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客中初夏(司馬光)

客中初夏
かくちゅうしょ
司馬しばこう
  • 〔テキスト〕 『千家詩』巻三、『詩林広記』後集巻十、他
  • 七言絶句。晴・明・傾(平声庚韻)。
  • ウィキソース「客中初夏」参照。
  • 客中初夏 … 「客中」は旅先にて。旅のさなか。「初夏」は陰暦の初夏。『詩林広記』では詩題を「居洛初夏作」に作る。
  • 司馬光 … 1019~1086。北宋の政治家・学者。せんしゅうけん(山西省夏県)の人。あざなは君実。おくりなは文正。宝元元年(1038)、進士に及第。神宗のとき、王安石の新法に反対して官界を去り、その間に史書『資治しじがん』を完成させた。のち、哲宗のとき復帰し新法を廃したが、宰相就任から八ヵ月で没した。死後、太師温国公の称号を贈られたので「司馬温公」とも呼ばれた。ウィキペディア【司馬光】参照。
四月清和雨乍晴
がつ せい あめたちま
  • 四月 … 陰暦の四月。陰暦の初夏の月。
  • 清和 … 爽やかで清々すがすがしい気候。また、陰暦の四月一日をもいう。
  • 乍 … 「たちまち」と読み、「急に」「さっと」と訳す。
南山當戸轉分明
南山なんざん たって うた分明ぶんめい
  • 南山 … 南の方に見える山。
  • 当戸 … 戸口の真正面に。「当」は向かい合うこと。
  • 転 … いよいよ。
  • 分明 … はっきりと見えている。
更無柳絮因風起
さらりゅうじょかぜっておこ
  • 更無 … まるで~でない。少しも~ない。まったく~ない。
  • 柳絮 … 柳の白い綿毛のついた種子。晩春から初夏の頃、綿のように乱れ飛ぶ。
  • 因風起 … 風に吹かれて乱れ飛ぶ。東晋のしゃ道韞どううんが雪の舞う様子を詠じた「未だ柳絮の風に因って起こるにかず」(未若柳絮因風起)の語(『世説新語』言語篇)に基づく。
  • 因 … 「隋」に作るテキストもある。
惟有葵花向日傾
葵花きかかってかたむ
  • 惟 … 「ただ」と読み、「ただ~だけだ」「ただ~にすぎない」と訳す。限定の意を示す。文末の助詞「のみ」は省略される。「唯」と同じ。
  • 葵花 … ひまわりの花。
  • 向日傾 … 太陽の方を向いて傾いているだけである。天子に対し忠誠を尽くすという寓意も含んでいるらしい。
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