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登柳州城楼寄漳汀封連四州刺史(柳宗元)

登柳州城樓寄漳汀封連四州刺史
柳州りゅうしゅうじょうろうのぼりてしょうていほうれんしゅう刺史しし
りゅう宗元そうげん
  • 七言律詩。荒・茫・牆・腸・郷(平声陽韻)。
  • 『全唐詩』巻351所収。ウィキソース「登柳州城樓寄漳汀封連四州」参照。
  • 作者は失脚した王叔文の一党として流罪となっていたが、いったん都に呼び戻され、すぐさま柳州の刺史に出された。この詩は、このとき同じく再び流された四人の同志に贈ったものである。
  • 柳州 … 今の広西省柳州市。ウィキペディア【柳州市】参照。
  • 城楼 … 城壁上にある物見やぐら。
  • 漳・汀・封・連 … 四人の同志が僻地の刺史として出された所。しょう州(福建省漳浦県)・てい州(福建省長汀県)・ほう州(広東省封川県)・れん州(広東省連県)。
  • 刺史 … 州の長官。『全唐詩』にはこの二字なし。
  • 柳宗元 … 773~819。中唐の文人・政治家。河東(山西省永済県)の人。あざなこう。唐宋八大家のひとり。韓愈とともに古文復興につとめた。詩においては王維・孟浩然・韋応物らと同様、自然をうたった詩が優れている。ウィキペディア【柳宗元】参照。
城上高樓接大荒
城上じょうじょう高楼こうろう 大荒たいこうせっ
  • 大荒 … 世界の果て。
海天愁思正茫茫
海天かいてん しゅう まさ茫茫ぼうぼうたり
  • 海天 … 海と空。
  • 愁思 … 悲しい思い。
  • 茫茫 … 広々として果てしない様子。
驚風亂颭芙蓉水
きょうふうみだうごかす ようみず
  • 驚風 … 突風。
  • 颭 … 物が風に吹かれて揺れること。
  • 芙蓉水 … 蓮池の水。
密雨斜侵薛荔牆
みつななめにおかす 薛荔へいれいかき
  • 密雨 … 細かく降りしきる雨。
  • 薛荔牆 … つるのからんだ垣。「薛荔」は、まさきのかずら。
嶺樹重遮千里目
嶺樹れいじゅかさなりてせんさえぎ
  • 嶺樹重遮千里目 … 『全唐詩』には「一作雲駛去如千里馬」とある。
  • 嶺樹 … 峰の木々。
  • 千里目 … 千里の彼方まで見渡す視線。
江流曲似九迴腸
こうりゅうまがりてきゅうかいはらわたたり
  • 江流 … 川の流れ。
  • 九迴腸 … 悲しみのあまり、一日に九回も腸がよじれること。
共來百粤文身地
ともきたる ひゃくえつ文身ぶんしん
  • 百粤 … 福建・広東・広西省からベトナムの北方へかけての地方の総称。「百越」とも書く。
  • 文身 … いれずみ。
猶自音書滯一郷
猶自なお音書いんしょいっきょうとどこお
  • 猶自 … それでもなお。
  • 音書 … 手紙。
  • 一郷 … 一つの里。それぞれの配所を指す。
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