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行経華陰(崔顥)

行経華陰
いていんたり
さいこう
  • 七言律詩。京・成・晴・平・生(下平声庚韻)。
  • 『全唐詩』巻130所収。ウィキソース【行經華陰】参照。
  • 華陰 … 今の陝西省の華山の北麓にある町。ウィキペディア【華陰市】参照。
  • 陰 … 『全唐詩』には「一作山」と注する。
  • 崔顥 … ?~754。盛唐の詩人。べんしゅう(河南省開封市)の人。あざなは不詳。開元十一年(723)、進士に及第。官は司勲員外郎に至った。酒と賭博を好んだという。ウィキペディア【崔顥】参照。
岧嶤太華俯咸京
岧嶤ちょうぎょうたるたい 咸京かんけい
  • 岧嶤 … 山の高いさま。
  • 太華 … 華山のこと。
  • 咸京 … 咸陽。ここでは長安を指す。
天外三峯削不成
天外てんがい三峰さんぽう けずれどもらず
  • 天外 … 天のかなた。
  • 三峰 … 華山にある三つの峰を指す。名称は諸説あって一定しない。
武帝祠前雲欲散
ていぜん くもらんとほっ
  • 武帝祠 … 漢の武帝が巨霊きょれいという神仙を祀るために建てたほこらのこと。
仙人掌上雨初晴
仙人掌せんにんしょうじょう あめはじめて
  • 仙人掌 … 華山の中腹にある峰の名。
河山北枕秦關險
ざんきたのかた秦関しんかんまくらしてけわしく
  • 河山 … 黄河と華山。
  • 秦関 … 華陰の東北にある関所。潼関どうかん。秦代に設置されたので秦関といった。
驛路西連漢畤平
えき西にしのかたかんつらなりてたいらかなり
  • 駅路 … 駅亭間をつなぐ街道。駅亭は、宿駅のこと。旅人を泊めたり、荷物を運ぶ馬や人夫などの交換をする所。うまやじ。『宋書』りゅうべん伝に「しん又た以為おもえらく、えんじょうは是れ賊、駅路じゅを要す、しばらばんを経てけんに接す、数百里の中、りょうつつみてひそかに進む」(臣又以爲、郾城是賊、驛路要戍、且經蠻接嶮、數百里中、裹糧潛進)とある。ウィキソース「宋書/卷86」参照。また、南朝斉の孔稚珪「北山移文」(『文選』巻四十三)に「しょうざんえい、草堂の霊、煙を駅路に馳せ、を山庭にきざましむ」(鍾山之英、草堂之靈、馳煙驛路、勒移山庭)とある。鍾山は、現在の南京市にある紫金山の古名。英は、神霊。移は、移文。勒は、刻む。ウィキソース「北山移文」参照。
  • 路 … 『全唐詩』では「樹」に作る。
  • 漢畤 … 漢代に設けられた祭壇。
借問路傍名利客
借問しゃもんす ぼうめいかく
  • 借問 … 本来は「ちょっとお尋ねする」の意だが、ここではただ呼びかけただけの意に用いている。
  • 路傍 … 道のほとり。道ばた。
  • 名利客 … 名誉や利益を求めて走り回る人。
無如此處學長生
ところにてちょうせいまなぶにくは
  • 無如 … ~には及ばない。~の方がましだ。
  • 長生 … 不老長生。神仙術の一つ。
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