宴辺将(張喬)
宴邊將
辺将を宴す
辺将を宴す
一曲涼州金石淸
一曲の涼州 金石清し
- 一曲 … 一節。
- 涼州 … 楽曲の名。涼州詞。楽府題。涼州は、現在の甘粛省武威市。玄宗の開元年間、西涼府の都督であった郭知運が採集し朝廷に献上した涼州一帯の楽曲。辺境の地に出征した兵士の心情を詠じたもの。『新唐書』礼楽志に「天宝の楽曲は、皆辺地の名を以てす。涼州・伊州・甘州の類の若し」(天寶樂曲、皆以邊地名。若涼州、伊州、甘州之類)とある。ウィキソース「新唐書/卷022」参照。また『楽府詩集』近代曲辞、涼州歌に「楽苑に曰く、涼州は宮調曲にて、開元中、西涼府の都督郭知運が進みけり」(樂苑曰、涼州宮調曲、開元中、西涼府都督郭知運進)とある。ウィキソース「樂府詩集/079卷」参照。
- 涼 … 『全唐詩』『文苑英華』では「梁」に作る。
- 金石 … 金は、鐘などの金属製の打楽器。石は、磬などの石製の打楽器。前漢の孔安国「尚書の序」(『文選』巻四十五)に「王又た孔子の堂に升り、金石絲竹の音を聞く」(王又升孔子堂、聞金石絲竹之音)とある。ウィキソース「尚書序」参照。
- 清 … 清らかに澄み渡る。
- 金石清 … 『文苑英華』『唐詩品彙』では「今清からず」(今不清)に作る。
邊風蕭颯動江城
辺風蕭颯として江城を動かす
- 辺風 … 辺境のあたりを吹く風。辺地の風。
- 蕭颯 … 物寂しく吹く風の音の形容。盛唐の杜甫「柴門」詩に「蕭颯として秋色に灑ぎ、氛昏として日車に霾る」(蕭颯灑秋色、氛昏霾日車)とある。氛昏は、雲や霧の立ち込めるさま。日車は、太陽。霾は、大風に吹きあげられて、空から土砂がふること。ウィキソース「全唐詩/卷221」参照。
- 颯 … 『古今詩刪』では「瑟」に作る。
- 江城 … 川のほとりにある町。川沿いの町。
- 動 … 揺り動かすようである。
坐中有老沙場客
坐中 沙場に老いたるの客有り
- 坐中 … この宴席の中に。
- 老沙場客 … 長い間砂漠の戦場で戦ってきた年老いた客。
- 沙場 … (戦場としての)砂漠。後漢の蔡琰の楽府「胡笳十八拍」(『楽府詩集』巻五十九、『楚辞後語』巻三)の第十七拍に「塞上の黄蒿は枝枯れ葉乾きたり、沙場の白骨に刀痕箭瘢あり」(塞上黃蒿兮枝枯葉乾、沙場白骨兮刀痕箭瘢)とある。箭瘢は、矢きずのあと。ウィキソース「胡笳十八拍」「樂府詩集/059卷」「楚辭集注 (四庫全書本)/後語卷3」参照。
橫笛休吹塞上聲
横笛 吹くを休めよ 塞上の声
- 横笛休吹 … 横笛で吹くのはやめてくれ。
- 塞上声 … 辺塞の調べ。辺塞の曲。声は、音の意。
テキスト
- 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
- 『全唐詩』巻六百三十八(排印本、中華書局、1960年)
- 『文苑英華』巻三百(影印本、中華書局、1966年)
- 趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻三十一(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)
- 『唐詩品彙』巻五十四([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
- 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
こちらもオススメ!
| 歴代詩選 | |
| 古代 | 前漢 |
| 後漢 | 魏 |
| 晋 | 南北朝 |
| 初唐 | 盛唐 |
| 中唐 | 晩唐 |
| 北宋 | 南宋 |
| 金 | 元 |
| 明 | 清 |
| 唐詩選 | |
| 巻一 五言古詩 | 巻二 七言古詩 |
| 巻三 五言律詩 | 巻四 五言排律 |
| 巻五 七言律詩 | 巻六 五言絶句 |
| 巻七 七言絶句 | |
| 詩人別 | ||
| あ行 | か行 | さ行 |
| た行 | は行 | ま行 |
| や行 | ら行 | |