奉和庫部盧四兄曹長元日朝廻(韓愈)
奉和庫部盧四兄曹長元日朝廻
庫部盧四兄曹長の「元日、朝より廻る」に和し奉る
庫部盧四兄曹長の「元日、朝より廻る」に和し奉る
- 七言律詩。旄・號・高・曹・毛(平声豪韻)。
- 『全唐詩』巻343所収。
- 庫部 … 尚書省兵部の一部局。車や兵器を司った。
- 盧四 … 盧は姓。名は汀。字は雲夫。四は排行。ウィキペディア【排行】参照。
- 兄 … 同輩の中の年長者に対し、親しんで呼ぶ言葉。
- 曹長 … 尚書省の属官の別称。
- 奉和 … 盧汀が元日の朝賀を済ませて帰る道を詠った詩に対し、作者が唱和したもの。
- 韓愈 … 768~824。中唐の詩人・文章家。河陽(河南省孟州市)の人。字は退之。昌黎(河北省)の人と自称した。諡は文公。貞元八年(792)、進士に及第。唐宋八大家のひとり。柳宗元とともに古文復興につとめた。『韓昌黎集』四十巻、『外集』十巻がある。ウィキペディア【韓愈】参照。
天仗宵嚴建羽旄
天仗 宵厳にして羽旄を建て
- 天仗 … 天子を護衛する儀仗兵。
- 宵厳 … 夜のうちから警護を厳しくすること。
- 羽旄 … 雉の羽と、から牛の尾を竿頭につけて飾りとした旗。
春雲送色曉雞號
春雲 色を送って暁雞号く
- 色 … 朝の色を送る。
- 暁雞 … 暁を告げる鶏。
- 号 … 鳴く。「号ぶ」とも訓読する。
金爐香動螭頭暗
金炉 香動いて螭頭暗く
- 金炉 … 黄金の香炉。
- 螭頭 … 竜の一種である螭の頭を彫刻した階段の手すり。
玉佩聲來雉尾高
玉佩 声来って雉尾高し
- 玉佩 … 腰に帯びた玉。歩くと音を立てる。
- 雉尾 … 雉尾扇。天子が玉座につくとき、その姿をかくすための大きな扇。雉の尾羽で作られていた。
戎服上趨承北極
戎服 上趨して北極を承け
- 戎服 … 軍服。ここではそれを着た武官を指す。
- 上趨 … 天子の方へ小走りに進んで行くこと。
- 北極 … 北極星。ここでは天子を指す。
儒冠列侍映東曹
儒冠 列侍して東曹に映ず
- 儒冠 … 儒者の冠。ここでは文官を指す。
- 列侍 … ずらりと並んで侍立すること。
- 東曹 … 東側の役所、またはその建物。朝礼のとき、文官は正殿の東側、武官は西側に分かれて並んだ。
太平時節身難遇
太平の時節 身 遇い難し
- 身難 … 『全唐詩』では「難身」に作り、「一作身難」とある。
郎署何須笑二毛
郎署 何ぞ須いん 二毛を笑うを
- 郎署 … 尚書省の郎中・員外郎の詰所。
- 二毛 … 白髪まじりの老人。
- 笑 … 『全唐詩』では「歎」に作る。
- この句は、漢の顔駟という役人が年老いても郎官のまま郎署詰めをしていたのを、通りかかった武帝があわれんで会稽都尉に抜擢してやったという「漢武故事」にみえる故事を踏まえる。
こちらもオススメ!
歴代詩選 | |
古代 | 前漢 |
後漢 | 魏 |
晋 | 南北朝 |
初唐 | 盛唐 |
中唐 | 晩唐 |
北宋 | 南宋 |
金 | 元 |
明 | 清 |
唐詩選 | |
巻一 五言古詩 | 巻二 七言古詩 |
巻三 五言律詩 | 巻四 五言排律 |
巻五 七言律詩 | 巻六 五言絶句 |
巻七 七言絶句 |
詩人別 | ||
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | は行 | ま行 |
や行 | ら行 |