子在す。回何ぞ敢えて死せん
子在す。回何ぞ敢えて死せん
- 出典:『論語』先進第十一22(ウィキソース「論語/先進第十一」参照)
- 解釈:先生が生きていらっしゃるのに、どうして私が死ねましょうか。孔子一行が匡の地で襲撃され、顔回だけが一行とはぐれた。その後、合流したとき、孔子が「私はお前が死んだものと思ったよ」と言ったのに対し、顔回が答えていった言葉。
- 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子畏於匡。顏淵後。子曰、吾以女爲死矣。曰、子在。回何敢死。
子、匡に畏す。顔淵後れたり。子曰く、吾女を以て死せりと為す。曰く、子在す。回何ぞ敢えて死せん。
- 匡 … 衛の国の地名。
- 畏 … 生命の危険にさらされる。ここでは孔子の容貌が陽虎に似ていたため、匡の住民に間違われて包囲され、五日間も拘禁されたことを指す。
- 顔淵 … 前521~前490頃。孔子の第一の弟子、顔回。姓は顔、名は回。字が子淵であるので顔淵とも呼ばれた。魯の人。徳行第一といわれた。孔子より三十歳年少。早世し孔子を大いに嘆かせた。孔門十哲のひとり。ウィキペディア【顔回】参照。
- 後 … 一行におくれて消息不明になった。
- 吾以女為死矣 … 私はお前が死んだものと思ったよ。
- 女 … 「汝」に同じ。
- 回 … 顔淵の名。ここでは「わたくし」。
- 何敢死 … どうして死ねましょう。「何敢」は「なんぞあえて~せん」と読み、「どうして~しようか、~しない」と訳す。
- 詳しい注釈と現代語訳については「先進第十一22」参照。
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