雨後(査慎行)
雨後
雨後
雨後
- 〔テキスト〕 『敬業堂詩集』巻十三(『四部叢刊 初編集部』所収)、他
- 七言絶句。年・前・眠(平声先韻)。
- 康熙三十年(1691)の作。
- 雨後 … 雨の降ったあと。雨あがり。
- 査慎行 … 1650~1727。清初の詩人。海寧(浙江省)の人。字は夏重、のち悔余。号は他山・初白。康熙四十二年(1703)、進士に及第。翌年、翰林院編修となった。『佩文韻府』の編纂にも参加した。宋詩を尊崇し、蘇軾や陸游に傾倒した。著に『蘇詩補注』五十巻、『敬業堂詩集』五十巻などがある。ウィキペディア【査慎行】参照。
便從一雨望豐年
便ち一たび雨ふるに従って 豊年を望む
- 便 … 「すなわち」と読み、「すぐに」「すぐさま」「たちまち」と訳す。「即」とほぼ同じ。
- 従 … 「(~に)よって」「(~に)よりて」と読み、「だから」「~の理由で」と訳す。原因・理由の意を示す。
- 豊年 … 豊作の年。穀物の実りの多い年。
- 望 … 期待を寄せる。
大抵人情慰目前
大抵 人情は 目前を慰む
- 大抵 … たいがい。おおよそ。おおむね。だいたい。
- 人情 … 人としての自然な感情。
- 目前 … 目の前の出来事。目の前の事象。『列子』楊朱第七に「目前の事は、或いは存し或いは廃して、千に一を識らず」(目前之事、或存或廢、千不識一)とある。
- 慰 … 不安な気持ちがなくなり、心がなごやかになる。心を安める。
我比老農還計短
我 老農に比して 還た計短し
- 我 … わたし。作者を指す。
- 老農 … 年老いた農夫。
- 比 … 比べて。
- 還 … 「また」と読み、「また」「なお」「やはり」などと訳す。中世以後の俗語。
- 計 … 計画。はかりごと。ここでは考え。
- 短 … 早計。短絡的な考え。
只貪今夜夜涼眠
只だ 今夜の夜涼を貪って眠る
- 只 … 「ただ」と読み、「ただ~だけだ」と訳す。限定の意を表す。
- 夜涼 … 夜の涼しい空気。
- 貪 … 満足するまで欲する。十分すぎるほど堪能する。
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