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奉和庫部盧四兄曹長元日朝廻(韓愈)

奉和庫部盧四兄曹長元日朝廻
庫部(こぶ)盧(ろ)四(し)兄(けい)曹(そう)長(ちょう)の「元日(がんじつ)、朝(ちょう)より廻(めぐ)る」に和(わ)し奉(たてまつ)る
韓(かん)愈(ゆ)
  • 七言律詩。旄・號・高・曹・毛(下平声豪韻)。
  • ウィキソース「奉和庫部盧四兄曹長元日朝回」参照。
  • 庫部 … 尚書省兵部の一部局。車や兵器を掌った。
  • 盧四 … 盧は姓。名は汀(てい)。字(あざな)は雲(うん)夫(ぷ)。四は排行。ウィキペディア【排行】参照。
  • 兄 … 同輩の中の年長者に対し、親しんで呼ぶ言葉。
  • 曹長 … 尚書省の属官の別称。
  • 奉和 … 盧汀が元日の朝賀を済ませて帰る道を詠った詩に対し、作者が唱和したもの。
  • 韓愈 … 768~824。中唐の詩人・文章家。河陽(河南省孟州市)の人。字(あざな)は退(たい)之(し)。昌(しょう)黎(れい)(河北省)の人と自称した。諡(おくりな)は文公。貞元八年(792)、進士に及第。唐宋八大家の一人。柳宗元とともに古文復興に努めた。『韓昌黎集』四十巻、『外集』十巻がある。ウィキペディア【韓愈】参照。
天仗宵嚴建羽旄
天(てん)仗(じょう) 宵(よい)厳(げん)にして羽(う)旄(ぼう)を建(た)て
  • 天仗 … 天子を警護する儀仗(兵)。仙仗。『新唐書』儀衛志に「凡そ朝会の仗は、三衛番(ばん)上(じょう)し、分かれて五仗と為り、衙(が)内(ない)五衛と号す。一に曰く供(きょう)奉(ほう)仗、左右衛を以て之を為す。二に曰く親仗、親衛を以て之を為す。三に曰く勲仗、勲衛を以て之を為す。四に曰く翊(よく)仗、翊衛を以て之を為す。皆な鶡冠(かっかん)、緋(ひ)衫裌(さんこう)を服す。五に曰く散手仗、親・勲・翊衛を以て之を為し、緋絁(ひし)の裲(りょう)襠(とう)を服し、野馬を繡(ぬ)いとる。皆な刀を帯び仗を捉(と)り、東西の廊下に列坐し、月毎(つきごと)に四十六人を以て内廊閤外(こうがい)に立たしむ。号して内仗と曰う」(凡朝會之仗、三衞番上、分爲五仗、號衙内五衞。一曰供奉仗、以左右衞爲之。二曰親仗、以親衞爲之。三曰勳仗、以勳衞爲之。四曰翊仗、以翊衞爲之。皆服鶡冠、緋衫裌。五曰散手仗、以親、勳、翊衞爲之、服緋絁裲襠、繡野馬。皆帶刀捉仗、列坐於東西廊下、毎月以四十六人立内廊閤外。號曰内仗)とある。鶡冠は、山鳥の尾羽の飾りをつけた冠。閤外は、宮殿の外。ウィキソース「新唐書/卷023上」参照。
  • 宵厳 … 夜のうちから警護を厳しくすること。
  • 羽旄 … 雉の羽と、から牛の尾を竿頭につけて飾りとした旗。
春雲送色曉雞號
春(しゅん)雲(うん) 色(いろ)を送(おく)って暁(ぎょう)雞(けい)号(な)く
  • 色 … 朝の色を送る。
  • 暁雞 … 暁を告げる鶏。
  • 号 … 鳴く。「号(さけ)ぶ」とも訓読する。
金爐香動螭頭暗
金(きん)炉(ろ) 香(こう)動(うご)いて螭(ち)頭(とう)暗(くら)く
  • 金炉 … 黄金の香炉。
  • 螭頭 … 竜の一種である螭(みずち)の頭を彫刻した階段の手すり。
玉佩聲來雉尾高
玉(ぎょく)佩(はい) 声(こえ)来(きた)って雉尾(ちび)高(たか)し
  • 玉佩 … 玉(ぎょく)を組み糸で貫いて作った飾り。役人が礼服に用いて腰に帯び、歩くと音を立てた。佩(おびだま)。『詩経』秦風・渭陽に「何を以て之に贈らん、瓊瑰(けいかい)の玉佩」(何以贈之、瓊瑰玉佩)とある。瓊瑰は、美しい宝玉や石などのこと。ウィキソース「詩經/渭陽」参照。
  • 雉尾 … 雉尾扇。天子が玉座につくとき、その姿をかくすための大きな扇。雉の尾羽で作られていた。
戎服上趨承北極
戎(じゅう)服(ふく) 上(じょう)趨(すう)して北(ほく)極(きょく)を承(う)け
  • 戎服 … 軍服。ここではそれを着た武官を指す。
  • 上趨 … 天子の方へ小走りに進んで行くこと。
  • 北極 … 北極星。ここでは天子を指す。
儒冠列侍映東曹
儒冠(じゅかん) 列(れつ)侍(じ)して東曹(とうそう)に映(えい)ず
  • 儒冠 … 儒者の冠。ここでは文官を指す。
  • 列侍 … ずらりと並んで侍立すること。
  • 東曹 … 東側の役所、またはその建物。朝礼のとき、文官は正殿の東側、武官は西側に分かれて並んだ。
太平時節身難遇
太平(たいへい)の時(じ)節(せつ) 身(み) 遇(あ)い難(がた)し
  • 身難 … 『全唐詩』では「難身」に作り、「一作身難」と注する。
郎署何須笑二毛
郎署(ろうしょ) 何(なん)ぞ須(もち)いん 二(に)毛(もう)を笑(わら)うを
  • 郎署 … 尚書省の郎中・員外郎の詰所。
  • 二毛 … 白髪まじりの老人。
  • 笑 … 『全唐詩』では「歎」に作る。
  • この句は、漢の顔(がん)駟(し)という役人が年老いても郎官のまま郎署詰めをしていたのを、通りかかった武帝があわれんで会稽都尉に抜擢してやったという「漢武故事」にみえる故事を踏まえる。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻三百四十三(排印本、中華書局、1960年)
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