鹿柴(王維)
鹿柴
鹿柴
鹿柴
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻六、『唐詩三百首』五言絶句、『全唐詩』巻一百二十八、『王右丞文集』巻四(静嘉堂文庫蔵、略称:静嘉堂本)、『王摩詰文集』巻六(略称:蜀刊本)、『須渓先生校本唐王右丞集』巻五(『四部叢刊 初篇集部』所収)、顧起経注『類箋唐王右丞詩集』巻九(略称:顧起経注本)、顧可久注『唐王右丞詩集』巻四(『和刻本漢詩集成 唐詩1』所収、略称:顧可久注本)、趙殿成注『王右丞集箋注』巻十三(略称:趙注本)、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『唐人万首絶句選』巻一、他
- 五言絶句。響・上(上声養韻)。
- ウィキソース「鹿柴 (王維)」参照。
- 『全唐詩』には、題下に「柴、士邁の切。本砦に作る。籬落なり」(柴、士邁切。本作砦。籬落也)とある。
- 鹿柴 … 鹿を放し飼いにするための囲いの柵。「輞川二十景」のうちの一つ。「輞川」は長安の南郊の藍田(陝西省藍田県)にあった王維の別荘で、「輞川荘」と名づけられた。詩友の裴迪と唱和した作品を収めた「輞川集」に収められている。
- 王維 … 699?~761。盛唐の詩人、画家。太原(山西省)の人。字は摩詰。開元七年(719)、進士に及第。安禄山の乱で捕らえられたが事なきを得、乱後は粛宗に用いられて尚書右丞(書記官長)まで進んだので、王右丞とも呼ばれる。また、仏教に帰依したため、詩仏と称される。『王右丞集』十巻(または六巻)がある。ウィキペディア【王維】参照。
空山不見人
空山 人を見ず
- 空山 … 人かげのない、静かで物寂しい山。
- 不見人 … 人の姿を見かけない。
- 見 … 自然に目に入ってくること。「看」「視」は、意識して見ること。
但聞人語響
但だ人語の響きを聞く
- 但 … 「ただ」と読み、「ただ~だけ」と訳す。限定の意を示す。
- 人語 … 人の話し声。
- 響 … (人の話し声が)こだまして聞こえること。
- 聞 … 自然に耳に入ってくること。「聴」は、意識して聞くこと。
返景入深林
返景 深林に入り
- 返景 … 「へんえい」「はんけい」とも読む。夕日の照りかえしの光。夕日の光。「景」は、光。日差し。
- 返 … 『万首唐人絶句』(万暦刊本)では「反」に作る。
- 景 … 『唐詩三百首』では「影」に作る。
- 深林 … 奥深い林の中。
- 入 … (夕日の光が)差し込む。
復照靑苔上
復た照らす 青苔の上
- 復 … 「また」と読み、ここでは単に「そして」と訳す。通常は「もう一度」「再び」と訳す。他に、「亦」は「~もまた」「~も同様に」と訳す。「又」は「そのうえ~」「さらに~」と訳す。
- 青苔 … 濃い緑の苔。「青」は、濃い緑色。
- 苔 … 『顧起経注本』『趙注本』には「一作莓」とある。
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