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行経華陰(崔顥)

行経華陰
行(ゆ)いて華(か)陰(いん)を経(へ)たり
崔(さい)顥(こう)
  • 七言律詩。京・成・晴・平・生(下平声庚韻)。
  • ウィキソース「行經華陰」参照。
  • 華陰 … 今の陝西省の華山の北麓にある町。ウィキペディア【華陰市】参照。
  • 陰 … 『全唐詩』には「一作山」と注する。
  • 崔顥 … ?~754。盛唐の詩人。卞(べん)州(しゅう)(河南省開封市)の人。字(あざな)は不詳。開元十一年(723)、進士に及第。河東節度使の幕僚などを経て、最後は司勲員外郎に至った。酒と賭博を好んだという。ウィキペディア【崔顥】参照。
岧嶤太華俯咸京
岧嶤(ちょうぎょう)たる太(たい)華(か) 咸京(かんけい)を俯(ふ)し
  • 岧嶤 … 山の高いさま。
  • 太華 … 華山のこと。
  • 咸京 … 咸陽。ここでは、長安を指す。
天外三峯削不成
天外(てんがい)の三峰(さんぽう) 削(けず)れども成(な)らず
  • 天外 … 天のかなた。
  • 三峰 … 華山にある三つの峰を指す。名称は諸説あって一定しない。
武帝祠前雲欲散
武(ぶ)帝(てい)祠(し)前(ぜん) 雲(くも)散(ち)らんと欲(ほっ)し
  • 武帝祠 … 漢の武帝が巨霊(きょれい)という神仙を祀るために建てた祠(ほこら)のこと。
仙人掌上雨初晴
仙人掌(せんにんしょう)上(じょう) 雨(あめ)初(はじ)めて晴(は)る
  • 仙人掌 … 華山の中腹にある峰の名。
河山北枕秦關險
河(か)山(ざん)は北(きた)のかた秦関(しんかん)に枕(まくら)して険(けわ)しく
  • 河山 … 黄河と華山。
  • 秦関 … 華陰の東北にある関所。潼関(どうかん)。秦代に設置されたので秦関といった。
驛路西連漢畤平
駅(えき)路(ろ)は西(にし)のかた漢(かん)畤(じ)に連(つら)なりて平(たい)らかなり
  • 駅路 … 駅亭間をつなぐ街道。駅亭は、宿駅のこと。旅人を泊めたり、荷物を運ぶ馬や人夫などの交換をする所。うまやじ。『宋書』劉(りゅう)勔(べん)伝に「臣(しん)又た以為(おも)えらく、郾(えん)城(じょう)は是れ賊、駅路戍(じゅ)を要す、且(しばら)く蛮(ばん)を経て嶮(けん)に接す、数百里の中、糧(りょう)を裹(つつ)みて潜(ひそ)かに進む」(臣又以爲、郾城是賊、驛路要戍、且經蠻接嶮、數百里中、裹糧潛進)とある。ウィキソース「宋書/卷86」参照。また、南朝斉の孔稚珪「北山移文」(『文選』巻四十三)に「鍾(しょう)山(ざん)の英(えい)、草堂の霊、煙を駅路に馳せ、移(い)を山庭に勒(きざ)ましむ」(鍾山之英、草堂之靈、馳煙驛路、勒移山庭)とある。鍾山は、現在の南京市にある紫金山の古名。英は、神霊。移は、移文。勒は、刻む。ウィキソース「北山移文」参照。
  • 路 … 『全唐詩』では「樹」に作る。
  • 漢畤 … 漢代に設けられた祭壇。
借問路傍名利客
借問(しゃもん)す 路(ろ)傍(ぼう)名(めい)利(り)の客(かく)
  • 借問 … 本来は「ちょっとお尋ねする」の意だが、ここではただ呼びかけただけの意に用いている。三国魏の曹植の楽府「七哀の詩」(『文選』巻二十三、『玉台新詠』巻二では「雑詩五首其一」、『楽府詩集』巻四十一では「怨詩行二首其二」と題す)に「借問す歎ずる者は誰(たれ)ぞと。言う是れ客子の妻なりと」(借問歎者誰。言是客子妻)とある。客子は、旅人。ウィキソース「七哀詩 (曹子建)」参照。
  • 路傍 … 道のほとり。道ばた。後漢の宋子侯の楽府「董(とう)嬌(きょう)饒(じょう)」(『玉台新詠』巻一、『楽府詩集』巻七十三)に「洛陽城東の路(みち)、桃李路傍に生ず」(洛陽城東路、桃李生路傍)とある。董嬌饒は、桑摘み娘の名か。「董嬌嬈」に作るテキストもある。ウィキソース「董嬌嬈」「樂府詩集/073卷」参照。また、三国魏の劉楨「公讌(こうえん)の詩」(『文選』巻二十)に「輦車(れんしゃ) 素(そ)蓋(がい)を飛ばし、従者 路傍に盈(み)つ」(輦車飛素蓋、從者盈路傍)とある。公讌は、公式の宴会。輦車は、人が引く車。素蓋は、白い車蓋(しゃがい)。ウィキソース「公讌詩 (劉公幹)」参照。
  • 名利客 … 名誉や利益を求めて走り回る人。
無如此處學長生
此(こ)の処(ところ)にて長(ちょう)生(せい)を学(まな)ぶに如(し)くは無(な)し
  • 無如 … ~には及ばない。~の方がましだ。
  • 長生 … 不老長生。神仙術の一つ。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻一百三十(排印本、中華書局、1960年)
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