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送劉校書従軍(楊烱)

送劉校書從軍
りゅう校書こうしょじゅうぐんおく
楊烱ようけい
  • 五言排律。宮・戎・雄・弓・中・同・東(平声東韻)。
  • 『全唐詩』巻50所収。ウィキソース「送劉校書從軍」参照。
  • 劉 … 劉某。人物については不明。
  • 校書 … 官名。校書郎。宮中の図書の校訂を司る。
  • この詩は、校書郎であった劉某が将軍の書記となって辺地へ出征するのを見送った詩である。
  • 楊炯 … 初唐の詩人。華陰(陝西省)の人。初唐四傑(王勃・楊炯・盧照鄰・駱賓王)の一人に数えられる。ウィキペディア【楊炯】参照。
天將下三宮
てんしょう さんきゅうくだ
  • 天将 … 星の名。ここでは将軍のこと。
  • 三宮 … 明堂めいどう辟雍へきよう霊台れいだいの三つの宮殿。ここでは単に宮中の意。
星門列五戎
星門せいもん じゅうつら
  • 星門 … 星の名。ここでは軍門のこと。
  • 五戎 … 五種類の武器。戎は、武器。五兵に同じ。ほこげきえつたて・弓矢。また、刀・剣・ほこ・戟・矢などと異説が多い。『春秋穀梁伝』荘公二十五年に「天子日を救うとき、五麾ごきを置き、五兵・五鼓をつらぬ」(天子救日、置五麾、陳五兵五鼓)とあり、その注に「五兵は、矛・戟・鉞・楯・弓矢なり」(五兵、矛戟鉞楯弓矢)とある。ウィキソース「春秋穀梁傳註疏/卷06」参照。また『淮南子』時則訓に「乃ちでんりょうを教えて、以て五戎を習わしむ」(乃教於田獵、以習五戎)とあり、その注に「戎は、兵なり。刀・剣・矛・戟・矢、故に五戎と曰うなり」(戎、兵也。刀劒矛戟矢、故曰五戎也)とある。ウィキソース「淮南子 (四部叢刊本)/卷第五」参照。
  • 列 … 『全唐詩』では「召」に作り、「一作啓」とある。
坐謀資廟略
ぼう びょうりゃくたす
  • 坐謀 … 本陣に坐ったまま計略をめぐらすこと。
  • 廟略 … 朝廷で決めた戦略。ここでは大将軍の戦略。
飛檄佇文雄
げき 文雄ぶんゆう
  • 飛檄 … 陣中での火急の文書。劉校書の任務はこれを書くこと。
  • 文雄 … 文章の上手な人。ここでは劉校書を指す。
  • 佇 … ここでは期待する。
赤土流星劍
せき りゅうせいけん
  • 赤土 … 晋の雷煥らいかんちょうの指示に従って地を掘り、剣を得た。これを華陰産の赤土でみがいたところ、さらに光輝を増したという故事に基づく。
  • 流星剣 … 呉の孫権が持っていた六振りの宝剣の一つ。
烏號明月弓
ごう 明月めいげつゆみ
  • 烏号 … 古の名弓の名。
  • 明月弓 … 明月の形に似た剛弓。
秋陰生蜀道
しゅういん しょくどうしょう
  • 秋陰 … 秋の陰気。
  • 蜀道 … 長安から蜀へ行く道。
殺氣繞湟中
さっ こうちゅうめぐ
  • 殺気 … 殺伐とした気配。
  • 湟中 … 地名。今の青海省西寧付近一帯の地。当時は辺境の地。ウィキペディア【湟中県】参照。
風雨何年別
ふう 何年なんねんわかれぞ
  • 風雨 … 風が起こり、雨が散りゆく。別離にたとえる。
  • 何年別 … 何年先までの別れとなることか。
琴樽此日同
琴樽きんそん おなじうす
  • 琴樽 … 琴と酒だる。別れの宴の酒と琴。「琴尊」も同じ。
  • 同 … 「ともにす」とも読む。
離亭不可望
てい のぞからず
  • 離亭 … 送別の宴をする宿場の建物。
  • 不可望 … 眺めわたすことができない。
溝水自西東
溝水こうすい おのずから西東せいとう
  • 溝水 … 御溝ぎょこうの水。長安の宮殿のまわりの堀割の水。
  • 西東 … 堀割の水が東西に分かれて流れること。人も東西に分かれること。
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