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送梁六(張説)

送梁六
りょうろくおく
ちょうえつ
  • 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻八十九、『張説之文集』巻六(『四部叢刊 初編集部』所収)、『古今詩刪』巻二十一(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、54頁)、『唐詩品彙』巻四十六、他
  • 七言絶句。秋・浮・悠(平声尤韻)。
  • ウィキソース「送梁六自洞庭山作」参照。
  • 詩題 … 『全唐詩』『四部叢刊本』では「送梁六自洞庭山作」に作る。
  • 梁六 … 梁知微ちび。梁は姓。六は排行。たんしゅう(湖南省ちょう市)の刺史(地方長官)となった人物。
  • この詩は、梁六という人物が洞庭湖の君山に帰隠するのを見送って詠んだもの。梁六が君山に隠棲するのは、神仙の道を求めてのことと解釈されている。なお、平野彦次郎『唐詩選研究』(明徳出版社、昭和49年)では「梁六は栄転して長安の都に帰るのであって、洞庭に帰隠するのではない」と言っている。
  • 張説 … 667~730。初唐の詩人、政治家。あざな道済どうさい、またはえつ。洛陽(河南省)の人。永昌元年(689)、賢良方正科の科挙に主席で合格。太子校書郎から鳳閣舎人、中書令(宰相)などを歴任し、えん国公に封ぜられた。『張説之文集』二十五巻がある。ウィキペディア【張説】参照。
巴陵一望洞庭秋
りょう一望いちぼうす 洞庭どうていあき
  • 巴陵 … 岳州(今の湖南省岳陽市)の西南にある丘。下は洞庭湖に臨む。巴陵郡のことではない。
  • 一望 … ひと目で見渡す。眺め渡す。
  • 洞庭 … 洞庭湖。湖南省北部にある。ウィキペディア【洞庭湖】参照。
  • 秋 … 秋景色。
日見孤峯水上浮
る ほうすいじょううかぶを
  • 日見 … 日ごと見えているのは。日ごと目にするのは。
  • 孤峰 … 洞庭湖の中にただ一つ浮かぶ島、君山くんざんのこと。
  • 水上 … 湖水の上。
聞道神仙不可接
らく 神仙しんせんせっからずと
  • 聞道 … 「きくならく」と読み、「聞くところによれば」「人の話によると」と訳す。「聞説」とも書く。
  • 神仙 … 神様や仙人。君山には洞庭湖の女神が住むといわれる。
  • 不可接 … 近づくことができない。
心隨湖水共悠悠
こころすいしたがってとも悠悠ゆうゆうたり
  • 悠悠 … 長くゆったりと続くさま。尽きることがない。
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