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秋閨思(張仲素)

秋閨思
秋(しゅう)閨(けい)思(し)
張(ちょう)仲(ちゅう)素(そ)
  • 七言絶句。輝・衣・微(上平声微韻)。
  • ウィキソース「秋思二首」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』では「秋(一本有閨字)思二首其一」に作る。『万首唐人絶句』『古今詩刪』『唐詩品彙』『唐詩別裁集』では「秋閨思二首其一」に作る。
  • 秋閨思 … 楽府題の一つ。閨は、婦人の私室。または女性の寝室。秋の閨(ねや)での物思い。
  • この詩は、出征している兵士の妻が夫を思う心情を詠んだもの。
  • 張仲素 … 769?~819。中唐の詩人。河間(河北省献県(けんけん))の人。字(あざな)は絵(かい)之(し)。貞元十四年(798)、李翺・呂温とともに進士に及第。武寧軍従事となったが、元和十年(815)、司勲員外郎となり、元和十四年(819)、中書舎人に至った。『唐詩選』に四首収める。ウィキペディア【張仲素】参照。
碧窗斜月靄深輝
碧窓(へきそう)の斜月(しゃげつ) 深(しん)輝(き)靄(あい)たり
  • 碧窓 … 青緑色の紗(しゃ)(うす絹)を張った窓。
  • 斜月 … 西に傾いた月。入りかかった月。
  • 月 … 『全唐詩』では「日」に作り、「一作月」と注する。斜日は、夕日。
  • 深輝 … 深く射し込んだ光。
  • 靄 … 靄(もや)のかかったように、ぼんやりとしたさま。
愁聽寒螿涙溼衣
愁(うれ)えて寒(かん)螿(しょう)を聴(き)き 涙(なみだ) 衣(ころも)を湿(うるお)す
  • 愁 … 悲しい気持ちで。
  • 寒螿 … 秋から冬にかけて鳴く虫。コオロギの類。劉宋の謝恵連「擣(とう)衣(い)」詩(『文選』巻三十)に「肅肅(しゅくしゅく)として莎(さ)鶏(けい)は羽(はね)ふるい、烈烈(れつれつ)として寒(かん)螿(しょう)は啼(な)く」(肅肅莎雞羽、烈烈寒螿啼)とある。ウィキソース「昭明文選/卷30」参照。
  • 涙湿衣 … 涙で衣を濡す。
夢裏分明見關塞
夢裏(むり) 分明(ぶんめい)に関塞(かんさい)を見(み)たり
  • 夢裏 … 夢の中で。
  • 分明 … はっきりと。
  • 関塞 … 国境にある関所ととりで。関は、関門。塞は、要塞。夫のいるところ。『墨子』号令篇に「数〻(しばしば)人(ひと)をして行(ゆ)きて辺(へん)城(じょう)関塞(かんさい)を守(まも)り、蛮(ばん)夷(い)に備(そな)うるの労(ろう)苦(く)者(しゃ)に労(ろう)賜(し)し、其(そ)の守卒(しゅそつ)の財用(ざいよう)の有(ゆう)余(よ)と不(ふ)足(そく)、地(ち)形(けい)の当(まさ)に辺(へん)を守(まも)るべき者(もの)、其(そ)の器備(きび)の常(つね)に多(おお)き者(もの)を挙(あ)げしむ」(數使人行勞賜守邊城關塞、備蠻夷之勞苦者、舉其守卒之財用有餘不足、地形之當守邊者、其器備常多者)とある。ウィキソース「墨子/號令」参照。また『漢書』賈山伝に「昔者(むかし)、秦の政は力もて万国を并(あわ)せ、富天下を有(たも)ち、六国を破りて以て郡県と為し、長城を築きて以て関塞と為す」(昔者、秦政力幷萬國、富有天下、破六國以爲郡縣、築長城以爲關塞)とある。ウィキソース「漢書/卷051」参照。
不知何路向金微
知(し)らず 何(いず)れの路(みち)か金(きん)微(び)に向(むか)う
  • 不知 … さっぱりわからない。
  • 何路向 … どの道を通って行ったのやら。
  • 金微 … 金微山。モンゴル国にある阿爾(アル)泰(タイ)山。後漢の永元三年(91)、耿(こう)夔(き)・任(じん)尚(しょう)等がここで北匈奴を破った。『後漢書』和帝紀に「大将軍竇憲(とうけん)、左校尉耿(こう)夔(き)を遣わして、居延(きょえん)の塞より出(い)でしめ、北単于を金微山に囲みて、大いに之を破り、其の母閼(あっ)氏(し)を獲る」(大將軍竇憲、遣左校尉耿夔、出居延塞、圍北單于於金微山、大破之、獲其母閼氏)とある。ウィキソース「後漢書/卷4」参照。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻三百六十七(排印本、中華書局、1960年)
  • 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二十七(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
  • 『唐詩品彙』巻五十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
  • 『唐詩別裁集』巻二十([清]沈徳潜編、乾隆二十八年教忠堂重訂本縮印、中華書局、1975年)
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