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登柳州城楼寄漳汀封連四州刺史(柳宗元)

登柳州城樓寄漳汀封連四州刺史
柳州(りゅうしゅう)の城(じょう)楼(ろう)に登(のぼ)りて漳(しょう)・汀(てい)・封(ほう)・連(れん)の四(し)州(しゅう)の刺史(しし)に寄(よ)す
柳(りゅう)宗元(そうげん)
  • ウィキソース「登柳州城樓寄漳汀封連四州」参照。
  • 作者は失脚した王叔文の一党として流罪となっていたが、いったん都に呼び戻され、すぐさま柳州の刺史に出された。この詩は、このとき同じく再び流された四人の同志に贈ったものである。
  • 柳州 … 現在の広西チワン族自治区柳州市。ウィキペディア【柳州】参照。
  • 城楼 … 城壁上にある物見やぐら。
  • 漳・汀・封・連 … 四人の同志が僻地の刺史として出された所。漳(しょう)州(福建省漳浦県)・汀(てい)州(福建省長汀県)・封(ほう)州(広東省封川県)・連(れん)州(広東省連県)。
  • 刺史 … 州の長官。『全唐詩』には、この二字なし。
  • 柳宗元 … 773~819。中唐の文人・政治家。本籍は河東(山西省永済県)の人。字(あざな)は子(し)厚(こう)。唐宋八大家の一人。韓愈とともに古文復興に努めた。詩においては王維・孟浩然・韋応物らと同様、自然を歌った詩が優れている。ウィキペディア【柳宗元】参照。
城上高樓接大荒
城上(じょうじょう)の高楼(こうろう) 大荒(たいこう)に接(せっ)す
  • 大荒 … 世界の果て。
海天愁思正茫茫
海天(かいてん) 愁(しゅう)思(し) 正(まさ)に茫茫(ぼうぼう)たり
  • 海天 … 海と空。
  • 愁思 … 悲しい思い。
  • 茫茫 … 広々として果てしない様子。「古詩十九首」(『文選』巻二十九)の第十一首に「四顧(しこ)すれば何ぞ茫茫たる、東風百草を揺(うご)かす」(四顧何茫茫、東風搖百草)とある。四顧は、四方を見まわすこと。東風は、春風。ウィキソース「迴車駕言邁」参照。また、東晋の陶潜「挽歌の詩」(『文選』巻二十八)に「荒草は何ぞ茫茫たる、白楊(はくよう)も亦た蕭蕭(しょうしょう)たり」(荒草何茫茫、白楊亦蕭蕭)とある。白楊は、柳の一種。ヤマナラシ。ハコヤナギ。蕭蕭は、風が物寂しく吹く様子。ウィキソース「挽歌詩 (陶潛)」参照。
驚風亂颭芙蓉水
驚(きょう)風(ふう)乱(みだ)れ颭(うご)かす 芙(ふ)蓉(よう)の水(みず)
  • 驚風 … 突風。
  • 颭 … 物が風に吹かれて揺れること。
  • 芙蓉水 … 蓮池の水。
密雨斜侵薛荔牆
密(みつ)雨(う)斜(なな)めに侵(おか)す 薛荔(へいれい)の牆(かき)
  • 密雨 … 細かく降りしきる雨。
  • 薛荔牆 … 蔓(つる)のからんだ垣。薛荔は、まさきのかずら。
嶺樹重遮千里目
嶺樹(れいじゅ)は重(かさ)なりて千(せん)里(り)の目(め)を遮(さえぎ)り
  • 嶺樹重遮千里目 … 『全唐詩』には「一作雲駛去如千里馬」と注する。
  • 嶺樹 … 峰の木々。
  • 千里目 … 千里の彼方まで見渡す視線。劉宋の鮑照の詩「都に還る道中三首」(『古詩紀』巻六十一)の第二首に「夕べに江上の波を聴き、遠く千里の目を極めんとす」(夕聽江上波、遠極千里目)とある。江上の波とは、長江の波の音のこと。ウィキソース「古詩紀 (四庫全書本)/卷061」参照。
江流曲似九迴腸
江(こう)流(りゅう)は曲(まが)りて九(きゅう)迴(かい)の腸(はらわた)に似(に)たり
  • 江流 … 川の流れ。
  • 九迴腸 … 悲しみのあまり、一日に九回も腸がよじれること。
共來百粤文身地
共(とも)に来(きた)る 百(ひゃく)粤(えつ)文身(ぶんしん)の地(ち)
  • 百粤 … 福建・広東・広西省からベトナムの北方へかけての地方の総称。百越とも書く。
  • 文身 … いれずみ。
猶自音書滯一郷
猶自(なお)も音書(いんしょ)は一(いっ)郷(きょう)に滞(とどこお)る
  • 猶自 … それでもなお。
  • 音書 … 手紙。
  • 一郷 … 一つの里。それぞれの配所を指す。
詩型・韻字
  • 七言律詩。
  • 荒・茫・牆・腸・郷(下平声陽韻)。
テキスト
  • 『箋註唐詩選』巻五(『漢文大系 第二巻』、冨山房、1910年)※底本
  • 『全唐詩』巻三百五十一(排印本、中華書局、1960年)
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