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九日送別(王之渙)

九日送別
きゅうじつ送別そうべつ
おうかん
  • 七言絶句。稀・歸・飛(平声微韻)。
  • 九日 … 陰暦九月九日、重陽の節句。ウィキペディア【重陽】参照。
  • 送別 … 友人の旅立ちを送る詩。
  • 王之渙 … 688~742。盛唐の詩人。へいしゅう(山西省太原)の人。あざなりょう。科挙に及第せず、在野の詩人として生涯を終えた。辺境の風物を詠じた辺塞へんさい詩人として有名。ウィキペディア【王之渙】参照。
薊庭蕭瑟故人稀
薊庭けいていしょうしつとしてじんまれなり
  • 薊庭 … けいしゅう(今の天津市薊州区)の地。「庭」は「辺庭」の「庭」と同じく、薊州の地一帯を指す。ウィキペディア【薊州区】参照。
  • 蕭瑟 … 秋風がものさびしく吹くさま。「瑟」は『唐詩紀事』では「索」に作る。
  • 故人 … 古くからの友人。
  • 稀 … ほとんどいない。たまにしかいない。
何處登高且送歸
いずれのところたかきにのぼりてしばらかえるをおくらん
  • 何処 … 「いずれのところか」と読み、「どこか」と訳す。
  • 登高 … 重陽の節句に小高い丘に登って菊酒を飲み、災厄を払う行事。
  • 且 … 「しばらく」と読み、「ひとまず」と訳す。
今日暫同芳菊酒
今日こんにちしばら芳菊ほうぎくさけおなじうするも
  • 暫 … しばらくの間。
  • 芳菊酒 … 香り高い菊の花を浮かべた酒。重陽の節句に飲む慣わしがある。
  • 同 … 酌み交わす。
明朝應作斷蓬飛
明朝みょうちょうまさ断蓬だんぽうってぶべし
  • 明朝 … 明日の朝。
  • 応 … 「まさに~すべし」と読み、「きっと~であろう」と訳す。再読文字。強い推量の意を示す。
  • 断蓬 … 北方のよもぎは冬になって枯れると、根が切れて丸いかたまりとなって、風の吹くままに転がって行く。これを転蓬てんぽうといい、行方の定まらない旅人の身の上に喩えられる。
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