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歌(李延年)

歌
歌(うた)
李(り)延年(えんねん)
  • 〔テキスト〕 『楽府詩集』巻八十四(『四部叢刊 初編集部』所収)、『先秦漢魏晋南北朝詩』漢詩巻一、『古詩源』巻二 漢詩、『古詩賞析』巻三 漢詩、『玉台新詠』巻一(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
  • 雑言古詩(『玉台新詠』は五言古詩)。立(入声緝韻)、國・國・得(入声職韻)。
  • ウィキソース「歌詩 (李延年)」「樂府詩集/084卷」「古詩源/卷二」参照。
  • 歌 … 『楽府詩集』では「李延年歌」に作る。『古詩賞析』では「佳人歌」に作る。『玉台新詠』では「歌詩」に作る。
  • この詩は作者が妹の美しさを讃えたもの。その妹は後に武帝に寵愛され、李夫人と呼ばれた。
  • 李延年 … 前140?~前87?。宦官の歌手。中(ちゅう)山(ざん)(現在の河北省定州市)の人。妹が漢の武帝に寵愛され、李夫人となったおかげで、協(きょう)律(りつ)都尉(とい)(音楽取調官)に取り立てられた。夫人の死後、武帝に誅殺された。ウィキペディア【李延年】参照。
北方有佳人
北方(ほっぽう)に佳(か)人(じん)有(あ)り
  • 北方 … 作者の出身地、中(ちゅう)山(ざん)(現在の河北省定州市)を指す。
  • 佳人 … 美人。美女。『楚辞』九章・悲回風に「惟(た)だ佳人を之れ独り懐い、若椒(じゃくしょう)を折りて以て自ら処(お)る」(惟佳人之獨懷兮、折若椒以自處)とある。若椒は、杜若と山椒。自処は、自分で満足する。ウィキソース「楚辭/九章」参照。また、前漢の司馬相如「長門の賦」(『文選』巻十六)に「夫れ何ぞ一佳人、歩(あゆ)みて逍遥して以て自ら虞(はか)る」(夫何一佳人兮、歩逍遙以自虞)とある。ウィキソース「長門賦」参照。また、三国魏の阮籍「詠懐詩八十二首」の第八十首に「門を出(い)でて佳人を望むも、佳人豈に茲(ここ)に在らんや」(出門望佳人、佳人豈在茲)とある。ウィキソース「詠懷詩五言八十二首」参照。
絕世而獨立
絶世(ぜっせい)にして独(ひと)り立(た)つ
  • 絶世 … 世に較べるものがないほど優れていること。通常は女性の容姿を形容するのに使う。
  • 而 … 置き字。順接の働きをする。直前の語に「~て」「~して」と送り仮名をつける。
  • 独立 … ひとり際立っている。
一顧傾人城
一(ひと)たび顧(かえり)みれば人(ひと)の城(しろ)を傾(かたむ)け
  • 一顧 … ちょっとふり返って流し目をくれると。
  • 傾城 … 町中の人々が夢中になって、城壁で囲まれた町全体が危うくなる。転じて、町全体を危うくするほどの絶世の美女のこと。城は、日本とは違い、城壁で囲まれた町のことで、「じょう」と呉音に読まず、「せい」と漢音に読む。
再顧傾人國
再(ふたた)び顧(かえり)みれば人(ひと)の国(くに)を傾(かたむ)く
  • 再顧 … 再びふり返って見れば。
  • 傾国 … 国を危険な状態にする。転じて、君主もその美しさに惑わされ、国を滅ぼしてしまうほどの絶世の美女のこと。なお、我が国において傾城(けいせい)・傾国(けいこく)は、ともに花魁(おいらん)・娼(しょう)妓(ぎ)の異称として用いられる。
寧不知傾城與傾國
寧(いず)くんぞ傾城(けいせい)と傾国(けいこく)とを知(し)らざらんや
  • 寧 … 「いずくんぞ」「なんぞ」と読み、「どうして~であろうか」「まさか~ではあるまい」と訳す。反語形。
  • 与 … 「と」と読み、「~と」と訳す。「A与B」の場合は、「AとB与(と)」と読む。「與」は「与」の旧字体。
  • 寧不知傾城与傾国 … まさか町を危うくし、国をも危うくしてしまうことの恐ろしさを知らぬわけではあるまい。『玉台新詠』では「寧不知」を削除し、「傾城(けいせい)復(ま)た傾国(けいこく)」(傾城復傾國)の五言句に作る。
佳人難再得
佳(か)人(じん)は再(ふたた)び得(え)難(がた)し
  • 難再得 … 二度と手に入りにくい。二度と見つかりにくい。
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