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垓下歌(項羽)

垓下歌がいうた
こう     
  • 〔出典〕 『楽府詩集』巻五十八(『四部叢刊 初編経部』所収)、『先秦漢魏晋南北朝詩』漢詩巻一、『古詩源』巻二 漢詩、『文選補遺』巻三十五(『四庫全書』所収)、他
  • 七言古詩。世・逝(去声霽韻)、何・何(平声歌韻)、換韻。
  • ウィキソース「樂府詩集/058卷」「古詩源/卷二」参照。
  • 垓下歌 … 「垓下」は地名。今のあん省霊壁県付近。『楽府詩集』では「力拔山操」に作る。
  • この詩は、項羽が垓下で四面楚歌の状態となり、自らの滅亡をさとり、別れの酒宴で歌ったもの。
  • 項羽 … 前232~前202。秦末、楚の武将。あざなは羽、名は籍。前209年、叔父の項梁とともに挙兵。劉邦と協力して秦を滅ぼし、楚王となった。のち、劉邦と天下を争い、垓下の戦いで敗れて死んだ。ウィキペディア【項籍】参照。
力抜山兮氣蓋世
ちから やまき  おお
  • 力抜山 … わが力は山をも引き抜く。「抜」は引き抜く。
  • 兮 … 音は「ケイ」。調子を整える助字。訓読しない。『楚辞』や楚調の歌に多く用いられる。
  • 気蓋世 … わが意気は天下をおおい尽くす。「気」は意気。気魄。気概。気力。
  • この詩句から気力が充実し、意気盛んなさまを「抜山ばつざん蓋世がいせい」という。
時不利兮騅不逝
とき あらず すい かず
  • 時不利 … 時運が不利である。時運に恵まれない。時勢が悪くなった。時運が自分に味方しない。「時」は時勢。時運。
  • 騅不逝 … 愛馬のすいも進まない。「騅」は項羽の愛馬の名であるが、本来はあしの馬(白い毛の中に黒色・茶色などの毛などが入りまじっている馬)。「逝」は、ここでは進むの意。「往」と同じ。
騅不逝兮可奈何
すいかざる 奈何いかんすべき
  • 可奈何 … 「奈何いかんすべき」と読む。どうしたらよいだろうか、いや、どうすることもできない。反語。「奈何」は手段や方法を尋ねるときの疑問詞。「如何」と同じ。
虞兮虞兮奈若何
や なんじ奈何いかんせん
  • 虞兮虞兮 … 愛するよ。「虞」は項羽に寵愛された虞姫ぐき。ウィキペディア【虞美人】参照。
  • 若 … 「汝」と同じ。
  • 奈若何 … 「なんじ奈何いかんせん」と読む。「奈何」の間に目的語が入った形。反語を表し、「お前をどうしようか、いや、どうしようもないのだ」と訳す。
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