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成徳楽(王表)

成德樂
成徳楽(せいとくがく)
王(おう)表(ひょう)
  • 七言絶句。樓・秋・流(下平声尤韻)。
  • ウィキソース「成德樂」参照。
  • 詩題 … 成徳楽は、唐の楽曲の名の一つ。成徳とは、成し遂げた徳。完全な徳。また、徳を成し遂げること。題名と詩の内容とは関係ない。
  • この詩は、趙国の美女が歌う悲しい歌声に、旅愁をそそられたことを詠んだもの。
  • 王表 … 生没年不詳。中唐の詩人。大暦十四年(779)、進士に及第。秘書少監となった。『全唐詩』に詩三首を収める。
趙女乘春上畫樓
趙(ちょう)女(じょ)春(はる)に乗(じょう)じて画(が)楼(ろう)に上(のぼ)り
  • 趙女 … 趙国の女性。燕国の女性とともに美人の産地といわれた。「古詩十九首」(『文選』巻二十九、『玉台新詠』巻一)の第十二首に「燕(えん)・趙(ちょう)には佳(か)人(じん)多(おお)し、美(び)なる者(もの)顔(かんばせ)玉(たま)の如(ごと)し」(燕趙多佳人、美者顏如玉)とある。ウィキソース「東城高且長」参照。また、後漢の張衡「南都の賦」(『文選』巻四)に「斉童(せいどう)唱(とな)えて趙(ちょう)女(じょ)列(つら)なり、坐(ざ)して南(なん)歌(か)し起(た)って鄭(てい)舞(ぶ)す」(齊童唱兮列趙女、坐南歌兮起鄭舞)とある。ウィキソース「南都賦」参照。趙は、戦国七雄の一つ。今の山西省北部から河北省東南部を領有した。晋の大夫の趙氏が、韓氏・魏氏とともに晋の領土を3分して独立したもの。初め晋陽(今の山西省太原市)に都を置き、のち邯鄲(今の河北省邯鄲市)に移した。前222年、秦に滅ぼされた。ウィキペディア【趙 (戦国)】参照。
  • 乗春 … 春の陽気に任せて。春の陽気に誘われて。乗は、機会をちょうど利用すること。
  • 画楼 … 美しく彩色した高楼。
一聲歌發滿城秋
一声(いっせい) 歌(うた)は発(はっ)す 満(まん)城(じょう)の秋(あき)
  • 一声 … ひと声。
  • 歌発 … 歌を悲しげに唱(うた)えば。
  • 満城秋 … 町中が秋の気配のように物悲しさが漂う。満城は、町全体。町中。
無端更唱關山曲
端(はし)無(な)くも更(さら)に唱(うた)う 関山(かんざん)の曲(きょく)
  • 無端 … 思いがけなくも。
  • 関山曲 … 楽府題の一つ。関山は、関所のある山。「関山月」「度関山」などの楽府題と同様、出征兵士や旅人の望郷の愁いを詠う。『楽府古題要解』巻下、関山月の条に「皆離別を傷むを言うなり」(皆言傷離別也)とある。ウィキソース「樂府古題要解」参照。
不是征人亦淚流
是(こ)れ征人(せいじん)ならずとも亦(ま)た涙(なみだ)流(なが)れん
  • 不是征人亦涙流 … この歌を聞けば、たとえ旅人でなくても涙を流さずにはいられない。まして私のような旅人は思わず涙がこぼれてしまう。
  • 征人 … 旅人。または遠征の兵士。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻七(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻二百八十一(排印本、中華書局、1960年)
  • 『唐詩品彙』巻五十二([明]高棅編、[明]汪宗尼校訂、上海古籍出版社、1982年)
  • 『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、汲古書院)
  • 『才調集』巻九(傅璇琮編撰『唐人選唐詩新編』、陝西人民教育出版社、1996年)
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