送劉校書従軍(楊烱)
送劉校書從軍
劉校書の従軍を送る
劉校書の従軍を送る
天將下三宮
天将 三宮を下り
- 天将 … 星の名。ここでは将軍のこと。
- 三宮 … 明堂、辟雍、霊台の三つの宮殿。ここでは単に宮中の意。
星門列五戎
星門 五戎を列ぬ
- 星門 … 星の名。ここでは軍門のこと。
- 五戎 … 五種類の武器。戎は、武器。五兵に同じ。矛・戟・鉞・楯・弓矢。また、刀・剣・矛・戟・矢などと異説が多い。『春秋穀梁伝』荘公二十五年に「天子日を救うとき、五麾を置き、五兵・五鼓を陳ぬ」(天子救日、置五麾、陳五兵五鼓)とあり、その注に「五兵は、矛・戟・鉞・楯・弓矢なり」(五兵、矛戟鉞楯弓矢)とある。ウィキソース「春秋穀梁傳註疏/卷06」参照。また『淮南子』時則訓に「乃ち田猟を教えて、以て五戎を習わしむ」(乃教於田獵、以習五戎)とあり、その注に「戎は、兵なり。刀・剣・矛・戟・矢、故に五戎と曰うなり」(戎、兵也。刀劒矛戟矢、故曰五戎也)とある。ウィキソース「淮南子 (四部叢刊本)/卷第五」参照。
- 列 … 『全唐詩』では「召」に作り、「一作啓」とある。
坐謀資廟略
坐謀 廟略を資け
- 坐謀 … 本陣に坐ったまま計略をめぐらすこと。
- 廟略 … 朝廷で決めた戦略。ここでは大将軍の戦略。
飛檄佇文雄
飛檄 文雄を佇つ
- 飛檄 … 陣中での火急の文書。劉校書の任務はこれを書くこと。
- 文雄 … 文章の上手な人。ここでは劉校書を指す。
- 佇 … ここでは期待する。
赤土流星劍
赤土 流星の剣
- 赤土 … 晋の雷煥が張華の指示に従って地を掘り、剣を得た。これを華陰産の赤土でみがいたところ、さらに光輝を増したという故事に基づく。
- 流星剣 … 呉の孫権が持っていた六振りの宝剣の一つ。
烏號明月弓
烏号 明月の弓
- 烏号 … 古の名弓の名。
- 明月弓 … 明月の形に似た剛弓。
秋陰生蜀道
秋陰 蜀道に生じ
- 秋陰 … 秋の陰気。
- 蜀道 … 長安から蜀へ行く道。
殺氣繞湟中
殺気 湟中を繞る
- 殺気 … 殺伐とした気配。
- 湟中 … 地名。今の青海省西寧付近一帯の地。当時は辺境の地。ウィキペディア【湟中県】参照。
風雨何年別
風雨 何年の別れぞ
- 風雨 … 風が起こり、雨が散りゆく。別離にたとえる。
- 何年別 … 何年先までの別れとなることか。
琴樽此日同
琴樽 此の日同じうす
- 琴樽 … 琴と酒だる。別れの宴の酒と琴。「琴尊」も同じ。
- 同 … 「同にす」とも読む。
離亭不可望
離亭 望む可からず
- 離亭 … 送別の宴をする宿場の建物。
- 不可望 … 眺めわたすことができない。
溝水自西東
溝水 自ずから西東
- 溝水 … 御溝の水。長安の宮殿のまわりの堀割の水。
- 西東 … 堀割の水が東西に分かれて流れること。人も東西に分かれること。
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