野田黄雀行(曹植)
野田黃雀行
野田黄雀行
野田黄雀行
- 〔テキスト〕 『先秦漢魏晋南北朝詩』魏詩巻六、『古詩源』巻五 魏詩、『古詩賞析』巻九 魏詩、『楽府詩集』巻三十九、他
- 五言古詩。波・多・羅(平声歌韻)/悲(平声支韻)・飛(平声微韻)通押/天・年(平声先韻)、換韻。
- ウィキソース「野田黃雀行 (曹植)」参照。
- 野田黄雀行 … 楽府題。「野田」は、野中にある田畑。郊外の田畑。「黄雀」は、すずめの一種。入内雀。ウィキペディア【ニュウナイスズメ】参照。「行」は、歌・曲の意。
- 曹植 … 「そうち」とも。192~232。三国時代、魏の武帝(曹操)の五男。字は子建。陳王に封ぜられたので、陳思王とも呼ばれる。思は諡。詩文に優れた。詩文集『曹子建集』がある。ウィキペディア【曹植】参照。
高樹多悲風
高樹 悲風多く
- 高樹 … 高い樹木。喬木。
- 悲風 … すさまじい風。激しい風。
- 多 … しばしば~しがちである。つねに~しやすい。
海水揚其波
海水 其の波を揚ぐ
- 海水 … 大海。
- 揚其波 … 波が湧き立つ。波が立ち騒ぐ。「其」は、語調を整える言葉。訳さなくてもよい。
利劍不在掌
利剣 掌に在らずんば
- 利剣 … 鋭い剣。鋭利な剣。権力・権勢に喩える。
- 不在掌 … 手の中にないからには。「掌」は、手のひら。自分に権勢がないこと。
結友何須多
友を結ぶに 何ぞ多きを須いん
- 友 … 『古詩源』『古詩賞析』では「交」に作る。
- 結友何須多 … どうして多くの友だちと交わる必要があろうか。いや、交わる必要はない。「結友」は、友人関係を結ぶこと。「何須」は、どうして~する必要があろうか、いやない。反語。
不見籬間雀
見ずや 籬間の雀
- 不見 … 「みずや」と読み、「見かけたことはないだろうか。いや、あるだろう」と訳す。反語。ここでは単に「ご覧」と訳す。
- 籬間 … 垣根のほとり。「籬」は、竹や柴などで編んで作った垣根。「間」は、ほとり。付近。
見鷂自投羅
鷂を見て 自ら羅に投ず
羅家得雀喜
羅家 雀を得て喜ぶも
- 羅家 … 網を張った人。網を仕掛けた猟師。迫害者に喩える。
- 得雀喜 … 雀が手に入って喜んだが。
少年見雀悲
少年 雀を見て悲しむ
- 少年 … 若者。
拔劍捎羅網
剣を抜いて 羅網を捎えば
- 羅網 … 鳥を捕らえる網。法律に喩える。
- 捎 … 切り払う。
黃雀得飛飛
黄雀 飛び飛ぶを得たり
- 得飛飛 … 飛び立つことができた。
飛飛摩蒼天
飛び飛んで 蒼天を摩し
- 飛飛 … ぐんぐん飛んで。
- 摩蒼天 … 天に届くほど高く飛ぶこと。青空高く舞い上がること。「蒼天」は、青空。「摩」は、近づく。接近する。
來下謝少年
来り下りて 少年に謝す
- 来下 … やがて降りて来て。
- 謝少年 … 助けてくれた若者に礼を言う。
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