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怨歌行(班婕妤)

怨歌行
えんこう
はんしょう
  • 〔テキスト〕 『楽府詩集』巻四十二、『先秦漢魏晋南北朝詩』漢詩巻一、『古詩源』巻二 漢詩、『古詩賞析』巻三 漢詩、『文選』巻二十七、『玉台新詠』巻一、他
  • 五言古詩。雪(入声屑韻)、月・發(入声月韻)、熱・絶(入声屑韻)。
  • ウィキソース「怨詩 (班婕妤)」「樂府詩集/042卷」「古詩源/卷二」参照。
  • 怨歌行 … 楽府題。行は、歌・曲の意。『玉台新詠』では「怨詩」に作る。
  • この詩は、帝の寵愛を失う恐れを団扇うちわに喩えて詠んだもの。
  • 班婕妤 … 前48?~前6?。前漢の女官、女流詩人。しょうは官名(後宮における側室の称号)。はんきょうの娘。名は未詳。成帝せいてい(在位前33~前7)の寵愛を受けて女官となったが、のちに帝がちょうえん姉妹を寵愛するようになったため、退いて皇太后に仕えた。ウィキペディア【班ショウヨ】参照。
新裂齊紈素
あらたにせいがんけば
  • 新裂 … 新しく織機から布を裁ち切ること。『古詩賞析』では「新製」に作る。
  • 斉 … せい国産の。
  • 紈素 … 白い練り絹。
鮮潔如霜雪
鮮潔せんけつにして霜雪そうせつごと
  • 鮮潔 … 新しく清らかな様子。『古詩源』『古詩賞析』『文選』では「皎潔」に作る。こちらは、白く清らかな様子。
  • 霜雪 … 霜か雪か。
裁爲合歡扇
ちて合歓ごうかんせんせば
  • 裁 … 型紙に合わせて裁断する。
  • 合歓扇 … 表と裏の両面に張り合わせた団扇うちわ。「合歓」は男女の和合の象徴。
  • 為 … 『古詩源』『古詩賞析』では「成」に作る。
團團似明月
団団だんだんとして明月めいげつたり
  • 団団 … まるいさま。
出入君懷袖
きみかいしゅう出入しゅつにゅう
  • 懐袖 … ふところそで
動搖微風發
動揺どうようしてふうはっ
  • 動揺 … ここでは団扇うちわあおぐこと。
常恐秋節至
つねおそる しゅうせついた
  • 常恐 … 常に気にかかるのは。いつも心配なのは。
  • 秋節 … 秋の季節。
涼風奪炎熱
りょうふう炎熱えんねつうば
  • 風 … 『先秦漢魏晋南北朝詩』『古詩賞析』等では「飈」に作る。「飈」は「飆」の異体字。つむじ風、または風の意。
棄捐篋笥中
きょううちえんせられ
  • 篋笥 … 書物や衣服などを入れる箱。
  • 棄捐 … 捨ててしまうこと。ここでは箱の中にしまい込むこと。
恩情中道絕
おんじょう ちゅうどうえんことを
  • 恩情 … ここでは帝の情け。
  • 中道 … 中途。
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