る。『楽府詩集』では「婆羅門」(作者不明)に作る。
  • 受降城 … 漢の武帝の時、将軍公孫こうそんごうが匈奴の降伏を受けるために築いた城。今の内蒙古自治区包頭パオトウ市の西北にあった。唐代の初め、突厥の侵入を防ぐため、将軍ちょう仁愿じんげんがこれを再興して東・中・西の三つの受降城に分けたという。この詩の受降城はそのいずれを指すかはっきりしない。
  • 李益 … 748~827?。中唐の詩人。隴西ろうせいぞうかんしゅくしょう武威ぶい)の人。あざなくん。大暦四年(769)、進士に及第。鄭県ていけん(陝西省)の尉となり、最後はれいしょうしょに至った。大暦十才子のひとり。『李君虞詩集』二巻がある。ウィキペディア【李益】参照。
囘樂峯前沙似雪
回楽峰かいらくほうぜん すな ゆきたり
  • 回楽峰 … 受降城の近くにあった山。霊州(寧夏回族自治区霊武の西南)の回楽県にある山とする説があるが、三つの受降城のどれからも遠い。また山西省大同の西にある山という説もあり、こちらは東受降城の西に位置し近い。
  • 回 … 『楽府詩集』では「迴」に作る。同義。
  • 峯 … 『全唐詩』には「一作烽」とある。『唐五十家詩集本』では「烽」に作る。
  • 沙 … 砂漠の砂。
  • 似雪 … 雪のように白く輝いている。
受降城外月如霜
受降じゅこうじょうがい つき しもごと
  • 外 … 『唐詩紀事』では「下」に作る。『全唐詩』では「下」に作り、「一作上。一作外」とある。『唐五十家詩集本』では「上」に作る。
  • 月 … 月光。
  • 如霜 … 白く照らされて、霜が降りたようである。
不知何處吹蘆管
らず いずれのところにかかん
  • 不知何処 … どこで吹いているのかわからない。
  • 蘆管 … あしの茎で作った笛。胡笳こかのことであるともいう。
  • 管 … 『全唐詩』には「一作笛」とある。
一夜征人盡望郷
いち 征人せいじん ことごときょうのぞ
  • 一夜 … 今晩。今夜。夜どおし。
  • 征人 … 遠征の兵士。
  • 望郷 … 故郷の空を眺めやる。
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