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百姓足らば、君孰と与にか足らざらん

ひゃくせいらば、きみたれともにからざらん
  • 出典:『論語』顔淵第十二9(ウィキソース「論語/顏淵第十二」参照)
  • 解釈:民衆が充足していれば、君主が誰といっしょに充足していないと思われるのでしょうか。民衆が豊かになれば、君主だけが貧しくなるはずがないということ。孔子の門人、ゆうじゃくの言葉。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
哀公問於有若曰、年饑、用不足。如之何。有若對曰、盍徹乎。曰、二吾猶不足。如之何其徹也。對曰、百姓足、君孰與不足。百姓不足、君孰與足。
哀公あいこうゆうじゃくいていわく、としえて、ようらず。これ如何いかんせん。ゆうじゃくこたえていわく、なんてっせざるや。いわく、われらず。これ如何いかんてっせんや。こたえていわく、ひゃくせいらば、きみたれともにからざらん。ひゃくせいらずんば、きみたれともにからん。
  • 哀公 … 魯の国の君主。名は蔣。哀はおくりな定公ていこうの子。前494年、孔子五十八歳のときに即位。ウィキペディア【哀公 (魯)】参照。
  • 有若 … 孔子の門弟。姓はゆう、名はじゃくあざなは子有。魯の人。有子といわれた。容貌が孔子に似ていたという。門人で「子」と敬称を付けて呼ばれたのは、この有子とそうぜんびんの四人だけ。ウィキペディア【有若】参照。
  • 年饑 … 今年は飢饉である。
  • 用不足 … 国家の財政が不足している。
  • 如之何 … どうしたらよかろうか。
  • 対曰 … 目上の人に答えるときに用いる。
  • 盍 … 「なんぞ~せざる」と読み、「どうして~しないのか」と訳す。再読文字。「何不」の二字を「盍」の一字で代用したもの。
  • 徹 … 周代の租税の制度。十分の一の税率で租税をとる。
  • 二 … 十分の二を租税とした税法。
  • 吾猶不足 … 自分はそれでもなお足りない。
  • 如之何其徹也 … どうして十分の一税の徹税などを用いられようか。「如之何其~也」は「これをいかんぞそれ~せんや」と読み、「どうして~しようか」と訳す。「其」は強調。
  • 百姓 … 「ひゃくせい」と読む。民衆・人民のこと。農民ではない。
  • 君孰与不足 … 君主たるものは、誰といっしょに足りないと思われるのでしょうか。「孰」は「誰」に同じ。「与」は、いっしょに。「孰与~」は「たれとともにか~せん」と読み、「誰とともに~しようか。~することはできない」と訳す。反語の形。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「顔淵第十二9」参照。
あ行 か行 さ行
た行 な行 は行
ま行 や行 ら行・わ
論語の名言名句