>   漢詩   >   唐詩選   >   巻七 七絶   >   宮詞(李建勲)

宮詞(李建勲)

宮詞
宮(きゅう)詞(し)
李(り)建勲(けんくん)
  • 七言絶句。閒・斑・閒(上平声刪韻)。
  • ウィキソース「宫詞 (李建勳)」参照。
  • 宮詞 … 宮中のことを題材として詠う歌。ここでは、後宮の女性の嘆きを詠んでいる。
  • 李建勲 … 872~952。晩唐の詩人。李徳誠の子。字(あざな)は致(ち)堯(ぎょう)。広陵(今の江蘇省揚州市江都区)の人。南唐の烈祖李(り)昪(べん)に仕えてその建国に功があり、宰相の地位である中書侍郎・同平章事に任命された。南唐の昇元五年(941)、辞任して家に帰った。後に再び呼び戻され、司空を拝命、さらに司徒となった。鍾山(今の江蘇省南京市の東北)に別荘を建てて引退したので、鍾山公の称号を授けられた。『李丞相詩集』二巻がある。ウィキソース「唐才子傳/卷10」、ウィキペディア【李建勛 (唐朝)】(中文)参照。
宮門長閉舞衣閒
宮(きゅう)門(もん)長(なが)く閉(と)ざして舞衣(ぶい)間(しず)かなり
  • 宮門 … 宮殿の門。ここでは後宮の門。
  • 長閉 … 長く閉ざされたままである。天子の訪問がなく、寵愛を失ったことを指す。
  • 長 … 久しく。『唐詩品彙』では「常」に作る。
  • 舞衣 … 舞いの衣。舞いの衣装。
  • 間 … ひまで用がないこと。ここでは着ることがないので仕舞い込んでいること。間は、閑に同じ。『説文解字』巻十二上、門部に「隙なり」(隟也)とある。ウィキソース「說文解字/12」参照。
略識君王鬢已斑
略(ほ)ぼ識(し)る 君王(くんのう) 鬢(びん)已(すで)に斑(まだら)なるを
  • 略 … 「ほぼ」と読む。だいたい。おおかた。おおむね。
  • 識 … わかっている。
  • 君王 … みかど。天子。
  • 鬢 … 左右側面の耳ぎわの毛。鬢の毛。『説文解字』巻九上、髟部に「頰の髪なり」(頰髮也)とある。ウィキソース「說文解字/09」参照。また『釈名(しゃくみょう)』釈形体篇に「頰と耳との旁に在るを髯と曰う、……其の上の髪に連なるを鬢と曰う」(在頰耳旁曰髯、……其上連髮曰鬢)とある。ウィキソース「釋名」参照。
  • 已 … 『全唐詩』『四部叢刊本』『唐詩品彙』では「便」に作る。
  • 斑 … 鬢の毛が白黒まだらなさま。
却羨落花春不管
却(かえ)って羨(うらや)む 落(らっ)花(か) 春(はる)管(かん)せず
  • 却羨 … かえって羨ましいのは。むしろ羨ましいのは。予期に反しての意を含む。
  • 落花春 … 散りゆく花。散り落ちる花びら。
  • 春不管 … 春はかまってくれない。春が落花を拘束しないこと。管は、つかさどる。管理する。宮中に拘束されている女性と対比している。
御溝流得到人閒
御溝(ぎょこう)流(なが)れ得(え)て人間(じんかん)に到(いた)るを
  • 御溝 … 宮中を流れるお堀。後唐の馬縞『中華古今注』巻上、長安禦溝の条に「長(ちょう)安(あん)の御溝(ぎょこう)は、之(これ)を楊溝(ようこう)と謂(い)う。高楊(こうよう)を其(そ)の上(かみ)に植(う)うればなり。……亦(ま)た禁溝(きんこう)と曰(い)う。終(しゅう)南(なん)山(ざん)の水(みず)を引(ひ)き、宮(きゅう)内(だい)より過(す)ぐ。所謂(いわゆる)御溝(ぎょこう)なり」(長安御溝、謂之楊溝。植高楊於其上也。……亦曰禁溝。引終南山水、從宮内過。所謂御溝)とある。ウィキソース「古今注/中華古今註」参照。
  • 流得 … 御溝の水の流れに乗って。
  • 人間 … 宮中に対し、自由な世間。長安の市中を指す。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻七百三十九(排印本、中華書局、1960年)
  • 『李丞相詩集』巻下(『四部叢刊 続編集部』所収)
  • 『唐詩品彙』巻五十四([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
歴代詩選
古代 前漢
後漢 魏
晋 南北朝
初唐 盛唐
中唐 晩唐
北宋 南宋
金 元
明 清
唐詩選
巻一 五言古詩 巻二 七言古詩
巻三 五言律詩 巻四 五言排律
巻五 七言律詩 巻六 五言絶句
巻七 七言絶句
詩人別
あ行 か行 さ行
た行 は行 ま行
や行 ら行