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訟え無きを以て貴しと為す

うったきをもったっとしと
  • 出典:『論語』顔淵第十二13(ウィキソース「論語/顏淵第十二」参照)、『論語集注』楊時注(国立国会図書館デジタルコレクション)参照。
  • 解釈:訴訟が起こらない世の中が最も尊いことであり、政治の理想である。『論語集注』に引く楊時の語。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
〔論語、顔淵〕
子曰、聽訟、吾猶人也。必也使無訟乎。
いわく、うったえをくは、われひとのごとし。かならずやうったからしめんか。
  • 聴訟 … 両者の訴えを聞いて、正しい判決を与えること。「訟」は、訴訟、訴え。
  • 吾猶人也 … わたしも他の人と同じだ。人並みの能力しかない。
  • 猶 … 「なお~のごとし」と読み、「ちょうど~のようだ」と訳す。再読文字。
  • 必也使無訟乎 … どうかして、この世の中から訴訟ごとそのものを無くしたいということである。
  • 必也 … ぜひとも。どうかして。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「顔淵第十二13」参照。
〔論語集注、楊時注〕
楊氏曰、子路片言可以折獄、而不知以禮遜爲國、則未能使民無訟者也。故又記孔子之言、以見聖人不以聽訟爲難、而以使民無訟爲貴
よういわく、子路しろ片言へんげんもっごくさだくも、礼遜れいそんもっくにおさむるをらざれば、すなわいまたみをしてうったからしむることあたわざるものなり。ゆえこうげんしるし、もっ聖人せいじんうったえをくをもっかたしとさずして、たみをしてうったからしむをもったっとしとすをあらわせり、と。
  • 楊氏 … 楊時。1053~1135。北宋中期の儒学者。あざなは中立。程顥・程頤に師事した。著に『亀山集』などがある。ウィキペディア【楊時】参照。
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た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句