行経華陰(崔顥)
行経華陰
行いて華陰を経たり
行いて華陰を経たり
岧嶤太華俯咸京
岧嶤たる太華 咸京を俯し
- 岧嶤 … 山の高いさま。
- 太華 … 華山のこと。
- 咸京 … 咸陽。ここでは長安を指す。
天外三峯削不成
天外の三峰 削れども成らず
- 天外 … 天のかなた。
- 三峰 … 華山にある三つの峰を指す。名称は諸説あって一定しない。
武帝祠前雲欲散
武帝祠前 雲散らんと欲し
- 武帝祠 … 漢の武帝が巨霊という神仙を祀るために建てた祠のこと。
仙人掌上雨初晴
仙人掌上 雨初めて晴る
- 仙人掌 … 華山の中腹にある峰の名。
河山北枕秦關險
河山は北のかた秦関に枕して険しく
- 河山 … 黄河と華山。
- 秦関 … 華陰の東北にある関所。潼関。秦代に設置されたので秦関といった。
驛路西連漢畤平
駅路は西のかた漢畤に連なりて平らかなり
- 駅路 … 駅亭間をつなぐ街道。駅亭は、宿駅のこと。旅人を泊めたり、荷物を運ぶ馬や人夫などの交換をする所。うまやじ。『宋書』劉勔伝に「臣又た以為えらく、郾城は是れ賊、駅路戍を要す、且く蛮を経て嶮に接す、数百里の中、糧を裹みて潜かに進む」(臣又以爲、郾城是賊、驛路要戍、且經蠻接嶮、數百里中、裹糧潛進)とある。ウィキソース「宋書/卷86」参照。また、南朝斉の孔稚珪「北山移文」(『文選』巻四十三)に「鍾山の英、草堂の霊、煙を駅路に馳せ、移を山庭に勒ましむ」(鍾山之英、草堂之靈、馳煙驛路、勒移山庭)とある。鍾山は、現在の南京市にある紫金山の古名。英は、神霊。移は、移文。勒は、刻む。ウィキソース「北山移文」参照。
- 路 … 『全唐詩』では「樹」に作る。
- 漢畤 … 漢代に設けられた祭壇。
借問路傍名利客
借問す 路傍名利の客
- 借問 … 本来は「ちょっとお尋ねする」の意だが、ここではただ呼びかけただけの意に用いている。
- 路傍 … 道のほとり。道ばた。
- 名利客 … 名誉や利益を求めて走り回る人。
無如此處學長生
此の処にて長生を学ぶに如くは無し
- 無如 … ~には及ばない。~の方がましだ。
- 長生 … 不老長生。神仙術の一つ。
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