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小園四首 其三(陸游)

小園四首 其三
しょうえんしゅ さん
りくゆう
  • 〔テキスト〕 『剣南詩稿』巻十三(『四庫全書』所収)、他
  • 七言絶句。聲・平・耕(平声庚韻)。
  • 淳熙八年(1181)、故郷での作。五十七歳。
  • 小園 … 陸游所有の小さな菜園。
  • 陸游 … 1125~1210。南宋の詩人。越州山陰(浙江省紹興市)の人。あざなは務観。号は放翁。二十九歳のとき進士の試験に一位で及第したが、宰相秦檜しんかいに妨害されて殿試で落第させられた。秦檜の死後、三十四歳で初めて官界に入り、福州寧徳(現在の福建省寧徳市)の主簿に就き、さらに都の微官や地方官を歴任した。激情の憂国・愛国詩人でもあり、また自然を愛する田園詩人でもあった。著に『剣南詩稿』八十五巻、『なん文集』五十巻、『入蜀記』などがある。ウィキペディア【陸游】参照。
村南村北鵓鴣聲
村南そんなん村北そんほく ぼっこえ
  • 村南村北 … 村の北からも南からも。村の北でも南でも。
  • 鵓鴣 … 鳥の名。ハトの一種。羽は黒褐色。
水刺新秧漫漫平
みず 新秧しんおうして 漫漫まんまんとしてたいらかなり
  • 水 … 田の水。
  • 新秧 … 田に移し替えられたばかりの新しい苗。「秧」は稲の苗。
  • 刺 … 水面から突き出ている様子。
  • 漫漫 … 水面が果てしなく広がるさま。
  • 平 … 平らに。
行遍天涯千萬里
くこと天涯てんがいあまねく せんまん
  • 天涯 … 天の果て。空の果て。非常に遠い所。涯は、かぎり。地の果て。『論衡』率性篇に「人間じんかんの水は汚濁なるも、野外に在る者は清潔なり。ともに一水たり、みなもとは天涯よりするも、或いは濁り或いはむは、在る所の勢い、之をして然らしむるなり」(人閒之水汚濁、在野外者淸潔。倶爲一水、源從天涯、或濁或淸、所在之勢、使之然也)とある。ウィキソース「論衡/08」参照。
  • 行遍天涯千万里 … 私は空の果てのように遠い地方まで、千万里も旅してまわったことがあるが。
却從鄰父學春耕
かえってりんしたがって しゅんこうまな
  • 却 … にもかかわらず今度は。
  • 隣父 … となりのおやじさん。となりの百姓おやじ。「父」は父老の意で、年長者をいう。
  • 従 … ~について。
  • 春耕 … 春の野良仕事。春の百姓仕事。
  • 学 … 勉強している。習っている。
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