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曲突徙薪

きょくとつしん
  • 出典:『十八史略』巻二・西漢・孝宣皇帝(国立国会図書館デジタルコレクション「十八史畧 二」参照)
  • 解釈:災いを未然に防ぐこと。旅人がある家の主人に、まっすぐな煙突を曲がったものにし、側にある薪を移すようにと忠告したが応じず、その家は火事になってしまったという故事から。徙は、うつす。
  • 十八史略 … 七巻。元のそうせん撰。『史記』から『新五代史』までの十七の正史に、宋代の史書を加えて十八史とし、その概要を編年体でまとめたもの。史料的価値はほとんどないが、我が国では初学者のための入門書として広く読まれており、特に江戸時代には『論語』『唐詩選』とともに、初学者の必読書とされた。ウィキペディア【十八史略】参照。
霍氏謀反、伏誅。夷其族。告者皆封列侯。初霍氏奢縱。茂陵徐福上疏言、宣以時抑制、無使至亡。書三上。不聽。
かくほんし、ちゅうふくす。ぞくたいらぐ。ぐるものみな列侯れっこうほうぜらる。はじかくしゃしょうなり。りょう徐福じょふくじょうしてう、よろしくときもっ抑制よくせいし、ぼういたらしむることかるべし、と。しょたびたてまつる。かず。
  • 霍氏 … 前漢の政治家、霍光の一族。
  • 奢縦 … 贅沢をして、ほしいままに振舞うこと。
  • 茂陵 … 陝西省のある地名。
  • 上疏 … 君主に意見書をたてまつる。
至是、人爲徐生上書曰、客有過主人。見其竈直突、傍有積薪、謂主人、更爲曲突、速徙其薪。主人不應。俄失火。郷里共救之、幸而得息。
ここいたりて、ひと徐生じょせいためじょうしょしていわく、かく主人しゅじんよぎるものり。かまどちょくとつにして、かたわらに積薪せきしんるをて、主人しゅじんう、あらためてきょくとつつくり、すみやかにたきぎうつせ、と。主人しゅじんおうぜず。にわかにしっす。きょうともこれすくい、さいわいにしてむをたり。
  • 直突 … まっすぐな煙突。
  • 積薪 … 積み上げたたきぎ。
  • 曲突 … 曲がった煙突。
殺牛置酒、謝其郷人。人謂主人曰、郷使聽客之言、不費牛酒、終無火患。今、論功而賞、曲突徙薪無恩澤、焦頭爛額爲上客邪。上乃賜福帛以爲郎。
うしころさけいて、きょうじんしゃす。ひと主人しゅじんいていわく、さきかくげんかしめば、ぎょうしゅついやさず、ついかんからん。いまこうろんじてしょうするに、きょくとつたきぎうつせというものに恩沢おんたくく、かしらがしひたいただらすものを上客じょうかくすか、と。しょうすなわふくはくたまい、もっろうす。
  • 爛 … 焼けてただれる。
  • 上 … 「しょう」と読む。帝王を指す尊敬のことば。
  • 帛 … 絹織物。
  • 郎 … 郎という官職。中級の役人。
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論語の名言名句