胡渭州(張祜)
胡渭州
胡渭州
胡渭州
- 七言絶句。舟・流・愁(下平声尤韻)。
- ウィキソース「全唐詩/卷511」参照。
- 詩題 … 『楽府詩集』では「胡渭州二首其一」に作り、「楽苑に曰く、胡渭州は商謂の曲なり、と」(樂苑曰、胡渭州商謂曲也)とある。ウィキソース「樂府詩集/080卷」参照。
- 胡渭州 … 楽府題。胡は、えびす。北方や西方に住む遊牧民族の総称。渭州は、今の甘粛省定西市隴西県の辺り。この曲は、もとはこの地方で胡人が歌っていた曲という意であるが、詩題はその曲調を借りているだけで、胡人や渭州と詩の内容とは直接関係ない。
- この詩は、長江を旅する人の旅愁を詠んだもの。
- 張祜 … 782?~852?。中唐の詩人。清河(河北省邢台市清河県)の人。一説に南陽(河南省南陽市)の人。字は承吉。穆宗の長慶年間、令狐楚が朝廷に推薦したが、採用されなかった。その後、各地を放浪し、晩年は丹陽(江蘇省丹陽市)に隠棲して、そこで没した。『張承吉文集』十巻がある。なお『唐詩品彙』では作者名を「張祐」に作る。ウィキペディア【張祜】参照。
亭亭孤月照行舟
亭亭たる孤月 行舟を照らし
- 亭亭 … 高いさま。畳語。後漢の張衡「西京の賦」(『文選』巻二)に「雲霧を干して上に達し、状亭亭として以て苕苕たり」(干雲霧而上達、狀亭亭以苕苕)とある。苕苕は、高く伸びたさま。ウィキソース「西京賦」参照。また、南朝梁の元帝「玄覧の賦」に「巌亭亭として其れ蓋に似たり、飛ぶこと苕苕として其れ楼の若し」(巖亭亭其似蓋、飛苕苕其若樓)とある。ウィキソース「玄覽賦」参照。また、東晋の陶潜「戊申の歳六月中、火に遇う」詩に「迢迢たり新秋の夕べ、亭亭として月将に円かならんとす」(迢迢新秋夕、亭亭月將圓)とある。ウィキソース「戊申歲六月中遇火」参照。また、劉宋の謝恵連「湖に泛び帰りて楼中より出で月を翫ぶ」詩(『文選』巻二十二)に「亭亭たり江に映ずる月、瀏瀏たり谷を出づる飆」(亭亭映江月、瀏瀏出谷飆)とある。ウィキソース「泛湖歸出樓中翫月」参照。
- 孤月 … 一輪の月。一片の月。
- 行舟 … 我が漕ぎ行く舟。古楽府「三洲歌三首」の第二首に「風流にして暫く停まらず、三山行舟を隠す」(風流不暫停、三山隱行舟)とある。ウィキソース「樂府詩集/048卷」参照。
寂寂長江萬里流
寂寂たる長江 万里に流る
鄉國不知何處是
郷国は知らず 何れの処か是なる
- 郷国 … ふるさと。故郷。郷里。
- 不知何処是 … いったいどこの辺りか、一向にわからない。
雲山漫漫使人愁
雲山漫漫 人をして愁えしむ
- 雲山 … 雲のかかっている山。雲を頂いた山。
- 漫漫 … 果てしなく続くさま。『楚辞』離騒に「路曼曼として其れ脩遠なり、吾将に上下して求索せんとす」(路曼曼其脩遠兮、吾將上下而求索)とある。求索は、探し求めること。ウィキソース「楚辭/離騷」参照。
- 使人愁 … 人の心を悲しくさせる。
- 使 … 「~(をして)…(せ)しむ」と読み、「~に…させる」と訳す。使役を表す。
- 人 … 人の心。ここでは作者の心を指す。
テキスト
- 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
- 『全唐詩』巻五百十一(排印本、中華書局、1960年)
- 『楽府詩集』巻八十・近代曲辞(北京図書館蔵宋刊本影印、中津濱渉『樂府詩集の研究』所収)
- 『唐詩品彙』巻五十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
- 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
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