憤りを発して食を忘る
憤りを発して食を忘る
- 出典:『論語』述而第七18(ウィキソース「論語/述而第七」参照)
- 解釈:学問に熱中して食事も忘れること。「憤」は、発憤すること。怒りの意ではない。
- 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
葉公問孔子於子路。子路不對。子曰、女奚不曰、其爲人也、發憤忘食、樂以忘憂、不知老之將至云爾。
葉公、孔子を子路に問う。子路対えず。子曰く、女奚ぞ曰わざる、其の人と為りや、憤りを発して食を忘れ、楽しみて以て憂いを忘れ、老いの将に至らんとするを知らざるのみ、と。
- 葉公 … 春秋時代、楚の重臣。姓は沈、名は諸梁、字は子高。「葉」は、人名・地名のときは「しょう」と読む。
- 子路 … 前542~前480。姓は仲、名は由。字は子路、または季路。魯の卞の人。孔門十哲のひとり。孔子より九歳年下。門人中最年長者。政治的才能があり、また正義感が強く武勇にも優れていた。ウィキペディア【子路】参照。
- 対 … 目上の人にていねいに答えるときに用いる。
- 女 … おまえ。「汝」に同じ。
- 奚不~ … 「なんぞ~せざる」と読み、「どうして~しないのか」と訳す。
- 其為人也 … 「そのひととなりや」と読み、「その人柄は」と訳す。「其」は孔子を指す。「為人」は「ひととなり」と読む。「也」は「や」と読み、「~は」と訳す。
- 発憤 … 心を奮いおこして励む。
- 楽 … 自らの楽しみとするものを楽しむ。
- 以 … ここでは返読しない。「もって」と読み、「そうして」と訳す。
- 忘憂 … 心配事も忘れてしまう。
- 不知 … 気にかけない。
- 老之将至 … 老いが今にもやってこようとしていること。「老之」は「おいの」と読む。「将」は再読文字。「まさに~せんとす」と読み、「やがて~になろうとする」「いまにも~しそうである」と訳す。
- 云爾 … 「~のみ」「しかいう」と読み、「~というわけである」と訳す。
- 詳しい注釈と現代語訳については「述而第七18」参照。
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